第零話 パラレルワールド
魔法が存在する世界、科学の世界を見てみたいひとは是非どうぞ。
人間は本当に何者の干渉を受けずに新人に進化できたのか?ひょっとしたら何者かに我々は創られ、今も観察されているのではないか?という疑問を元ネタにしてみました。
京都は昔から栄えた日本の都である。時の都は東京に移ったが、先人達が作りあげた建築物、仏像、芸術品の多くが残されており、多くの観光客で賑わっている。
月明かりに照らされた古い屋敷には誰も居ないように見えるが、僅かに人の話声が聞こえる。
「【支柱の杖】はアメリカ、ドイツ、中国、ブラジル、ニュージーランド、南アフリカ共和国の六か国からそれぞれ三つに分解、一週間後に持ち込まれる予定です」
闇の空間の中に座っている七人の内一人が発言した。
会議では各種族の民族衣装の上にローブを纏うことが鉄則である。加えて時計回りに発言するのが会議のルールだ。
「六つに分解する程必要とは思いませんが?」
灰色の色をした瞳をもつエルフが発言した。唯一の光源である月光に反射して短髪の金髪が輝く。
「科学魔法の連中に奪われないための用心のためでしょう。先の大戦で【支柱の杖】が無事だったのは先程上げた六か国だけなのですから。向こうの方針にこちらからは殆ど言えません」
褐色色の肌をもつダークエルフの女がエルフの疑問に答えた。ロングヘアーの銀髪がそよ風に少し、煽られる。
「新たに出現した科学魔法は現時点では、全ての魔法よりも何十倍も強力なものだと報告がされています」
頭の上から生えている兎耳をピクピクさせている女が発言した。
「意思を持たない単なる道具の魔法がまさか独自の進化をするとは」
ネコ科の哺乳類共通の細い黒目をしたキャットヒューマンが驚愕の色をかくさずに言った。
彼は頬の端から生えているヒゲを弄っている。
「太平洋から発掘された【天使のメモ書き】通りになってしまうの可能性も捨てきれません」
緑色の髪をもつ女が今の状況を危惧するように言う。僅かに潮の香りが全身からしている。
「いーや、そんなに危惧するような事はまだ起きませんよ。設計者の皆様」
厳粛な空間に相応しくない陽気な声が部屋に響いた。
「誰だ!?」
いつの間に居たのだろうか。女は月光の差し込む場所に移動した。真っ黒なゴスロリを着ているのが辛うじて分かる。
「うん、私達も驚いているわ。彼女の肉体から生まれた貴方達がまさか魔法を進化させてしまうとは恐れ入ったわ」
女は口元を弓形に歪めてクスクス笑っている。まるで今の状況を楽しんでいるかのように。
「何が言いたい?」
ヒト族の男が強い口調でゴスロリ女に尋ねた。他の代表者達は全員、起動状態の杖をゴスロリ女に向けている。
「今、貴方達は親でもある存在に武器を向けているのよ。ちゃんと・・・あっこれが反抗期かぁ。なるほど」
一人で納得したらしく、合槌を打つ。
「まっ今の所は【観察】だから手出しは出来ないけど、その時が来た時は
母親がどんな表情するか見物ね」
またクスクスと笑うゴスロリ女。此処までくると返って不気味だ。
「もしかしてお前は、天使?」
金髪エルフ男が疑問をゴスロリ女に投げかける。声には多少の怯えが混じっている。
「おっまさか正体が暴かれてしまうなんて、イヤン!」
自らの手で自分の体を抱きしめるゴスロリ女。腕に挟まれた豊満な胸は服を破って出てきそうだ。
「私の正体を当てたご褒美として一つこれから起きる出来事の一部を言っちゃいまーす!」
警戒しながらも【世界】を作り出した【神】の使いである【天使】の言葉を聞こうとにじりにじりと近ずく代表者達。
「それはねぇ、この世界の誰かが別の世界に飛んじゃいまーーす!」
世界の終わりとか、戦争が起きるとか、歴史に残る様な言葉を言うと思った代表者一同は全員同時にこけた。
「そっそんな小さい事別に如何ってことないじゃない」
立ち上がったダークエルフの女が欺瞞の眼でご機嫌のゴスロリ女を睨む。
「私は未来を司る
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