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「ふう!体力回復!お肌もぷりぷり、イエス!ノーストレス!」とマジルの姉がガッツポーズをとった。

「オラ、疲れたべ。これやるとマジで疲れんだあ。」

マジルは大きなビーズクッションという天国へ旅立った。

ただのビーズクッションではない。

それは超極小ビーズと綿毛が交じり合う、凄く気持ちのいいビッククッション。

「にょほほほ。オラ、これ大好きぃ。」

それは人をダメにしてしまう悪魔のような至極の空間。

だらけるマジルを背にして

マジルの姉は気分爽快のハツラツとした顔をイリアに向けた。

「さてさて、イリアちゃん。あなた私に占ってほしいんでしょう?

勇者との恋が叶うかどうか。」



大きな水晶の玉をマジマジとみるマジルの姉の前にちょこんと座るイリア。

「へえ、イリアちゃん凄いわ!こんなの初めて見た!」

「え?」

「いくつもの未来が見えるわ。

イリアちゃんが望んでいる未来もあれば、そうでない未来も。

もちろん勇者とゴールインする光景もある。

だけどどれもあなた次第、選択肢は多くある。

これからあなたを取り巻く環境は大きく変化していく。

追いかけられる恋もあれば追う恋もすることになるはず。

そして魔界と人間界の橋渡しになるか、更に溝を深めるかも。」

「あの、私が魔族だと分るんですか?」

「ええ、あなたを心配する親や兄弟の姿がみえるもの。

みんなとっても心配そう。特にお父様。ハラハラしてるわ。

だけどあなたのお母様がそれを止めている。」

「私のお母様?もういないのに?」

ふふふ、と姉が微笑む。

「あなたはとってもお母様に似ていらっしゃるみたいね。

こうと決めたら突っ走る、誰にもそれは止めることが出来ない。

お母様はあなたを見守っているわ。

たとえ死んでその身が無くなろうとも無償の愛は無くならない。」

「私は、」

お母様の記憶があまりない。

私を産んだ後から急激に体が弱ってしまい、幼い時に風邪をこじらせ死んでしまったから。

だけどちょっとだけ、ふとした瞬間に思い出す。

柔らかい風が私の頭を撫でた時、お母様のあの白く細い指先と優しい微笑み。

お母様が好んでいたダージリンの紅茶の香りがした時。

「大丈夫、あなたが望む道を歩みなさい。

それを誰よりもあなたのお母様は望んでいるわ。」

ぽろぽろと涙がイリアの瞳から零れ落ちた。



「さて、シリアスはおしまい!

あなたの好きな勇者ってアルでしょ?」

これこれ、と画像を見せられイリアはチーンと鼻をかみながら頷いた。

「こいつはちょっとクセがあるんだよねえ。女運が悪いというか、なんというか。」

「そうなんですか?」

「変な女に好かれる体質でね。」

「変な女?」

あ、という目がイリアに向けられ気まずそうに一斉に顔を背けた。

「もう!みんな私が変だって言いたいの?!」

「え、だって、ねえ?」

「魔界の姫がまさか勇者を婿にしたいって、ねえ?」

「ありえねえべ。」

シーッとマジルの兄がマジルの口にお口チャック!と手をあて閉じさせた。

「まあ、いいわ。

それよりも私の他にもアルのことが好きな女がいるの?

どんな女なの!」

「そうねえ。ストーカー気質だけど出しゃばりな姫とか、ヤンデレぽい幼馴染とか。」

「はあ?姫?ここの?」

「あのねえ、魔界に姫がいるようにどこの世界にも姫がいるのよ。

まあその姫様はここではなくて留学しにきている天界のお姫様だけどね。

イリアちゃんとは真逆の国だね。」

ふふふっと楽しそうにマジルの姉が笑った。

「て、天界ですって・・・!」

愕然とイリアは白目をむいた。


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