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ヒーローになりたくて  作者: CANA.
@day1 - 奇妙な依頼人
2/52

〈file1〉

皆さんは「悪者」と言えばどういうものを想像しますか?

「ヒーロー」と言えばどういうものを想像しますか?

僕は「悪者」とか、「ヒーロー」とかは良くわからない。

「悪者」の言う事全てが間違っているのか。

「ヒーロー」の言う事全てが正しいのか。

そんなのは誰も分からない。


「ヒーロー」だから全てが正しいとか、「悪者」だから全てが間違っているとか、そんな物全て分からない。


だから、見る立場を変えれば、視点を変えれば「ヒーロー」でも「悪者」になっているかもしれない。


皆さんはどう思いますか?

このお話はそう言うお話なのかもしれません。






カランカラン


「店長〜、お客さんからホットドッグの差し入れ貰いましたよ!一緒に食べましょう!」


「ありがとう。瀬凪(せな)くん、お使いは出来たかな?」


「えぇ。コーヒー豆とガムシロップ、シュガースティック、それからミルクですよね?うちのコーヒー、人気だからすぐになくなっちゃうんですよね〜」


「そうそう。ありがとう。それとお昼ご飯は瀬凪くんが先に食べてきて良いよ。僕はここで店番をしているから」


「本当ですか!?ありがとうございます!じゃあ、食べてきますね!」


「うん」


11月9日。

陽気な鐘の音が店内に響いたその時、店の中に入ったのは僕・榮倉瀬凪(えいくらせな)

ここは大阪府CRIMINALCITY(よろず)街5丁目21番地に店を構える「cafe・colrisu(こるりす)」。

昼間は至って普通のカフェである。


僕が先程まで出かけていたのはこの店の主である店長にお使いを頼まれていたから。

その店長がいるキッチンへと足を運び、常連のお客さんから貰ったホットドッグを手に持ち、一緒に食べようと誘う。

僕が声をかけるとすぐにキッチンから出て来て顔を出してくれる中年の男性で店の名前が書いてあるオリジナルのエプロンを身に着けている店長。


店長は僕がここ、萬街の裏街道で捨てられていた所を拾ってくれたから、僕の命の恩人なのである。

拾ってくれてからも僕に「言葉」を教えてくれたり、ここで働かせてくれたり、名前をつけてくれたりと、世話を焼いてくれた育ての親の店長。


だが、かなりポンコツだ。

何処か一つ抜けていると言うか。

まぁ、そんな店長だからこそ、お客さんにも慕われているんだけどね。

そんな店長の〝名前〟を僕はまだ知らない。

教えてくれない。


今はそんな事を考える余裕も無いくらい繁盛している為、今の今まで考えていなかったが、また思い出してしまった。


僕はそんな事を考えながらも店長に頼まれた店長お気に入りのコーヒー豆、ガムシロップ、シュガースティック、ミルクを透明の袋から取り出す。


店長は僕が袋から物を取り出す度に頷き、確認してくれる。

本当に世話焼きな人だ。

僕はもう15歳!

子供じゃないというのに、やはり心配みたいだ。


お昼ご飯をわざわざ誘ったと言うのに断る店長。

確かに、店番がいないとお客さんが来た時に困る。

お昼ご飯を食べるべく、僕は店長の元から去り、バックヤードへ行く。


そんな事があったのも数時間前。

今はもう、19時23分。

「cafe・colrisu」の閉店時間は19時だ。

だから今この店は「cafe・colrisu」ではない。

「Consultation center・colrisu」

「Consultation」は日本語で相談所。

そう、今ここは悩んでいる人が来る場所なんだ。

もう表の看板は「Consultation center・colrisu」にくるりとひっくり返したし、ライトだって明るい色から青いライトに切り替えた。


ここからが、僕達の本当の仕事。

さぁ、今日はどんなお客さんが来るかな♪

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