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「……っ」
望命くんの震える声が、降り注ぐ雨音の中に響く。
僕は何も言えなかった。
ただ、目の前で綺麗な紅色の瞳からポロポロと涙をこぼしていくことを、その涙が水たまりを作っていく幼なじみを見つめることしかできなかったのだ。
探偵として、人々を助けるという信念を胸に抱いてきた望命くん。
その彼が、正義では救えない命があるということに気付いてしまったのだ。
「俺の優しさだけの正義じゃ、誰も救えないんだ……っ!」
「………」
どうして、何て曖昧な事聞けない。
僕はただ、彼の背中を見つめることしかできないのだ。
そんな今日、僕と彼の物語にピリオドが打たれた。
大きな大きな亀裂だけを残して―――。




