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「ここが失踪した少女の家かぁ〜」
「あれ、玄関に誰かいる……」
コルリスから右に曲がってまっすぐ行った所にその少女の家はあった。
今回の依頼は「失踪した少女を見つけて欲しい」と言う物だった。
事件概要はこうだ。
少女の名は黒羽 依。
母親の黒羽真那とこの雪が積もった様に白く綺麗な一軒家で2人暮らしをしている14歳。
つまり、僕らよりも一つ年下と言うわけだ。
一昨日の夜、母親の寝ている間に家からキッチンの茶色い戸棚の上に隠しておいた黒羽真那のキャッシュカード、クリームパンやメロンパンなどの軽食を持って出て行った。
そして、朝目覚めた時、依が隣にいないことに気付いた真那が警察に捜索願をだして、2日の今に至る。
どうして、どこに行ったのか、それを解き明かして欲しいと店長経由で依頼が来たのだ。
そう、今回はコルリスと言うよりは僕個人への依頼だ。
何処かで僕のことを見ていたのだろう。
これだから相談所関連であまり外出はしたくないんだ。
面倒事がまた増える。
眞人くんをあの部屋に店長と残したまま、僕と望命くんでここへ来た。
別に僕一人でも行ける、と言ったんだが、事件なら関わらせて欲しいと僕に頼み込んできたのだ。
……が、僕は此処にきて後悔している。
望命くんが来てくれるなら、全部彼に任せれば良かったと。
仕方ない、一つ溜め息を零し玄関に群がる人の波に入ろうとした、その時だった。
彼が望命くんの名前を呼んだのは。
「胡琶望命」
「!あなたは……」
「?望命くんこの人誰?」
「この事件を担当している、プレベント所属No.8「ナレッジシーガル」、マインドハックの探偵・蓿李燕路だ」




