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「私、勇者が好きになったの。お父様には許可を頂いたわ!・・・反対されても無駄よ!」

兄や弟が寛ぎながらエロ本やらゲームやら各々楽しんでいるとドアがバーンッと開けられイリアが叫ぶ。

呆気にとられているとイリアは爽快といった表情で言いたいことだけを言って去っていった。

「い、今、何て?」

「はぁ?」

「勇者が好きぃ?」

長男のコータと次男のユーキ、弟のタローが呟いた。

イリアは言い逃げというある意味最強の攻撃と防御で兄や弟を精神的にぶっ倒した。


イリアには五人の腹違いの兄弟と姉妹がいる。


長男のコータは鬼族の母から生まれた。

頭上からちょっとだけ見える角を除けば、ザ・普通。

黒髪に中肉中背、性格はまぁまぁ穏やかで、面倒見が良い。

一番魔王に性格が似ているといっても過言ではない。

そして同じ母をもつ妹のハナコ。

ハナコはちょっと小生意気な子で、イリアをちょっと小馬鹿にしているところがある。

口癖は「馬鹿じゃないの?」である。


次男のユーキはサキュバスの血を引く母から生まれた。

どことなくいつもピンク色なオーラが醸し出されている。

男尊女卑という言葉があるが、ユーキにとってはまったく理解できない言葉である。

良いようにいえばユーキは常に紳士的でエスコート上手。

まぁようするに大の女好きなのだ。

そしてユーキは双子の姉、リリアがいる。

リリアも同じような性格で二人が並ぶと色気ムンムン。


三男のタローは竹をパッカーンと割ったような性格の天狗の血を引いた母から生まれた。

タローの母とイリアの母はその性格が妙に合い、妃同士では一番仲が良かった。

だからタローの母は泣きながらもイリアの母が死ぬ時、「イリアのことは任せない。絶対に私が守ってみせるわ。」と誓った。

ある意味、魔王よりも絆の深いイリアの母との友情だった。

タローはその母の姿を見つめ、自分もイリアを守らなければ、と弟ながら危なっかしい妹のような姉を大事にすると誓った。


簡単に説明すると


コータ(長男)鬼族

ユーキ(次男)リリア(長女)サキュバス

タロー(三男)天狗

イリア(次女)人間とのハーフ

ハナコ(三女)鬼族


といった兄弟、姉妹の順になる。


「勇者ってあれでしょ?あのいけ好かないやつ。」

「青春系イケメンな。俺あいつ暑苦しいから嫌い。」

「仲間を大事にするのは良いことだけど、ちょっと自分に酔ってるよね。ナルシストなのかな。」

ユーキとタローが、なぁ?とお互い頷き合いながら嫌だ嫌だと言うのを眺めながらコータは溜息を吐いた。

「とりあえずどういうことか父上に聞いてこようか。」


一件を問いただすと、

「はぁ?父ちゃん、マジで自分で何言ってるか分かってんの?」

「タロー、父ちゃんではなくお父様と呼びなさいといつも言ってるだろう?」

パパでもいいぞ、という魔王が言うと他の王子から一斉に睨まれた。

「お父さん、イリアが可愛くないの?」

「もちろん可愛いさ。」

「それじゃ何で許したの。どう考えても無謀でしょうが。」

「本気の恋ならば、イリアが望むのなら叶えてやるのが親だ。そっと見守りたい。もし諦めて帰ってきたら、それも大人への一歩に繋がるだろう。このまま過保護にしたままでは成長しないさ。」

良いこと言ったぜ、的な雰囲気で終わらせようとする魔王、だったが。

「父上、本当は?」

たじろぐ魔王にタローが笑顔で問い詰める。

普段大人しいだけに、こういう時は恐ろしい。

「・・・イリアを止めることなんかできないもん!やるって決めたらやるじゃんか!」

ぷんすかぷんっ!と逆切れ魔王。

「それは分かるけどさ・・・でもねぇ。」

はぁ、と頬に手をあてアンニュイなユーキ。

「あのさ、俺等が邪魔したらイリア絶対怒るじゃん?俺イリアに嫌われるの絶対嫌だぜー?」

あーもうっ!とガシガシ頭をかくタロー。

「だよなぁ。下手して勇者殺したら、絶対絶交されるよね。」

困った困った、とコータ。


勇者の元へ行かせたくないが、とーっても行かせたくないが、それ以上に嫌なのが、イリアに絶交されること。

「お兄ちゃん達なんか大嫌い!」

なんて言われた日には恐らく三人とも地獄よりも酷い状態になってしまうだろう。

シスコン。

そう、彼等はこの世でいうシスコンであった。

可愛い可愛い妹(姉)。

イリアは姉妹の中で唯一人間のハーフ。

ハナコやリリアは魔族のハーフだから潜在能力が強く己を守り戦う術を知っているが、イリアは違う。

一番弱いから、いつだって守る存在だと思っている。

「しかし、また厄介な奴に惚れたよなぁ。」

コータがユーキとタローに目配せした。


















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