第17話 はじまりは今(その17)
次の日の日曜日はあっという間に過ぎていく一日だった。朝から昼まで、自室の机の前でぼーっとたたずんでいた。好きなバンドの曲で、日曜日には何をしようかと算段をしている内に結局何もせずに暮れてしまったというものがあるが、本当にそんな状態だった。さすがに翌日の授業の準備もあるので、昼からはぱらぱらと教科書を開いて予習を少しした。ああ、このままもう月曜日になってしまうんだな、と、もの悲しくなり始めたのは夕方のごはん前の時間帯だった。そのまま晩御飯を食べたらもう、後は月曜日を待つだけだ。日向さんにはどんな顔をすればいいのか。それだけでなく、また月曜から現実に戻るのが辛くもあった。
晩御飯の後片付けを手伝っているとき、固定電話が鳴った。僕が洗った食器をふきんで拭いて、食器棚に仕舞っていたお母さんが、作業を中断して電話を取った。はい、小田です・・・いつもありがとうございます、今代わりますね、という受け答えの後、お母さんは僕にコードレスの子機を渡した。
「同じクラスの、日向さんていう子から電話」
お母さんは、ちょっと不審な顔をして子機を受け取った僕のその後の会話を確認しようとしている。
電話口で待っているであろう日向さんが何を僕に言おうと電話してきたのか?
僕は日向さんと、目の前のお母さんに対して、どのような反応をすればよいのか、判断しかねていた。
考えがまとまらないまま、「もしもし」と僕は日向さんに話しかけた。