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その言葉に、眞人くんが静かに、そして力強く口を開いた。
「違う。お前はまだ探偵だろ。
お前はまだ何も諦めてないし、そんな自分を〝はい、そうですか〟って受け入れられるほど単純じゃないだろ。
それは俺が、俺と瀬凪くんが一番知ってる」
望命くんは、眞人くんの言葉にゆっくりと顔を上げた。
「……そんな嘘に絆されるほど俺は人間じゃないからね。
俺はもう……」
「嘘じゃない。お前は、まだ心のどこかで探偵としての自分を捨てきれていない。
だから、こんな場所でこんな夜に一人で絶望しているんだろ」
眞人くんの言葉に、望命くんの瞳が、僅かに揺れた。
その瞬間、僕は、彼がこの場所で、一人で戦ってきたことを悟った。
彼は、探偵であることを諦めたのではなく、探偵としての自分を、一人で終わらせようとしていたのだ。
「望命くん、行こう」
僕は、彼に優しく小さな自身の手を差し出した。
「君は、一人じゃないんだ」
僕の声はもう震えていなかった。そこにあるのは、ただ目の前の親友を救いたいという、純粋な願いだけだった。
僕の言葉に反応した望命くんの瞳から、一筋の涙が溢れる。
その涙は、彼の心に再び、希望の光が差し始めたことを象徴しているようだった―――。




