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異世界で生きていく  作者: ゆう
独りで生きるのは大変
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34これから

結果的に上手くいった。


呪いはしっかり腕についてハインリッヒ本体の方は状態から呪いが無くなった。


そして、欠損した腕も部位欠損は状態なので部位欠損解除薬で治った。


「治っても痛いものは痛いのだが。」


「HPが少しずつ削られる痛みが続くよりはましだろ」


「まあ、助かった。ありがとう。それから、部位欠損解除薬も。HPの20%を削る部位欠損を治す薬はそれこそ称号持ち薬師にしか作れないだろう」


「ふん。薬都では一部の黒も作れるな」


「む。温泉郷の黒はそこまで優秀じゃない。ここで手に入れようとおもえばそれこそ大金貨10枚では済まない。今回は本当に助かった。それに、本当に良いのか?」


「ハインリッヒ、お前の呪い付きの腕を上手に加工すれば、永続の付いた薬が作れるんだぞ?それこそ、状態の固定はバフを固定するだけじゃなく毒にも、期間の間は老化すらならない。オークションにかければいくらになるのか……」


「おい」


「分かって居る。人の命を対価にした呪いでそんな物が出来ると知られれば、まあ犠牲になるものは出るだろうな。表には出さない。今回の呪いの分解実験はとても良い経験だった」


「……。お前なら下手なことはしないと信じているよ。なんだかんだ良い奴なようだし。……1年だけなのが惜しいよ」


「1年も有れば温泉郷特有の素材もあらかた集まるだろうしな。1年お前のとこのファミリーには世話になる。あと良い奴だなんて言うな」


「事実だろうが。ああ、俺も張り切って素材を集める事にするよ」


「"守壊"は防御を真っ向から()()するだろうが、素材の状態が悪いから別に張り切らなくて良い」


「仕方ない。進化して【防御無視】なんて付いてしまったんだ」


「進化前から得意技は武器破壊とかって聞いたが?うっかり守りの体勢に入った魔物から破壊していくとも聞いた」


「誰に、ってディルクか」






「"星薬"、……さん。どうしてハインリッヒさんの呪いを解いた」


「リュメル君か。別に。ただの実験だ」


「嘘だ、俺が腕を飛ばした時は怖い位の無表情だった。お前は実験がしたかったと言ったがそんな顔じゃあなかった。他の人はハインリッヒさんの方を向いていたけど俺は、」


「老化しないってどう思う?」


「お前、まさかあの呪いを使うつもりか?老化したくないって言うわけか?」


「まさか」


「じゃあどういう」


「……ほら、人が来た。あの時の話は契約で他人に伝えられない。話そうと思っても出来ない。さっきまでは関係者だけだったけど、この話は終わりだ」





変な事を言ってしまった。

もう年齢は100歳を超えた。地球ではあり得ない程生きた。この世界の老衰までの寿命は長いし、見た目は若いから今まで特に考えなかったが。


自分はいつ死ぬのだろう。

老衰と言う本来来るはずの上限は来ない。誰かに殺されるしかない。


やりたいことは沢山有る。


でも、いつかは来るはずだった、自分には来ない老衰と言う未来が見えないせいで常に殺されるかも知れないと言う恐怖がつきまとう。

殺される事だけが唯一の死になって、むしろそれだけを意識し過ぎている。分かっていても考えは止まらない。


まだまだ生きられる。


でも、いつかは死ぬ。


その、いつか、っていつ?


100年後?


10年後?


それとも、明日?


今日かもしれない。


嫌だなぁ。


殺されたくないなぁ。


でも、そんな事を考えるばかりは疲れる。楽しくない。


だから逃げよう。殺される事を考えない自分に任せた。


久しぶりに、変異種のスキルを使う。


殺される事を考える自分はやっぱり、あらゆる相手を警戒し続ける、警戒しない事をもう一人の自分に任せて。





普通にファミリーで、素材を優先的に売って貰い、薬を売る生活。


ハインリッヒの危機の時、味をしめたのか、アホな薬師が毒を撒く事件が起きたが捕まった。撒いた毒で減ったHPを回復する薬を高値で買わせようとしたらしい。


さすが、温泉郷。温泉には自分もつかった。湯自体に効果、疲労回復なんて物が有った。但しほんの少しずつHPは削られる。長時間入ると死んでしまう。


温泉の水その物が疲労回復薬として他の町で売られていたりするらしい。薬都では見なかったし、温泉郷までは途中町に寄らなかったから知らなかった。




ある日。

クラウは呼び出された。


─とても希少な物が手元にあります。運良く手に入れた物で、他人に知られるのが恐ろしく、内密に会いたいです。本日夜、○○店裏、一人で来てください─


「あり得ない程怪しい。が、ファミリーでもたまに有ると言えば有る。パーティーメンバーに内緒で見つけたとか。ハズレも多いが事実珍しい物も混じっている。興味有るな」


一人で来てください、か。

怪しいとはいえ、称号持ちを騙すとか無いだろう。いや、思い上がった黒の商人に騙された事は有るけど。

はっはっは、商人は信用が命だと言うのに。その時は騙された事が分かった瞬間に即ギルドに訴え、その後、見たことはない。

称号持ちは騙されてもあまり訴える事はないらしい。見栄とか、そもそも端金(はしたかね)気にしないとか。自分はイラッとして訴えたが。


行って見よう。それこそ何か有れば訴えるなりすれば良い。



……1つ人影が見える。


「ヤア、"星薬"サマ。ここにイイモノがアルよ」


「子供に見えるな。毒薬師?」


「人質ト言ウやつダよ。ネエ、"星薬"サマ?この薬ノンデ。そしたらコノコ渡スよ。ヤサシイ"星薬"サマ?」


「別に自分は優しくはないぞ」


「本当ニ?だって僕ガ撒いタ毒、解毒シチャッタじゃないカ?ファミリーの中デシカ動かナカッタ君ガ。そのセイデ僕ハこんなにナッタのに?」


「その薬、ただの毒ではなくご丁寧に呪い付きじゃないか。薬師だけでは荷が重い」


「ソウダヨ?対価ニ僕ノ殆ド持ってイッタ。コノ僕モ君ニ薬ヲ飲んでモラウ為ノ残滓デシカ無い。チャント飲んでクレたらコノコから離レルよ。ほら、早くシナイトMPが無くナッタ。次ハコノコのHPダよ」


ふむ。子供にとり憑いている呪いは本当に残滓か。目的が達成されれば消える。ならば、仕方がない。どうせ自分に状態は付かない。

時間を稼いで〈解析〉したが、しっかりLvの高い呪いになっているな。レベルの低い〈闇属性〉を自分の命、肉体含めた全てを対価に強引に強力な呪いに仕上げたか。子供のHPも減り始めた。


「飲むから、寄越せ」


「……!」


「やっぱりヤサシイ"星薬"サマ。もっとハヤクに会えタラ彼女モ救エたノニ……」


うん。状態は相変わらず空欄。さすがの【独立】。そういえば、さっき薬飲む時何か聞こえたし、誰か近づいて来ているな。


「……"星薬"!おい、さっきのはなんだ!その子供は?どうしてここに居る」


「こちらが聞きたい。"守壊"はどうしてここに?」


「それは!一人で出ていったと聞いて。お前は薬師で戦えないだろう?何故一人で行った」


「……」


ただ、確かめたかっただけ。

やっぱり、命の危機は有った。【独立】(状態にかからない)が無ければ、人に、殺された。

今も"守壊"が殺そうと思えば自分は死ぬ。今度は、毒でも呪いでもない。死んでしまう。


逃げなきゃ。


「!おい!一人で行くなって。……Lv差か?速度が……追い付けない!」



……後ろで騒いでいるのを聞きながら、温泉郷の外へ。


やっぱり、(身代わりにした)作った精神が壊れた。自分が殺されるなんて考えないからだ。老化が無いから、いつまでも生きられると考えるのが間違いだと、良く分かった。

【キャラクター】では、口調や外見の性格を変える。でも、性格は演技でしかない。


変異種のスキルでは、演技じゃない本当に思うこと自体を変えた分裂精神と本体精神の人工二重人格。


また、無意識ながら、脆い精神の盾にしている。

心に傷を付けない為の鎧。


毒薬師は毒を撒いた事件の人。

彼女さんは冒険者の婚約者で、薬が高くて買えなかった為死亡。以降、毒薬師さんは金の亡者に。いろんな意味で"星薬"を恨んだが、優しさも期待はした。

毒は普通に称号持ちの阻害属性魔法使いで無ければ飲めば死ぬ。


擬態スライムは弱いところは無いが、若干速度に寄ったステータス。

一方、"守壊"は鮫の鱗人。感知と筋力、持久力に補正。

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