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『商品No.10。別の人格』   商品ランク★

掲載日:2016/07/31

  皆さんはこんな経験がないだろうか。

 ふとした時、ウホッっと叫びたくなる瞬間が。

 それがただの気まぐれならば良いが、もしそうでなければ気をつけなければならない。

 もしかしたらそれはあなたの人格の他にゴリラの人格が宿っているかもしれないからだ。

 それは二重人格のようなものだ。ただ、人間ではなく、動物なので二重人格とは言わない。

 私は人助けをするのが趣味だ。

 始めは路上でゴミ拾いなどを積極的に行っていた。ゴミを拾うのはとても気持ちが晴れやかになりすっきりとしたが、次第にそれだけでは私の心は満たされなくなってきていた。

 まず、拾っても拾ってもきりがない。綺麗にした途端、また嫌がらせのように誰かが綺麗になった場所にゴミを捨てる。流石に心の中に重しのような物が乗っかるように気分が沈む。

 別に礼などを期待しているわけではないが、たまに褒められると嬉しいのだが、最近では逆に嫌悪の表情で私を見る者が多い。その目はまるで路上のゴミをただ売る為に集めているんじゃないか、という疑惑のこもった冷たい目だ。別に私は汚い格好でゴミを拾っているわけではないが、特別服装にも気を使っているわけでもない。ゴミを拾うときはラフな格好で拾っている。それが、よくなかったのだろうか。今現在でもゴミ拾いは行っているが、今度からは服装もラフな格好ではなく、もう少し気を使おうと思う。おっと関係ない話に逸れてしまったようだ。

 ゴミ拾いに満たされなくなると私は次に路上で歌を歌ったり、小説投稿サイトに小説を投稿したりして、観る人、読む人を楽しませようと心がけた。それも今現在も続いている。そして今私が行っているのが、人の悩み相談に乗り、解決作を探るというものだ。要するに、ただの悩み相談だ。私は特に資格などは持ってはいないが、それでも私は小さな時からそういったことに興味を持っていて、色々とそれ関連の書籍を読み漁っていたのである程度の知識は持ち合わせていた。昔から、霊感が強かったのも伴い、私の悩み無料相談に拍車をかけ、それを行うことにした。

 で、始めの話しに戻るけど、ふとした時にウホッて言いたくなる時は、たぶん頭の中に自分以外に、もう一人、いやもう一匹ゴリラの人格みたいなのがいると思うんだ。

 最近私の元に相談しに来た、20代の男は、男を見るとことあるごとにウホッって言ってしまうみたいなんだ。だから、私は解決策を探り出し、答えを示した。

「たぶん、あなたバナナを食べるのが不足しているんじゃないでしょうか。だから、頭の中にいるゴリラの人格が、我慢しきれずにあなたの人格に影響を与えるぐらいまで、出てきてしまっていたのでしょう」

「では、どうすればいいのでしょうか」

 相談に来た男が私に言った。

「ええ、それはとても簡単なことです。あなたの頭の中にいるゴリラはあなたの体の中にバナナが十分に満たされている時は出てこられないと思われますので、あなたは自身の身体の中にバナナが足りなくならないように、気を付け適度にバナナを食べることをオススメします」

「そうですか。ありがとうございます」

 男は言うと、私を見てウホッっと言った。

「あらあら。どうやらあなたの体にバナナが不足しているようですね」

「そ、そうですか。バナナが不足しているのですか」

 男は視線を私の股間の方へと向ける。

「そのバナナではないですよ」

「そ、そうですよね」

 男は少し恥ずかしそうに俯くと、私にお礼を言い、去っていった。

 一つ悩み解決した私の心が晴れやかに澄み渡るのを感じたよ。

 すると、私の目の前にたいへん驚くべき光景が飛び込んできた。

 私の目の前には男がいたのだが、その男が先ほどの悩み相談した男とは比べ物にならないぐらいの、深刻な症状をしていたのだ。

 その男は突然、犬の鳴き声を発した。次に猫の鳴き声を発した。次に馬、羊、ヤギ、顔もどんどんと声に合わせてその声の動物の顔のようになる。動物の鳴き声が終わると、人間の様々な男や女の声に変わっていった。

 まずい。まずい。一体あの男に何が起きているというのだ。

 私は焦り、その男の元へと急いで近づき、声をかけた。

「大丈夫ですか? 意識はありますか? 私の声が聞こえますか? 届きますか?」

 すると男は一瞬困惑し、驚いたような表情をした後、言った。

「何か勘違いをさせたみたいですみません。ちょっと物まねの練習をしていたもので……」

 男は巷で有名な物まね芸人だったらしい。

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