〈file6〉
「………な、何でしょう、柏木さん……」
「えぇ、少し話があってね。まず……ごめんなさい!」
「・・・え!?何で!?」
「コルリスの事を誤解していた……。最近望命くんの街で探偵と警察以外が事件を捜査して撹乱させてるって噂が出てて……私も探りを入れるために望命くんに連れてきてもらったの」
あの後、まだ店に残っていた店長に簡潔に事情を説明し、麗羽さんを預けた。
そして柏木さんの話しを聞くべく、クレサイの事務所へと戻って、今に至る。
正直気まずい他無い。
そもそもい、依頼人やお客様以外で女の子と話したこと何て無いし……し、しかも何で向かいのソファーではなく僕の鎮座したソファーに座っているんだ。
あばばばば……と戸惑っている心中を少し抑え、何とか声を掛ける。
すると、案外にも柏木さんは話し出してくれた。
そして、何故か謝られた。
驚きすぎたからか、いつもより声が大きくなってしまう。
柏木さんの話しを聞き、そう言えば最近はかなり事件に肩入れしていた気が……あ、それって……元探偵の柏木さんにはあまりよく思われないのでは……と今更ながらに気付く。
「い、いえこちらこそ!勝手に許可なく現場に立ち入ってしまい本当に申し訳ありません……!」
「望命くんが許可してる子ならそこまで悪い子じゃ無いのかなって思ってたんだけど、疑う必要すらないお人好しだったようで、安心したよ!本当に疑ってごめんね」
「誤解が解けたならよかったです……!」
慌てて謝る僕をみて、くすっと笑う柏木さん。
初めて見た笑顔は、少し子供っぽくて同じ〝人〟何だと安心する。
望命くんに何かあったら……、と心配そうに眉を下げて言う彼女を見て改めて、本当に望命くんを尊敬しているんだなと思わされた。
探偵として尊敬して、性格も敬愛して……。
望命くんのプロファイリング能力は傍から見れば変人行動だ。
異能とも認定され難いから、誰にもわかってもらえないし、個性としても認められない。
今までも学校や近所で苦労してきた彼の事を見てきた僕だから分かる。
そんな望命くんの事を、眞人くんや冬李さん以外にここまで想ってくれる人が1人でもいてくれて良かったと、そう心の底から柏木さんに感謝するのだ。
いつもいつも相談所以外でも望命くん達には助けて貰ってきた。
だから、これは僕からのほんの少しのお返し。
柏木さんには言う必要はないと思うけれど……。
「柏木さん、僕から頼み事を頼まれてくれないですか?」
「え?瀬凪くんから?全然いいけど……」
「これからも、望命くんと仲良くしてあげて下さい!〝友達〟として!」
「……!……もちろん!」
―――@Day3『罪なき踊り子』終幕―――




