2召喚もしくは転生
世界は滅んだらしい。
訂正。
人類が絶滅したらしい。
こんなこと考えている空は人じゃないの?
今は、人じゃない。魂。
魂ってそんな非現実な。
うん。人類が滅ぶにあたって、もし身体が無くても個として在れば、例えば空が空としての記憶、思考が連続していれば死んでないと言える。だから神様が魂を作った。
イメージ的に。名前を核に、思考回路という骨格、性格や本能で肉付けして、さらに経験や知識等の記憶で覆って、魂が出来た。
こんどは神様ぁ?
神様はね、人の信仰の結晶のような存在。人が考えうるあらゆることが出来るんだ。
人が絶滅したってどういうこと?神様がいるなら助けてくれなかったの?
うん。神様が人を滅ぼした。
そもそも、限界だったんだ。地球が。疫病も世界規模で流行り、資源不足で戦争が起こり、人類が衰退していく一方ならと、神様は思いきってやっちゃった。
で、神様は新しく世界を創って身体を創って魂を入れてそこで人に生きてもらおうとしました。
疫病も無く、資源も枯渇しない世界。
人同士の戦争もあまりして欲しく無いので、共通の敵まで用意して。
人の信仰から生まれた神様だから人は贔屓するが、他の生物を蔑ろにはしない。地球を変えるのではなく、新しく世界を。
魔物は生物じゃない。魂を持ったものが新しい世界での定義だ。
魂の造りからして、名前を付けると魔物にも魂が出来るけど。
スキルとステータスの世界じゃなかった?
神様はね、妄想から生まれたからか、創作物が大好きなんだ。それもあって、人も新しくするのではなく続けることにしたんだ。
……はい。ゲーム、小説、バンザイ。
流石に何もないところに全人類を放り出す訳にもいかないので、技術の豊富な人、言葉が通じるよう一国から、1000人集めて開拓して。安定してから順次召喚される様になっている。
空達は召喚組、召喚の際身体は成人した人は最盛期になるって。
初めて世界を創ったから、何かあれば祈って。
祈れば届くから。
良い人生を。
本当に神様だったのか。夢じゃなく。本当の人類絶滅から救って下さったのにだいぶん失礼な態度をとってしまった。
(神様は心読めるから関係ない。祈りも口に出さないし)
気を取り直して、今の時間はなn……ああ、【固有能力】の選び直しか。
空は冷静だが、理解してから自失呆然としたり、酷ければ発狂したりしている人が落ち着く為億時間でもあった。一日以上経っても落ち着かなければ、説明の記憶を消して召喚された。
ちなみに召喚単位としては、100人前後、男女比半々、同年代、関係性のある人。夫婦なら必ず揃って喚ばれる。大体、クラス、同僚、同会員等。
空は今までの知識の通用しないであろう所に不安を覚え、覚悟を決めた。
ほんのり、両親に二度と会わなくて良いことに安堵もして、目を閉じた。
ハッと、目を開けた。
にわかに周囲が騒がしくなった。
「……ここどこ……「お前誰?「はぁ?俺だよ俺…「何が起こった?「シャンプー変えた?「コンタクト?珍しいね「…… 」
さっと見回すと、同じ様にあちこちに目を向ける者、静かに考え込む者、意味もなく騒ぐ者、呆然と突っ立っている者。
そして、
「本当にここ何処だ?」
魔法陣がいくつも描かれた部屋には、顔を見る限り高校の1学年の面々の他には、豪華なドレスを着たお姫様、神官と騎士達が居た。
ルビは
上が心の声、ふりがな
下が実際の声
魂、成長した訳でも無く神様が作った為に、根幹の思考回路、性格が固定されてしまった。異世界人は普通だが、召喚された人はどんな環境でも自分のペースを貫く人に。
臆病な人は臆病なままに。
強気な人は強気なままに。