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来夏の青空  作者: 相原紗侑
第一章〜始まり〜
8/11

SATORI !!!

はぁ………はぁ…ぁ…。

間に合ったぁぁぁ!!?


祭壇のある教会は、このお城の67階。つまり塔の頂上にあった。

来夏の部屋は地下28階。


だから来夏は、死ぬほど長い階段を上らなくてはならなかった。

しかもありえないことにエレベーターがない‼︎‼︎

ありえないよ!

こんなに高い城に階段しかないなんて。


入り口には、警備かなぁぁ?可愛いコブリンがいた。


「おはようございます」


コ、コブリンがしゃべったぁぁ!!

今時喋るコブリンなんているんだ、すっご!


……なんてもう私は言わない。

だってもうこれ以上凄すぎるのをこの3日間で体験してしまったからだ。

ここにきてからは、毎日が初体験のことばっかりだ。

なんかもう頭パンクしそう…

そんなこんなで来夏は、受付を済ませた。

って、ずっと疑問だったんだけど、

何で、お祈りにするのに受付しなければならないのかなぁ?


そう思ったってたら急に、


「それは、出席確認をするためです。」


コ、コブリン!!?

うわぁぁぁあ!

び、びっくりしたぁ。


「わたくしどもがしゃべったらいけないのですか?」


い、いやぁ……そんなことは……ない…けど…?


ごめん、ごめんってば。


でも何で、わたしが思ったことがわかるの?


「それは、このレーダーのためです。」


コブリンは額を指差す。

そういえば、ここのコブリンみんな額が光ってる。


「これは特殊な光で、受付した人の今日の体調などをチェックするためにあるのです。」


「この情報は全て住人管理室に届けられ、女王さまが確認されます。女王さまは、お優しい方なので常に皆さんのことを見守っていてくださっています。」


へぇぇ…

そうなのかぁ。

ってか、すっごく淡々と話すね。


「さあ、来夏さんこちらへ。初めてだと思うので私がお教えします。」


「あ…ありがとう、よろしくね」

来夏は、心からお礼を言った。


喋るカラスに始まり、心を持った人形、それから、話す食器!


正直最初見たときは、本当にびっくりした。


でも、みんないい人。


それはもう、分かっている。

異世界から突然きた私を、こんなにも優しくしてくれるんだもの。


でもこの世界は、ほんと不思議。私たち人間界ではありえないことばかり。


でも、ここでは普通みたい。


みんなの反応がそうだもの。


食器が喋ったり、ゲームの中にいるはずの恐竜が出てきてそこらへんを暴れまわったり……。


みんなそんなことでは動じない。


さすがだなぁと思った。


よく考えたら、なれほど怖いものはないって言うだけのことかぁ。とも思うけどね。






「今から、朝のお祈りを始めます。」


ハゲ頭のおっさんが、皆の前に立つ。


そこにいるだけなのに、異様なオーラを放っている。

おそらく一番偉い人らしい。


「教祖さまがやられていることをそのまま復唱して真似してください。そして最後は、静かに命のありがたみと、生きていることに感謝して手を合わせてください。」


コブリンがそっとつぶやいてくれる。

私は言われた通りにした。


命のありがたみ…かぁ…。

なんか改めて考えると、こうやって生きていることも凄いことなのかなって思えてくる。

そして、10分……20分が過ぎ………


「これで朝の集いは、終了です。これにて解散とします。」


教祖のおじさまが皆に解散を命じたとたん、みんな入り口に向かって歩き出した。

私も慌てて人の波にのる。


お祈りの時間は、思ってたよりも早く終わった。


まあ、朝から何時間も祈るわけないか。


でも何の宗教なんだろう。見たことないようなお祈りだった気がする。


なんか途中ヨガっぽいポーズあったし。

まぁ、いっか。



わたしは、コブリンにお礼を言って、外に出た。

庭から外に出ると、もう眩しいぐらいに太陽が登っていた。



日光がすっと心に染みてくる。

なんだか、生きている実感がある。

あの頃のだらけた私と違っている気がする。


ハプニングだらけで、何にもわからないこの世界で過ごしたこの三日間はすごく充実している。


こんな気持ちは、初めてだ。

ここにきて、私なんか変わったかも。

心の面で、ちょっと成長できている気がする。

何だかそんな感じがした。




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