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庭シリーズ

断罪された悪役令嬢は、異世界でお庭をコーディネートしています

作者: リィズ・ブランディシュカ



 私はとある貴族のお庭を歩き回って、ふむふむ頷いた。


 ここにはけっこう害虫が発生しているようだった。


 だから、スキルを利用して害虫駆除。


 こう、良い感じに虫が嫌いな駆除剤を調合して、お庭に散布した。


 これで、このお庭で食べられていた植物達は守られるだろう。


 一仕事終えた後は、お庭の主に感謝された。


 効果が出るのは早くても数日後、気が早いと思ったがそれだけ渡りに船だったのだろう。


「話題のお庭こーでぃねーたーに頼めて良かったわ。大切な花や植物が駄目になってしまわないか心配だったの」


 人の為になる仕事って素晴らしい。


 もともと土いじりは好きだったけれど、それを仕事にして働けるのは良い事よね。


 お庭の主に感謝されながら見遅れられた私は、次の仕事のスケジュールを確認していた。


「最近忙しくなってきたから、一つ一つの仕事がおろそかにならないように気を付けなくちゃ」








「彼女に行った数々の嫌がらせ! 見逃す事はできない! 言い訳をしたって無駄だ! 何らかの処分は免れないぞ!」


 私は乙女ゲームの世界に転生した転生者だ。


 前世の記憶を持って生きている。


 けれど、その記憶を思い出すタイミングが問題だった。


 こういうのって、前世の記憶を元に行動して、いかに本来の運命から外れるかが重要だと思っていたのだけど。


 思い出したのは、まさかの断罪直後。


 ヒロインを虐めた悪役令嬢ーー過去の私が、攻略対象達に糾弾された後だったのだ。


 記憶を思い出した事によって、人格が上書きされ、私は元の悪役令嬢ではなくなった。


 けれど、それを攻略対象達にうったえた所で、証拠はない。


 私にできる事は何もなかった。


 それで、数日後には貴族の身分をはく奪されて、平民に身を落とす事になり、失望した両親からは家から追放されてしまった。






 大いに困ったけれど、元からあまり深刻に考えすぎない性格だったから、すぐこれからの事を考えた。


 それで、これからどうやて生活していこうかと考えた私は、前世の趣味を活かす事にしたのだ。


 それが、土いじり、お庭いじりの趣味だ。


 思い立った私はすぐにとある花屋の扉を叩いて弟子入り。


 住み込みで働き始める事にした。


 そのお店の人が良い人で良かった。


 良い人過ぎて心配になるけど、近所の人がしっかりしてるし、周りが優しい人ばかりだからやってこれたのね。


 私も彼等の力にならなくちゃいけないわ。







 そう言うわけで私は、悪役令嬢スキルを駆使して働く事にした。


 最初は普通にお花屋さんの手伝いをしていたけれど、スキルが役に立つならそれに越したことがないもの。


 ヒロインにイジワルしていた力を封印するよりは、人助けに使えるなら、その方が良い事じゃない。


 というわけで、ヒロインのお弁当を腐らせていた発酵スキルを良い感じにつかって、肥料を作成。


 各お庭にある良質な肥料を細かく作っていったわ。


 後は、ヒロインの持ち物にくっつけていた害虫操作スキルを使って、害虫駆除。


 冒頭にある通りね。


 害虫が良い感じに駆除できる散布薬を開発したり、害虫の体の仕組みや行動パターンを調べて寄り付きにくい肥料や場所を探したりもしたわ。


 後は、害獣操作スキル。


 ちょっとかぶってるけど、これも役に立ったわ。


 この周辺の、お金持ち達は住宅街から離れた所に広々としたお庭を造るのがブームらしいから、たまに獣に荒らされてしまうのよね。


 でもスキルをつかえばそれも解決。


 ヒロインを襲う事に使っていた害獣スキルがこんな所に役立つなんてね。


 





 で、そんな事をしていたら、色々と評判になったみたい。


 あれこれ、お庭コーディネートの依頼が入るようになったわ。


 拾ってくれたお店の人達の恩返しができてよかった。


 悪役令嬢のしでかした事は私には関係ないけれど、でも罪だけを置いてきぼりにしてはいけないものね。


 まったく関係ないなんて言ってたら、いつかお店の人にも迷惑がかかるかも。


 ちょっとずつ出来る事をして償っていかなくちゃ。


 でも、それにしてもやりがいがある仕事っていいわね。


 せっかく異世界に転生したんだから、もっとあたらしいお庭の形を皆に提案してこうかしら。




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