55悪魔
依頼が無いなら遊びに行こう。
今日はあそこの少女、
「こんばんは?誰を殺したいって?」
聞いちゃったもんね。自分の〈視線感知〉も20を超えた、意識すれば相手の自分以外への視線の強さ位は分かる。50になれば視線に含まれる簡単な感情も読めるらしいが。この少女はとても強い視線を誰かに向けていた。
「ひっ!な、何?」
誰じゃなくて何って。
「殺したいって、聞こえたけど?」
「な、何でもいい。あいつを殺してくれるなら……!」
白い悪魔はまだあまり表では知られていない。
少女は悪い商人に騙されて、お母さんをとられたらしい。もう生きてるのかも分からないけど。お母さんは銀の冒険者でお父さんはとっくに魔物に殺された。
自分は騙される方が悪いとも思うけど、
「じゃあ、その手に持つナイフで殺してきてあげよう」
そんな下らない事で少女を殺人犯にするのもねえ。出来ないとは思うけど。
「あ、ありがと」
肯定したね
「対価に記憶を貰う」
「え?……うぐ」
いたいけな少女に怪しげな液体を飲ませる、仮面の人物。
勿論、回復薬Lv70。左手に部位欠損解除薬、右手に自分の良く切れる短剣(沈黙薬付き)。せーの!
「ふっ」
「い"っ。………」
うん。叫びたくとも声が出ないね、『沈黙』だから。その大きく開いた口に左手の薬。
「よし」
「じゃあ、君の体(首から下)は貰う」
目の前で、取り込む。表でも有名に成りたい。
うん。良い記憶。普通の少女の記憶だ。色々参考になる。
「……!」
「服は返す。こんな夜中に危ないよ?じゃ」
ここか。
あれだ。酒池肉林ってやつ。簡単簡単。
「……っ」
「白い悪魔か!」
「……」
む。さっきまで確かに寝てたのに。飛び起きた?……強いな。
「チッ。おい!」
他の奴らを起こされるが、所詮その他大勢。でも、殺しておかないと。
錬金毒。触れた所から染み込むヤバい奴。〈錬金〉はレベルが高い程〈調薬〉より作るのが大変。しかも、効果時間も短い。だけど戦闘には便利。
毒を水属性魔力に溶かし〈魔力操作〉で足元を這わせる。ん~。麻痺薬も入れちゃえ。[毒の水蛇]
「……!」
強いのは攻撃。
「白い悪魔は普通に暗殺者か?しかし、傷痕は……」
考えながらとは余裕だね。自分も魔法使いながらだけど。
「……ふ!」
「ちい!援護しろ!のろまが」
うん。外野はさっきまで寝てたから。それにしても行動が遅いけど。それにそろそろ、
「すみません!おい!」
「……何か、体が」
「」
ドサッ
ドサドサッ。
「……ッ」クックック
「何をした!」
効果時間が短くとも元"星薬"のいや、〈錬金81〉の錬金術師の薬だ。しかも、Lv90台の素材を使い成功率40%を抜けた品Lv96の毒。平均Lv60の雑魚では1分でHPは0。ステータス見れば毒って分かるけどねえ。【無痛】で痛みも無く気付かない内にHP0になるって怖いよねえ。
「……」
そんなに動揺していると、ほら?
「うぐ……!動かん」
短剣(麻痺)、短剣(毒)で止め。
商人の方は最初から最期まで腰が抜けてた。短剣(少女の)でぐさぁ。
後片付けして、神殿からの依頼じゃないから死体は持ち帰り。……死体に部位欠損解除薬って……効いた。傷も治すから当然か。じゃあ、商人だけ首切って、下を治してちょうど一人分相当を取り込む。うん。上手くいった。
後で魔物でどうなるかやってみよう。
商人は色々やってたみたい。主に違法奴隷系の。お母さんの記憶は商人にはないな。まあ、綺麗な商人の死体以外人影の無いこの店で衛兵さんが探してくれるでしょう。
「……うう。……っうく!っひっく……」
「はいはい。もう大丈夫だよ~」
「うっ、うぅ……、ひっく」
「はいはい、よしよし。衛兵さんが何とかするからねぇ」
「……」
「……」
「寝たか」
「はい。隊長。何だかんだ、3時間も泣き続けましたね。真夜中の巡回でこんな少女が発見された時は何事かと思いましたが」
「ああ。しかも、無言で大口あけて泣いて居ると来た。有る意味声を出せなかったからこそ誰にも見つからず無事だったとも言えるが」
「それにしても、白いお面のお兄ちゃんですか……」
「ああ。白い悪魔だな。どう考えても、被害に合った所は見つかったか?」
「さすがにまだですが、少女の『沈黙』時間経過を待つしか無かったのですが、〈解析〉が一部間に合いました。調薬製のLv70だそうです」
「はあ!?Lv70って、こんな少女に使うか?称号持ちレベルじゃねえか、勿体ねえ」
「そこじゃないでしょ、隊長。白い悪魔が何処から薬を手に入れたのか。まあ、隊長の言うとおり称号持ちにしか作れないLvなので、称号持ち薬師に聞き取りの許可を出してください」
「分かった。場合に寄っては依頼をする。ギルドに話を通しておく、調整を頼む。高Lvが衛兵何てやらないからなあ」
「分かりました。まあ、〈解析〉した者も頑張りました」
「ああ。可哀想だが、1時間したら少女を起こして事情を聞け」
「はい」
~
「えっと。白いのが来て、~」
「え?」
「違うの!本当に出来るとは思って無かったの、けどお母さんに会えないかなって」
「それは!……!……すまん、続けてくれるか?」
「……」カタカタ
「大丈夫か?」
「た、対価をって、首、わ、私の首を……ポーンって」
「!」
「すぐに何か飲まされて、気付いたら裸で……」
「……」
「うぅ。……うぇ、」
「ああ。ごめんね、辛い事聞いたね」
~
「……少女からの聞き取りは」
「はい。隊長、報告書です。」
「商人か」
「はい。既に兵を向かわせています」
「ああ。……これは。……白い悪魔め!首を切断?一歩間違えれば死んでるぞ!それに喰っただと?」
「はい。少女が恐怖の余り見た幻覚ではないかとも思われますが、白い悪魔の噂も加味するとあながち、」
「喰ったのは、事実に近い……と。悪人ばかり殺ったり薬を使う事を考え人だと判断した所に!」
「喰った、を重要視するなら、名付きの魔物でしょうかね」
「そう考えるのが順当か。名は、」
「情報屋から大金貨50枚だと」
「そんな大金!と言うか、情報屋は知っているのか。くそっ、情報屋には強くでられねえ。向こうは貴族に強いからな、そしてこっちは弱い」
「死人も出ているのにですか?」
「名も知っている、大金貨50、って事は白い悪魔の味方では無いが悪人の敵同士て所か。神殿にも暗部は有る。死人が悪人なら人の発展の邪魔だと切り捨てられる」
「じゃあ、悪魔と神殿が手を組んでいると?」
「いや、もしそうなら名も知らないふりをしたはずだ。手を組んでは居ないだろう。それと神子の影響で勘違いされるが、悪魔は天使と並んで神様の使いだ。どちらも神殿の上司とも言えるぞ」
「あ。そうなんですか。なら、神殿が清濁併せ持つのも納得ですね。そう言えば、人の敵、魔物を作ったのも神様か。試練ですねえ」
「それは神殿で聞け。そんな事より白い悪魔だ」
「……!隊長!商人の家は本人の死亡を確認。その他行方不明。状況から見て白い悪魔です」
「来たか。商人の家には誰も入れるな!徹底的に調べろ!」
「はい!」
何だかんだ、隊長さんも白い悪魔は悪人の所に現れると思っている。




