〈file5〉
「こちらが一昨日から昨日までのこの辺りのデータですが……」
「ありがとうございます。失礼しますね」
今僕らは、管理室の大きなホログラムモニターを操作している管理員の住友さんの後ろから、丁寧にお願いするようにして、例の路地を監視しているカメラを見せて貰っている。
最初入った時には驚かれてしまったが、眞人くんに借りたサイレントバッジが功を奏したのか、こうして見せて貰える様にはなった。
住友さんの後ろからマウスだけをお借りして、落とした可能性のある路地周辺の立体図を表示し、一通り僕の記憶の中に入れる。
監視カメラで拡大縮小等は出来ないが、僕の記憶の中でなら、不可能ではない。
取り敢えず全ての状況と時間を見て、昨日の様にして脳内に書き出す。
すると……。
「瀬凪、見つかったか?」
「……うん。この路地の近くにある小さなトンネルの中だ。
さっそくそのトンn―――」
そのトンネルに向かおう、そう言おうとした僕の言葉は、伊馬さんの声でも無く、住友さんの声でもない、何処からとも無く聞こえた地響きする程の爆発音に遮られた。
「爆発!?」
「この音……榮倉さんが言ってたトンネルからです……!」
「なっ……」




