表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

32/51

4-6.5『実録!溺愛密着24時!!~エーベルフェルト公爵家・追放(準備)編~』



---


屋敷に朝が訪れた。

一ヶ月前までは戦場のような緊迫した空気だったが、今は驚くほど穏やかだ。


鳥のさえずりが窓の外から聞こえ、柔らかな日差しがカーテンの隙間から差し込んでいる。


ルークは静かに目を開けた。

そして、ゆっくりと息を吐く。


「……完治、したな」


体に走る痛みも、熱もない。力も戻っている。


いよいよ、旅立ちの時だ。


そう思った瞬間——


ガチャリ


「ルーク、具合はどうだ!」


「……」


開口一番、父親の声が部屋に響いた。


「……父上、おはようございます」


「おお、おはよう!」


ルークは、一ヶ月の間でこのパターンに慣れてしまっていた。

傷の手当をする医者よりも、付きっきりだったのは父の方だった。

公爵としての業務があるはずなのに、どれだけ忙しくても必ず様子を見に来る。


執事が止めても、ミアが苦言を呈しても、一向に懲りる様子はなかった。


そして、今日も——


「公爵閣下、書類の山が……」


扉の外で控えていた執事の声が響く。


「ルークの様子を見に来た」


「昨日も来られました」


「何か問題があるか?」


「……いえ、ございません……」


「では、問題ないな」


……執事の肩が、僅かに落ちた。

もう日常茶飯事だ。


ルークは心の中で(申し訳ない)とだけ思って、そっと目を伏せた。



---



「……さて、行こうか」


ルークは荷物をまとめ、旅支度を整えた。

基本的なものだけを持ち、できるだけ身軽に。

馬一頭あれば問題ない。


だが——


「?荷物が…増えている……?」


寝る前に整理したはずの荷物が、なぜか倍になっている。


そして部屋の外に出ると、使用人たちが総動員で、何やら忙しなく準備を進めていた。


……いや、これは貴族の遠征の規模では???


「父上、私は馬一頭あれば充分です」


「足りるか?」


「……はい」


「本当に?」


「本当に」


「そうか……ならば、せめて予備の馬を——」


「いりません」


「そうか……ならば、せめて護衛を——」


「いりません」


「そうか……ならば、せめて予備の装備と——」


「いりません」


「む……そうか……」


沈黙。


一瞬、納得したように見えたが——


「では、医薬品と非常食を——」


「それもいりません」


「む……」


納得する様子がない。


使用人たちは、大量の荷物を前にして困惑している。

薬、保存食、予備の衣類、旅費——

どれも過剰すぎる量だ。


「父上、これでは旅ではなく貴族の巡行です」


「安全を考えたら当然だ」


「私は旅をするのです」


「分かっている」


「…………」



---


父の手元からはらりと落ちた1枚の紙


「父上、落としましーー!?」


✅ 医薬品 → 用意済み(異常な量)

✅ 非常食 → 貴族の豪華保存食が山積み

✅ 予備の衣類 → 10着以上

✅ 旅費 → 「貴族の旅行」レベルの金貨が入った袋

✅ 宿泊先リスト → 「馬小屋に泊まるなど言語道断!」


「ああ、すまん、ふむ…これとこれはよし、あとはーーそうだあれがーー」「父上……」



---




パパ「旅の途中で困ったことがあったら、すぐに手紙を書け」


ルーク「はい、分かりました」


パパ「3日に一度は必ずだ!!」


ルーク「……3日?」


パパ「いや、毎日でもいい。寧ろ書け」


ルーク「自由とは………?」(哲学)



---




ついに、旅立ちの時が来た。

馬にまたがり、屋敷の門へ向かう。


だが、その直前まで——


「護衛をつけてもいいんだぞ?」


「宿に困ったら手配するからな?」


「怪しい女には気をつけろ、ハニートラップには特にだ」


「やはり私も一緒にーー」




「行ってきます」





---




執事「公爵閣下、そろそろ屋敷に戻られませんか」


パパ「いや、もう少し…もう少しだけ…あいつの姿が見えなくなるまで……」


ルークの後ろ姿が、小さくなっていく……


パパ 「……ルーク……絶対に、無事で帰ってこいよ……」(小声)


執事(……追放、とは)


パパ「……!そうだ、分家を作ってルークを当主に置けば良いのではないか…?ふむ…調べてみるか」


執事「……、…」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ