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ヒーローになりたくて  作者: つむろ.〈CANA.〉
⚠day15 - 傷付いた心を縫い付ける為に【最終章】

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〈file2〉

静かな夜風が僕らを仰ぐ。


ここは延朴塔の頂上へ続く、終わりなき階段。

塔の電気は消え、エレベーターは動かない。

夜闇に浮かぶ一歩一歩が予想以上に重く、僕らの足を苛んだ。


終わりなき階段を登りきり、頂上へ続く扉のノブに手をかける。

何度深呼吸しても、心を落ち着かせても、手の震えは止まらない。

僕は震える自分に語りかけた。



〝今から望命くんを救うのに、そんなに弱気になってどうするんだ。

彼の心も身体も、全部救う……それが真のヒーローの役目なんじゃなかったのか〟



ノブに手を掛けてから数分経った。

後ろには何も言わず待ってくれている眞人くんがいる。

後は僕が一歩踏み出すだけなのに、どうしても震えが止まらない。

いや、きっとこの震えは望命くんを見つけたとしても止まらないだろう。

僕の心に不安が残り続ける限り、震えは止まらない。

でも、それでも良いんだ。


アニメや映画に出て来る様なヒーローは、きっと僕みたいに意気地なしじゃないし、弱くはないのだろう。

もし、そんなヒーローになれる様な完璧な人がこの世にいるとすれば、その人と僕らは死ぬまで相容れない存在なのだろうと深く思う。


でも、僕みたいに弱いヒーローだからこそ、誰かの痛みを分かってあげられるんだ。

望命くんの弱さを、絶望を分かって、心も身体も救ってあげられるヒーローは、この世に僕と眞人くんしかいない。




「……開けるよ」


「うん」







そして僕らは扉を開けた。

今にも散って行きそうな幼馴染を救う為に―――。

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