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ヒーローになりたくて  作者: CANA.
⚠day12 - recurring nightmare【クレインサーベイ:trivial case】⚠〈本編〉

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83/93

〈file13〉

「ちょ、ちょっと待って……!

どうして私が諳を殺さなきゃいけないの……!?

涼路くんへの恨みって何……?

彼には頻繁に会ってないし……動機だって……!」



望命くんに指摘された結鶴さんは、急に声を荒らげて否定した。

そんな結鶴さんをまたも真剣な眼差しを向ける望命くんに、僕も声を掛けた。




「先程俺が「諳さんが誰かに刺された」と言うと、貴方はこう返しましたよね?

〝なら、(そら)は誰かに包丁で刺されて殺されたって事なの〟……と。

俺は、誰かに刺されたとしか言っていないし、俺達が現場に駆けつけてからは誰もあの場には近寄らせていない。

なのにどうして、彼を刺した凶器が包丁だとわかったんですか?」



「あ……そ、それは……通り魔と同じって言ったから、包丁なのかなって……。偶然……そう、偶然よ!

第一、証拠はあるの!?

私が諳を刺した証拠や、通り魔だって証拠は……!」



「ないです。今俺が話した話も、ただの仮説でしかありません。

けれどこの3年間、俺が仮説を裏付ける為に何もしてこなかったわけじゃない」




その言葉を聞いて、先程から冷や汗を垂れ流し続けていた結鶴さんがカウンター席から崩れ落ちた。

美しく保たれていた彼女の美顔は、一度破られると醜く腐ったリンゴの様になってしまう。


これが、望命くんの解決。

いや、本来の彼ならこんな解き方しないはずだ。

それは、望命くんを長年見続けてきた僕が保証できる。

誰かに対して言うわけではないけれど、彼はそんな人じゃない。


多分、彼は心のなかで結鶴さんに怒っているのだろう、苦しんでいるのだろう、哀しんでいるのだろう。

信じた人が、信じようとした人がまた自分を裏切ったことに。

そして、彼女が腐り果てる前に救えなかった自分自身にも炎を燃やす。

もう、この解決から彼も、結鶴さんも、眞人くんも、そして僕も逃れられない。


結鶴さんは床に座ったまま、深く深く息を吸った。




「ふっ、あはははははっ!

はぁ……胡琶くん、やっぱりすごいのね。

最下位でもさすがプレベントの探偵ってところかしら。

えぇ、そうよ。諳を殺したのも、涼路くんの彼女を殺したのも、今ここで眞人くんを殺そうと構えているのも、全て私」



「……眞人が見ちゃったんですね。

貴方が諳さんを刺した所を……だから記憶喪失にもなった……」


「そうなの。最初は見られてることに気付かなかった……。

けれど、胡琶くんから記憶喪失になったって聞いて、初めて気付いた。

だから今日ここで殺すつもりだったの。





さぁ、まだ謎解きは残っているんでしょう、続けて―――?」

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