表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
月影浴1 おつきさま  作者: @naka-motoo
PR
22/70

第22話 はじまりは今(その22)

「かおるくん、わたしのおばあちゃんとお母さんに挨拶していって貰っても、いい?」

「え?」

さつきちゃんは、いたって真面目に僕に言っているようだ。でも、僕は躊躇した。

「でも、おばあちゃんとお母さんは、僕が来てること知らないんじゃ・・・・」

さつきちゃんは、にこにこして僕にこう言った。

「家の前の公園に来てもらいなさい、って言ったのは、お母さんなんだよ。家の目と鼻の先なら安心だからって。だから、話し終わったら、声をかけるように言われてて」

僕は、やたらと緊張してきた。僕がさつきちゃんに好きだと言ったことも知られているだろうし、呼び出されてこうやってのこのことやってきたのも知っているということだ。

さつきちゃんは、僕の返事も聞かないうちに、児童公園の向かい側にある、手入れの行き届いた清潔そうな家に向かって歩いていく。僕は慌ててついて行った。

さつきちゃんは、その家のドアを開けると、ただいま、と言った。その声を聞いて、家の奥から、さつきちゃんのお母さんと、そのまた後ろから、おばあちゃんが玄関に出てきた。 お母さんは、高校生の親とは思えないほど若く見える、さつきちゃんによく似た、かわいらしいお母さんだった。おばあちゃんは、顔が似ている訳ではないのだが、やはりかわいらしい雰囲気は、さつきちゃんのおばあちゃんなんだな、と感じた。

「こんばんは」僕は、思わずそれだけしか言えなかった。自分の名前も素性も何も言えず、ひと言こんばんはと言ったきり、黙ってしまった。僕の代わりに、さつきちゃんが続ける。

「同じクラスの小田くん。かおるくん、わたしのおばあちゃんとお母さん」

いきなりおばあちゃんとお母さんの前で、'かおるくん'と呼ばれ、とても恥ずかしかった。僕はもう一度、何の芸もなく、こんばんは、と頭を下げた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ