〈file5〉
「翠、これからはお母さんとお父さんと3人で暮らしましょう!
そうしたらたくs―――」
「喋らないで下さい」
「……へっ、?」
「貴方と暮らす……?反吐が出ますよ。
今まで僕の事も、店長の事も放りっぱなしだったのに……っ!」
「それはっ……」
僕が何も言わなければこれだ。
今までどんな思いで僕がカフェの従業員をしていたのかも知らずに、のうのうと生きていたのだろう。
抑えようと努力しても、心の底から怒りが湧き上がってきてしまう。
僕も望命くんと同じであまり怒らないと思っていたのだがな、流石に堪忍袋の緒が切れる。
僕がそう、吐き捨てる様に言ってもまだこの女は諦めていないようだった。
執拗に僕を自分の領域へ連れ戻そうとしてくる。
どの依頼人さんや犯人よりもずっとずっと僕に拘ってくる。
今まで放りっぱなしだったんだからさぁ……、それならいっそ、もう放っておいてくれればいいのに。
そう思った時には、もう口が動いてしまっていた。
「僕の親は、何があっても店長だけだ!
あんた何か母親じゃない……っ!」
「……!瀬凪くん……」
「帰りましょう、店長。もうこの人といる理由何て無い」
「いや、まだ一つ解けていない謎があるよ」




