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初めてを初めての君に。

作者: 天神朱音

付き合って一か月がたった時、彼からホテルに誘われた。

意味が分からないわけじゃない、ホテルに入る意味も、これからするであろうことも。

でも初めてだった私は、心の中は不安だった。

行為よりももっと身体を許すことで捨てられてしまうのではないか、それが一番不安だった。

でも好きな彼に嫌われたくなくて。つまらない女だと思われたくなくて。

ついてきたホテルで誘われるがままにシたsexだった。

彼も初めてだと言っていたから、彼に求められて彼の初めてになれるのならいい気がした。

こんなことに心は満たされなかったけれど彼の初めてになれたことに嫌な気はしなかった。

終わったとき私は、感想が欲しかったわけじゃない。一杯の水が欲しかったわけじゃない。

ただただ私は隣にいてほしかっただけ。

でも彼はたばこを吸いに行ってしまった。

わかってる。大事にされたわけじゃない、捨てられたわけじゃない。わかってる。

でも心は小さく締め付けられた。

私ね、別にお姫様みたいな扱いしてほしかったんじゃないよ。

でもね、私も君が初めてだったんだよ。

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