表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヒーローになりたくて  作者: CANA.
⚠day8 - またねからさよならへ【コルリス:trivial case】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

46/93

〈file7〉

池浦さんが僕を産んだ時、彼女の精神状態はあまりにも不安定だった様で、僕を育てる事さえも拒んでいたらしい。

そんな彼女は店長に離婚届と親権を突き付けて別れて欲しいとせがんで来たようで。

店長も、そんな彼女の元で僕を育てることは厳しいと判断し、その離婚届に判を押した。


僕にその過去を伝えなかった理由は、親の夫婦喧嘩に子供である僕を巻き込みたくなかったと言う物だった。




「……こんなにすぐ、会わせるつもりは無かったんだ。

瀬凪くんが大人になってから、成人して心も強くなってからのつもりだった」



「だから、彼にカフェ従業員としてコルリスで働かせていたんですね。

いつか彼が成人した時に、強くなったその時に、池浦さんがこのアナグラムに気付いて会いに来てくれるように」



「……瀬凪くんが成長すれば、それだけの時間、沙蘭(さら)を一人にしてしまうことは分かっていた。

でも、瀬凪くんを放っては置けなかったんだ。


―――彼は、僕と愛する人の宝物(こども)だからね」




そう言って僕をまっすぐ見据えた店長の目は、不安に満ちていたが、何処か吹っ切れた様な目もしていた。


今まで僕に何も見せず、隠してきた店長が、今は望命くんの言葉に頷き、僕にこれまでの話をしてくれる。

それだけで僕は救われたような気がした。

今まで隠されていた事を全て話してもらえたからと言うのもあるかもしれないが、知らなかった店長の事を知れたと言う所が大きいだろう。


そんな店長は僕を瀬凪と呼んでくれているのに対し望命くんは、未だに僕の事を彼、君、と呼ぶ。


どうして名前で呼んでくれないのだろうか。

そんな彼の心情を、この後、僕は知る事になる。

彼の中での葛藤も、決断も、全て―――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ