〈file5〉
「証拠は揃ったし、これでもし裁判になったとしても勝てますね!」
「あぁ。天堂さん、これまでよく頑張りましたね。
離婚した後は我々にお任せください」
「クレインサーベイの皆さん、東野さん、本当にありがとうございました……!」
「よかった……」
数日後、諸々の準備を終えて天堂さんの奥さん・天堂美夜さんは東野弁護士事務所を後にした。
その日は望命くん達クレサイのみんなと美夜さん、それから僕の5人で東野弁護士事務所で最後の準備をしていた所である。
大将と望命くんがコンタクトを取って早5日。
ようやく全ての準備が今朝終わった。
これで上手く行けば良いんだけど……、と不安がる僕をきっと大丈夫だと安心させてくれる眞人くんと冬李さん。
結局僕は何も出来なかった。
大将と望命くんの橋渡し役としての役目を終えて、今ここにいる。
今回もみんなに頼っちゃったなぁ……、と半笑いで呟くと望命くんが僕の名前を呼んだ。
「人に頼る事は大切な事だよ。
一人で抱え込みすぎると何処かで壊れてしまう。
そうならない為には、みんなに頼ることだって大切な事だ。
俺も、眞人も冬李さんも、東野先生も、誰も迷惑なんて思ってないからね」
「せやで!ていうか、本来こういう事件は探偵の仕事や。
|CRIMINAL CITY《この街》では違うんかも知れんけど、昔はそうやったんや。
やから、何も気に病む必要はないんやで」
「瀬凪くんは良くやってくれたよ、ありがとう」
クレサイのみんなが優しく肩を叩いてくれた。
僕が今一番言ってほしい言葉を皆はいつもくれる。
本当に、最高の仲間だ。
その後は東野の大将の事務所からコルリスに望命くんたちと沢山話しながら帰った。
眞人くんの秘伝のカルボナーラレシピの話しだったり、冬李さんの望命くんの自慢話し何て事も聞いた。
途中望命くんが蓋の空いたマンホールに落ちたり、子供の投げた野球ボールが顔面に命中したりと、彼の運の悪さが光に光っていた。
本当、今まで探偵やってて良く死ななかったな……と言うレベルの運の悪さなのに望命くんはずっと笑ってやり過ごす。
そこが、彼の一番凄いところかも知れない。
「ただいまで〜す」
「瀬凪くんおかえり。先ほど少し冬李から相談されてね。
望命くん達の事だから、麗羽と一緒に聞いてくれるかい?」
「冬李さんが?今はお客さんいないですし、店長が良いなら……」




