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ヒーローになりたくて  作者: つむろ.〈CANA.〉
⚠day15 - 傷付いた心を縫い付ける為に【最終章】

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〈file3〉

扉を開けた瞬間、冷たい夜風が僕らの体を強く叩いた。


延朴塔の頂上は、すべての光を拒絶するかのように、闇に包まれていた。

遠くに見える街の灯りだけが、この場所が世界から切り離されていることを告げている。



―――そして、その暗闇の中に、彼は立っていた。



かつて、いつも笑顔で、未来を語っていた幼馴染。

彼の背中からは、もう、あの日の温かさは感じられない。

ただ、風に揺れる髪と、その細い肩が、今にも消えてしまいそうに震えているのが見えた。




「何で来たの……?」




絞り出すような声が、夜風に乗って僕らの耳に届いた。

その声には、怒りも、悲しみも感じられない。

ただすべてを諦めた、深い絶望だけが満ちている様な気がした。




「眞人達には、関係ないでしょ……」




眞人くんは何も言わずに、僕の一歩後ろに立ってくれた。

彼は、眞人くんは、自分だって望命くんに何か言いたいはずなのに、その言葉をキュッと押し込めて僕に発言権を与えてるくれる。

彼の沈黙は僕に勇気をくれた。

僕が今望命くんにに伝えるべきことは、ただ一つだけだ。




「関係ないなんてこと、あるわけないじゃん!」




僕の声は、少し震えていた。

でも、それでもよかった。



「望命くん……。君の痛みは、僕には全部は分からないかもしれない。でも……」



僕は、震える声で続けた。




「……でも、僕と眞人くんには、君のそばにいることはできる。君が一人で戦ってきた痛みを、僕らが一緒に背負うことはできるんだ!」




望命くんは、僕の言葉を聞いて、小さく笑った。


「…笑わせないでよ。

瀬凪くん達に、何がわかるって言うの……?」



その声には、嘲笑が含まれていた。



「…俺はもう、探偵じゃない。

何も出来ない、ただの人間なんだよ……」

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