〈file3〉
「は!?い、依頼!?ねぇよそんなの!
俺は望命の事が心配で見に来てやっただけだし……!」
「なら、依頼じゃなくて良いからさ、お前の話し聞かせてくれよ?
ただ近所のお兄ちゃん達に相談するだけなら、依頼料も要らないし、変に畏まらなくても良いだろ?」
「……わかったよ」
この二人のやり取りを見て、さすが眞人だ、と望命くんが呟いた。
眞人くんは、嘘を見抜く事や情報収集能力が高い。
相手を心の底から信頼していないから、自然とそう言う特技が身に付いたのだろう。
そして更に、その嘘を相手の口から吐かせるための話術にも優れている。
人を致命的なほど油断させ、自分の望む方向に誘導する天稟を持つ。
笑顔、声のトーン、間の取り方、共感を示す仕草……。
そしてそれらすべてを利用して相手の嘘を見抜き、吐き出させる、話術の天才だ。
それは子供相手でも変わらない。
……いや、子供にだと少し優しくなるのかな。
これだから眞人くん相手だと警戒が解けないんだ。
いつ重要な事を聞き出されるかとひやひやして、雑談に集中何て出来ない。
まぁ、彼の記憶がない時はかなり油断していたけれど。
眞人くんが維蘭くんを応接椅子に座らせると、彼はポツリポツリとここへ来た理由を話し始めた。
「本当に相談しても良いのか?
俺説明下手くそだし、何より依頼料が……」
「逆に子どもから依頼料とか取れないよ……。
ゆっくり、少しづつで良いから今維蘭くんが困っている事を話してくれると、俺達はその困っていることを解決出来るかもしれないんだ。
君の力にならせてよ」




