45酒場
監視は、隠れて見ては居ないな。廊下は常に誰か居るようだが。
なので、〈隠密〉で窓から抜け出す。この為に建物は大きな通りに向いているが、部屋は裏側に。
……。気付かれては居ない、はず。
まあ、バレたら300年程は近寄らなけれ良いだけだが。
誰も見ない場所で、【キャラクター】。
作って有った、クモに。艶のないダークグレーの髪と目。顔も変えて特徴無いよう中性的に。一人称僕。
うん。よし。
特に騒がしい酒場はやはり、冒険者ギルド。
各ファミリーの拠点も賑わっては居るようだが、ファミリーメンバーしか入れないだろう。
ん~。うん。少し大通りから外れた酒場へ。
「ひょろっとしたにいちゃんだなあ。女かぁ」
チッ。さっそく絡まれる。
「僕は男だ。証明しようじゃないか?店主、一番強いお酒を」
「チッ。汚すんじゃねぇぞ」
酔っ払いが騒ぎ出す。
「ハッハー。威勢が良いねえ!」
「気に入ったぞー。にいちゃん」
「マスター!蒸留酒ジョッキで飲ませてやれー!」
「やれやれ!」
「はいよ。'命源'ジョッキ、小銀貨3枚」
……。まじでジョッキで来た。
お酒は飲んだこと有るが、『酩酊』も状態で自分は酔わない。
けど、辛いものは辛い。喉が焼けそう。
なので、口内のみの魔物化で取り込み。獣人の歯が牙のようになっているのも、歯だけ魔物化したのだ。細かい調節が効く。
お酒って、作る他に魔物から採取も出来るようだ。
「おお~」
「すげ~」
「マスター!実は水じゃあねえのか!」
「誰だ!疑った奴。ちゃんと'命源'だ!飲ますぞ!」
「ぐ。辛い」
「お前も、一気に飲むものじゃねぇ!味わえ」
「すまん。店主」
「……まあ、やるじゃねえか。……マスターと呼べ」
「僕はクモだ、しばらく居座る。マスター」
「そうか。これは奢りだ。さっきのショーの代金だと思え。味わえよ!」
「おお~!俺も奢ってやるよ!お前見ない顔だな!」
「ああ。ありがと。最近ここに来た」
「そうか!まずこの店に入ったのは正解だな!ここはマスターの奥さんが作るチーズが絶品だ!」
「チーズ?」
チーズは〈発酵〉で結構簡単に出来る。さすがスキル。
「ああ。ここは西のリゲルっつう開拓村のだが、西は獣系の乳が出る奴が多くてなあ。奥さんが酒造りの合間にやってんだってよ」
「それは楽しみだ。マスター!オススメのチーズとビール2つ!」
「にいちゃん。それは嬉しいが、クックック」
「?」
「チーズは全部オススメだ!と、ビール2。しめて大金貨1。ビールはまけといてやる」
「……そこの人達。こっちに来ないか?対価は面白い話で」
「乗った!」
「じゃああれは知ってるか?~、」
「貰った」
「これは内緒何だがなあ、~」
沢山釣れた。
チーズは美味しかった。
この店でオススメは禁句だそうだ。全部のチーズが来る。
大金貨1枚って。一流な人の収入3ヶ月分。払えなかったらどうするんだろう。
「そりゃあ、食べきれねえし、店に居る奴で折半よ。お前さんは金持ちだなあ。ご馳走さん!」
「おい」
「お前さんのおかげで酒が進む進む。嫁さんに怒られちまうぜ」
「全くだ!」
「がはははは!」
「おえぇ。ぎぼぢわる」
「おい!ここで吐くなよ!」
酒場ってこんなに騒がしいのか。途中からは奥の方の席でちびちびやって居たけど。まあ、有益な情報も有ったし。
[クリーン]、【キャラクター】。
窓から忍び込む。
「おい!昨日の夜どこに居た」
「酒場で騒いでた」
何か来た。
「何処の酒場だ。いつの間に抜け出した」
「適当な酒場です。暗くて場所までは言えないけど。日が暮れてから。暗くなってから部屋を訪ねて来たの?それと、部屋の出入りに許可って必要?」
「……。チッ」
「はっはっは。ルッツの負けだ。新人!こいつは"風癒"、ファーザーその1だ。私はマザーだよそれだけ覚えておいて」
「そして、僕がファーザーその2だ。ファーザーって呼んで。基本そいつと居ること無いから」
「ふん!」
「分かった。"風癒"さん、マザー、ファーザー」
「うん。で、僕たちはまだ、他のファミリーのスパイじゃないかライ君を疑って居る。教育係と言う名の監視が付くと覚えておいて。後は、ライ君が白を卒業して、改めてファミリーに入るか契約し直すかするまで、ファミリーの情報を制限する。これは、ファミリーの意思だ」
「"風癒"さん以外の称号も名前も言わないのは、その一貫か。分かった」
「ライは他のファミリーのスパイじゃないのか?」
「はっきりと言っておく。オレはスパイではない」
「……まあ。嘘をつかないというのも抜け道は有るからね。でも、それだけはっきり言ってくれたんだ。僕個人としては信じたいね」
「まあ、そこまでにして。レート」
「はい。マザー。ライ、俺が教育係だ。レートと言う。これから宜しくな」
「宜しく。レートさん」
「まあ。俺とかはタメでも良いが、ファーザーやマザーにはもうちょっと丁寧に話そうな!俺はハラハラしたぞ」
「そこまで、私達狭量じゃないわよ。ねぇ、ルッツ」
「……ふん!だが、ファミリーの面子も有る。メンバーになったのに誰彼構わずその口調はダメだ」
「ルッツはこう見えて、誰よりもファミリーを想っているの。汲んであげてね。ライ」
「分かりました。"風癒"さん、マザー」
どちらにしても、口調は変えろという命令のようなものか。
「今日はよく喋ったな。ファーザー?」
「……必要だった」
「ライのあれも、不自然ね。どうして窓から抜け出したのか」
「レートのライが話した事の報告だ」
「レートは仕事が早いな」
「ライの方もファミリーは信用していない……ね。もう私達の名前や称号知っているじゃないか」
「そういう口実でファミリーを嗅ぎ回っているのかもな」
「まあまだ、2日目だ」
「こっちの方が知られている気もするが」
「まあ、私達のは聞けば分かる事だし。称号は分かりやすいが、得意な事までバレるのがね」
ファーザー"視隠"しいん
マザー"斧轟"ふごう




