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異世界で生きていく  作者: ゆう
独りで生きるのは大変
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1最後の日

ある日、

「お父さん、お母さん、いつもありがとう、大好き。…………お休みなさい」

「おう。……急にどうしたんだ、……俺も愛してるよ、お休み」

「あらあら、私も愛しているわ、お休みなさい」

「~っ」

照れたのか、子供はバタバタと足音を立てて階段を登り、その様子を優しく見送った親は二人で日頃の感謝を告げ、愛を囁き会う。


そんな光景が、世界中で見られた。




同じくある日、

(そら)は、塾がなくなって帰ったら、世間体を気にして大声を出さない両親が罵り合って喧嘩をしていた。

「だいたいお前は!服やらアクセサリーやら着飾って、見栄を張ることしか考えないだろ!」

「あなたこそ!口を開けば自分の自慢ばかり、ああ、つまらない男だこと!」


おそらく普段思っているだろう本音を口にし、空の帰宅にも気が付かない。たとえ、気が付いたとしても、いつも通り何の反応も示さないだろう。空も巻き込まれてはたまらないと、そそくさと部屋に入る。


眼鏡を外して布団に横になると、いつもは言わない独り言をこぼす。

「とうとう離婚かなぁ。一人暮らしは認めて欲しいな……」


世界の人が、本心を相手に伝えている夜、空はたった一人で過ごした。






夢を見ている。たぶん。


あり得ないことなのに、疑問にも思わないこの感覚は結構好きだ。


何か、全面黒の部屋に浮いて居るような。自分と黒以外何も無いが、()()()以上光はある。影は無いが。


うん。夢だ。


っと。選択肢?3つ選ぶのか。夢なら10個ともえら……べない。

しょうがない。


もし、スキルとステータスの世界で生きるならばどれを選ぶのか。

魔物あり。騎士あり。魔法あり。


・キャラクター

自作のキャラクターになりきる。体格や容姿、言動、ステータスの偽装。


・マスコット

他人からの好感を得られやすくなる。運が良くなる。


・一人遊び

物に命令出来る。ある程度の自立行動をさせられる。


・自立

自分に様々な状態(バフ・デバフ)をかけられる。効果は魔力依存。


・独立

自分以外から、状態に影響を受け(バフ・デバフにかから)ない。


・孤立

自分の存在感が常時薄くなる。意識して程度は変えられる。


・努力還元

記憶、コツ、身体で覚えたこと等忘れなくなる。スキルレベル上がりやすくなる。他者からの評価は少し上がる。


・指切り

約束厳守の誓い。破った方を罰する。範囲は関わる全員。

空間に対しても使える。この部屋では○○。対象は自分の意思で部屋に入った者全員。


・過程

結果までの道筋が分かる。過去も未来も。どうすればこうなるのか。


・等価交換

価値が等しいとされた物と交換出来る。素材、自作の物に限る。価値と金額は必ずしも一致しない。



……この選択肢は、うん。見事なまでに人を信用していない()()()()。それでも、【マスコット】【指切り】は人とも関わるだろうが、


確かに、自分は人を()()()()()()()。きっかけ何て些細な物だ。好きな人(両親)に褒めて貰えなかった。あの両親に期待したのがダメだとわかってはいるが、意外とトラウマにでもなっているのか。


「自分がダメだから褒めて貰えないと、いまだに無駄な努力を続けている時点で未練たらたらだな」


いや、努力は無駄じゃない。努力が出来る人だという価値はある。


とにかく、固有能力が自分の性格を元にしているのは分かる。人と関わりたくない。自分を良く見せたい。取引は強制的に対等に。


過程凄い。けど、過程がわかっても自分に出来るとは限らないと。探偵には成れそう

固有能力、そこまで万能でもないな。はじめから強すぎても異世界人の反感を買う?


【キャラクター】は偽装だから、鳥の見た目になっても空は飛べないんだ。空を飛ぶのには、あこがれが有るなあ。まだ魔法がある。


生活も考えれば、これはいるな。何が毒になるかもわからない。食中毒怖い。異世界ならば魔物と戦うだけでもない、【等価交換】でお金も稼げるだろう。いや、異世界のどこにつくかわから……

とりあえず、保護されるのは分かった。夢だから?



「キャラクター、独立、等価交換」


【キャラクター】を使い、早速「空」とスキルを偽装した。

わざわざ、異世界でも人と関わりたくはない。もう疲れた。信用したくもない。姿や言動が変われば、人との繋がりは切れる。


「一人で生きていたいんだ……」


夢なのに何を真剣になって居るんだろうと思いながら目を閉じた。




―――ああ



理解して、

自分が今まで積み重ねて来たものがほとんど意味をなくしたことにショックを受けた。

それ以外のことには特に何も思わなかった。

あ、ちょっとだけほっとした。

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