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3話



……というわけで、アズールと一緒にご飯を買いにきた。途中でアズールがうんうんと唸っている。


「どうしたの?」


「肉弁当が半額……」


「夕ご飯の材料買いに来たっていうのに?」


「明日の弁当にしようかなって。色々配置とか考えるの不器用だからできないし……」


「自分が食べるものなんだからそう深く拘らなくても良いんじゃない」


「と、綺麗な弁当を作った人が申しております」


「……貴方って本当にがさつなんだね」


「よく言われる」


「明日のお弁当は今日のご飯の残りを詰めよう。今日のからあげも昨日の残りだったし。そうすると楽なんだ」


「なるほど。そうするのもアリなのか。今日作るのが弁当に入れられるものだと良いな」


「決まりだね、というわけでそのお弁当を元の場所に戻しなさい」


「………音廻、もしかしなくても割引されてるのとか買わないタイプだろう」


「割引されているものはそうしないと買ってくれないくらいの欠点がある。だからあまり買わない」


「そんな人間も居るんだなぁ。やっぱり、気が合わない人間は嫌いだろう」


「嫌い、な人はそんなに居ない。興味ないで終わっちゃうから。でも、強いて言うなら暴力に頼る人は無理かな。女性でも男性でも無理」


「なるほどなるほど」


そうして私達は雑談をしながら買い出しを終えた。




「危ない包丁の使い方だなぁ……」


家に帰宅して、早速料理を作ることになったのだが、アズールの包丁の使い方が危なすぎる。指を切るどころか切り落としそう。


「それ、独学でしょ。使い方くらい誰かから教えてもらえば良いのに。……あ、危ない」


今のもう少ししていたら確実に指をやっていた、見ているこっちがハラハラする。


「アズール、教えてあげるからちゃんと集中して」


そうして私はアズールの手に自分の手を重ねた。結構温かい手なんだな……ん?


「どうしたの」


「いや……音廻の手は柔らかいんだなぁって」


「……!」


待て待て待て、変に意識しかけたぞ。私はホモじゃない、ドキドキする理由なんてないんだ。……ちょっと待ってアズールの手ってなんかほどよく硬いっていうか大きいというかなんというか……深く考えるのはやめるか。


「それじゃあ、教えたとおりにやってごらん」


「……うおっ、ニンジンが宙を舞った」


「どうやったらニンジンがトリプルアクセルするんだ!?」



……そんなこんなで料理が完成。味見はしてないから味はわからないけどどうなんだろう。見た目は悪くない。


「とりあえず、食べてみよう」


「……音廻」


「何?」


「私、箸使えない……」


「フォーク持ってくるよ」


フォークを持ってきて、一緒に料理を口に含んだ。味は果たして……


「美味いか? 私は食えるものはなんでも美味いと思ってしまうからわからないんだが……」


「………ん、まぁ美味しいっちゃ美味しい」


「本当か! 音廻が言うってことは上手くできたのか!」


めっちゃ笑顔になるじゃん。そんなに嬉しいんだ。まぁ調味料を入れる量が大雑把だったのは気になったけどね。


「明日はどうする?」


「明日もやるのか?」


「やらないの?」


「私は毎日ここに来れるけど、流石に迷惑だろう?」


「案外暇だから大丈夫だよ。それに、あの光景を見てわかった。アズールは放っておくと色々不味い。逆によく今までそれでやってこれたね」


「私の普通は音廻にとっての異常、ただそれだけの話さ」


「別にかっこよくないから。それで、いつ帰るの?」


「いつ帰ろうかな、いっそのこと泊まってしまおうかな」


「ほ?」


「いや、昔からやってみたかったんだ。誰かの家に泊まるってこと」


「いやベッド一つしかないし。近いんだから家に帰って寝なよ」


「ほん? 二人いけそうだけどな。大丈夫だって、音廻を夜這いするだなんて騎士道に反するからな」


「男でも女でも一緒にベッドで寝ることはない」


「ケチだなぁ、泊まるくらい良いじゃないか」


「まだ出会ってしばらくも経ってない人を泊まらせる勇気は私にはない。ご飯食べたら帰りなよ、お姉さんいるんでしょ?」


「ケチ」


「なんとでも言えば良いよ」


「……ホモ」


「ちがぁぅ!!」


「ふぅん、たまに音廻が私を見る目が変わってるように感じるが。まるで、メスがオスに発情したみたいにな」


「例えがひどすぎるんだけど」


言えない、恋しかけただなんて言えるわけがない。


「でも、ずるいよ」


「何が?」


「だって、見た目明らかにイケメンな男の人だもん。みんな騙されるよ」


「仕方がないだろ、女らしくするのが苦手なんだ」


「……告白とかされなかったの? 同性から」


「………ある」


あるんだ。その人、ご愁傷様です。……と、色々話していたらご飯を食べ終わった。


「ごちそうさま。お皿洗ってくるね」


「良いのか?」


「頑張ってくれたからね」


「………なんか夫婦みたいだな」


「女同士の夫婦なんか居るか」


「そんな即答しなくても良いじゃないか」


「うるせぇ、ご飯食べたんだからさっさと帰れ」



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