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ヒーローになりたくて  作者: つむろ.〈CANA.〉
⚠day15 - 傷付いた心を縫い付ける為に【最終章】

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〈file1〉

「延朴塔へ行く」







僕はそう言い放った。

眞人くんは何も言わず、ただ頷き、僕をコルリスから外へ促す。


扉を開ければ、冷たい夜の空気が僕らを包み込んだ。

コルリスの熱気は、もうそこにはない。

僕が今、歩き出そうとしているのは単なる道ではなく、望命くんの傷ついた心へと続く道だ。


僕には、針も糸もない。

でも、今僕が持っているもので望命くんのバラバラになった心を、もう一度縫い合わせなければならない。

彼の心にできた傷は、もう誰にも見えないかもしれない。

それでも、僕はその傷に優しさという糸を通し、痛みを感じさせないようにゆっくりと、丁寧に、縫い付けていこう。


隣を歩く眞人くんが、静かに口を開いた。




「あいつ、探偵を辞めるって決めたって言ってただろ?あれは嘘なんだ」



「え?」


「いや、辞めたいってのは本当なのかもな。

でも、あいつはまだ心のどこかで探偵としての自分を捨てきれていない。

だから、こんな夜にも一人で絶望の淵に立ってるんだ。

胡琶(くるは)が探偵を辞めたいと思う様になったきっかけの場所で、全部を終わらせる為に」




眞人くんの言葉に、僕はただ頷くことしかできなかった。

彼の言葉は、僕が持っている「希望」をより確かなものにしてくれる。


さあ、行こう。

君の心にできた、深い傷を縫い付ける為に。

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