蛇の果実の訳
『蛇がアダムとイブに果実を進めた訳』
リンは幼い頃に、父と母がいなかった。というのも、エデンが生まれた時にリンも当たり前のように生まれたからである。メデューサの妹が義妹になった時にはそれはそれは喜んだ。
リンはやんちゃながらも不良地味た性格だったので妹が誰かに何かをされれば倍に返したし、彼女が喜ぶのならなんでもしてあげた。
妹の名はリリア。
リンと同じく赤目と黒髪であり、無邪気な笑顔で笑う女の子であった。
リリアはリンにとても懐いていた。
血は繋がっていなくても、本当に兄妹のようだった。
そんなある日。
リリアは言った。
「おにいちゃん、あのキラキラしてるたべもの、たべてみたい!」
それは、リンもが食べてはいけないと理解していた。
リンは困ったように笑った。
「あれは、食べちゃあいけないんだぜ。」
するとリリアは「そっかぁ。」と悲しそうに俯いたのだ。
それを見たリンは、喜ばせてあげたくて、幼いながらもリリアにこっそりと隠して作戦をたてた。
まずリンは、蛇にへと化してそのまま果実の木に登りあげる。
どうすればいいものか。
するとそこに、最近誰かの神が作り上げたという2人の「にんげん」とかいう生き物がこちらにやってきた。
なんということだ。
これはいい、とニヤリと笑った。
蛇は果実の元にやってきた男女二人にまるで悪魔の囁きをあげた。
リンは蛇とはいえ、エデンの初代からいるお偉いの神様でもあった。
そう、欲求を司るかみさま。
だから、この2人をこの果実に促すなんて赤子の手をひねるより簡単だ。
この2人が取って行ったところを取り返してしまおう。
さきに手をつけるのがこいつらならば、重罪はこいつらに擦り付ければ。
なんて思ったのに。
運が悪く、なんとまぁリンよりもお偉いさんな神様に見つかり3人諸共追放されてしまった。
人間二人は二度と天界に上がれないと言っていたが、罪の意識を何とかすれば蛇は多少は考えてやると言われた。
罪の意識。
持っているが、妹の為にやったことだ。
そしてリンはニヤリと笑う。
追放される時に実はこっそり果実を1つ盗みとってきたのだ。
手の中には輝く果実……。
でも、妹に会えないんじゃあ意味無いな…と今更になって追放の重さを感じ落ち込み始めた時。
「おにいちゃん!」
追放されたはず、ここは天界ではなく地上だ。
そんな地上に、なんと妹の声が聞こえた。
ついに幻聴か?なんて思ったら、後ろから誰かに腰を抱きしめられた。
びっくりして振り返ったら、確かに質のあるそこにはリリアがいた。
「リっ、リア!?おまえ何して……!なんでこんなところ来た!」
「えへへっ。おにいちゃんとずっと一緒がいいの!」
「この、っ、……はぁ、馬鹿野郎……」
怒るに怒れない。
まさか自分のために追いかけてくれるなんて、なんていじらしいんだ。
リンはわしゃわしゃと頭を撫でてやり、リリアに果実を渡した。
「わぁあ……!!これ、あれ?すごい!!」
「ごめんな、上手くいくと思ったのに。」
「ううん!すっごくうれしいよ!」
なんて。
この時はまだ良かった。
2人で森の中で、暮らし始めた。
最初は森の中は食材があったから良かったけれど、なんと年が過ぎてく事に人間とかいうやつが地上に大量に現れて、この森の中の木々をおおきな斧とか言うやつで切り倒していった。
さらに食材になるきのみや、動物までも必要以上に殺していった。
何故あいつらは木を切る?意味なんてなくないか?このままじゃ、住む場所が限られてきてしまう。
くそ、……。
リンは人間の行動に意味不明を感じていた。動物達の住む場所もなくなってしまうではないか。
やめろよ、……だれだよ、こんな生き物作ったやつ……!!
リリアはそんなリンをみて微笑んだ。
「大丈夫だよ!きっとうまくいくよ!」
妹に励まされて、リンは心から微笑んだ。
ある日、たべものは人間に完全に取られてしまい、この森も終わりを告げようとしていた。
別の場所に、住もう。
だけど互いに食べ物にありつけてないので確実に弱っていた。
神様って死ぬのかな。
なんて思ったら、リリアが笑った。
「あのね、食べ物実は隠し持ってたの。今から持ってくるから!」
突然そんなことを言い出して、その場から立ち去った。
あいつが?、
リリアは直ぐに戻ってきて、手ぶらだった。
「リリア?どうしたんだ?」
「お兄ちゃん、ちょっとごめんね。」
そう言うとリンの目に白の布を巻いた。
「お、おい!なんだよこれ!」
「サプライズだから!このままでいて?」
そしてリリアはいう。
「牙をたてて、そのまま食べていいよ!」
無邪気な声だ。
確かにリンはしばらく食べていない。
お腹が減ってないなんて言ったら嘘だ。
布を外そうとすればリリアは「だめ!」と怒った。
だからそのまま気配を感じて、牙をたてた。
あ、美味しい。
上手い。
蛇という自分とリリアは目をふかざれると、不思議なことに鼻が全く不自由になる。
だから、リリアはそれを狙って目を塞いだのかと思った。
食べて、満たされる。
多分、もうここから様子はおかしかった。
「─リリア?」
あの子の吐息を感じない。
ついに、リンはお腹が満たされるのを感じながら布を外した。
驚愕した。
そして目眩がした。
目の前には、中身が空っぽのリリアがいた。
「─え?、」
目が開かれて、感じた鼻の匂いは……血の、妹の血の匂い。
彼女が目を塞いだのは、自分だと知らせないためと血の匂いを感じさせないため。
だって、リンは何度も怪我をして血を流していたリリアの血の匂いを知っていたから。
「あ、……あ、あ、っ、」
呻く。
落ちる。
絶望する。
こんなことがあっていいのか?
兄が妹を、食いころすだなんてことは。
リリアの馬鹿野郎、なんて心の冷静な部分が呟いて最後。
おおきな吠え声をあげて、リリアが大切にしていた果実を思い切り潰した。
そこからはよくリンは覚えていなかった。
ただ、人間達の血の匂いとぬるつきを全身で感じていた。
殺戮。
食材?住処?森?
いや、
リリアを奪った人間達を、片っ端から殺していくことにした。
だから言った。
なんであんな生き物を作ったんだ?と。
だから殺してやった。
もう二度と地上にくるんじゃねえぞ。
食べ物もなしで、何十年間何百年間何千年間暴れ続けた蛇は体の中にいたはずの妹を無くしてしまった。
衰弱していった蛇、ついにまだまだ増殖の止まらない人間に捕まっては牢に閉じこめられて拷問を受ける日々。
理由もなしに生き物をいじめるのは人間は大好きなのだ。
あの時、……リリアに地上から天界に帰ってろといっていれば。
いや、果実を取らなければ。
「ぜんぶ、……俺のせい、か。」
成長しきった蛇は、青年になった蛇は、やっと少年だった愚かな自分を責め立てた。
この頃に、リンは純粋だったその心を充分に捻じ曲げてしまったのだ。
「あのころの俺はほんとうにガキくさかったよなぁ。」
「ん?」
セイは首をかしげた。
昔のことを思い出していた。
何億年も前なのに、覚えているなんてな。
ソラにそっくりなこいつは、ちゃんとれっきとした兄弟……双子の兄なのだ。
「なあ、兄ってさ。……妹、弟、可愛いもんだよな?」
「そりゃあそうでしょ!!オレ、ソラ自慢だもん!!」
えっへん、と胸を張った。
多分あの果実を潰してしまった時、天界の果実と共鳴して全部落ちてしまったのだろうな。
「俺は、お前らが赤ちゃんだった時の姿を知ってるけどな。」
「……へ?」
「俺はめちゃくちゃ歳食ってるジジイだぜ?」
えっ!?なにそれー!詳しく聞かせてよ!!と食い気味のセイをリンは笑いながらその場を立ち去るも、セイはリンを追いかけてはしつこく気になる気になると問いただす。
こうして、天界のやつと俺が話している。
リンの罪は、どんどんと浄化されていく。