14孫
孫って楽何だなぁって思った。
「クラウちゃん?何しているの、お勉強?もう夜だから寝なさい」
「もうちょっと」
「お勉強熱心なのは良いけれど、もう良い子は寝る時間よ」
「……はい」
「お休みなさい」
「お休みなさい。お婆さん」
『成長期』無いので、夜は〈隠密〉使ってバレない様に勉強はするけど。
夜は寝る物だよ。世界来てから結構頑張ったし、ゆっくりしても大丈夫かな?
「おはよう、クラウちゃん」
「おはようございます、お婆さん」
「朝はスープとあっさりと羽鳥のステーキにしましょう」
羽鳥。ハトは薬都の外に良くいる翼系ランク2の魔物。味は鶏肉。羽が立派、な顔が鳩。
そして朝もステーキ。これが一般的、安いから。
どうして薬草とかは有るのに野菜が無いのか。いや、有るけど高いのか。場所によっては、野菜の魔物が良く出る地域も有るけど、ここはだからこそ薬都なんだけど。
いつか、料理の町、香味都市に行ってみたい。
お婆さんは丁寧に教えてくれる。
「薬草は細かくした方が魔力に溶けやすい、つまり消化されやすいって事だね。では消化されやすければどんな事が起こる?」
ここでの消化は身体の中で魔力に分解、身体の一部になり効果が現れること、なので
「回復時間が短くなる?」
「正解。短時間で回復される。3割回復するのに1分より30秒の方が良いね」
「でも、〈調薬〉のレベルで時間変わるって教えてもらったよ」
本で読んだ。
「それは、〈調薬10〉から出来る[粉砕]ばかり使う薬師の考え方だね。[粉砕]は細かさが一定だからレベルで時間変わると思い込むんだよ。レベルが高くなると吸収されやすい様に変質するからね。楽だが、例えば、3割ならすぐに回復した方が良いだろう。しかし、12割回復するなら戦闘前に飲んでおく等して、戦闘中常時回復するように使う事がある。そういう時は10分かけて回復した方が良いと言う冒険者も居る。覚えておくと良いよ」
この考え方が、薬都限定だったり。常時回復用には使われるが、戦闘のためにそんな高価な魔法薬使うのは、それこそ進化まで行くような冒険者だけ。
どんなタイミングの常時回復かというと、『毒』など継続ダメージを打ち消す緊急措置とか。状態は状態解除か、持ちこたえる持ちこたえるしかなく、状態解除の薬は対応するものが必要なので、取り敢えずをしのぐのにHP回復の魔法薬が使われる。
錬金製のポーションは水の性質と薬草の効果を持った魔力そのものなイメージで消化(魔力に分解という過程)無しで直ちに効果が出る。ぶっかけてもある程度効果はある。
クラウが飽きない用に、問題を挟んだり褒めてくれたりしながらの授業。
後は職人ギルドにも顔を繋いでくれた。
職人ギルドは職人の弟子にならないと入れない。商人ギルドもそうだし、冒険者ギルドと同じ感じでシステムと繋ぐ。
作った物の1番高いLvに応じて位が決まる。最初の1年は薬師白。
誰が作ったかは、〈鑑定〉で分かる。
お婆さんはLv57の薬が最高で黒。
Lv10~20を作れば青、Lv21~30で銅、Lv31~40で銀、Lv41~50で金、Lv51~が黒で、進化すれば称号持ち。
色は冒険者と一緒。
「昔ね、登録した癖に人に売れる作品じゃないって、白のまま進化までした人がいたの。その人は"純白"って呼ばれて、最初の作品は大金貨20枚にもなったらしいわ。白いカードに称号が刻まれた人はその人だけなのよ」
「お金持ちだったんだ」
「そうねぇ。作品も売らずに高Lvな素材を沢山集めたのよね。真似できないわ。結果的にものすごい金額で売れているから元は取れるでしょうけれど」
ギルドは商人との仲介や商人への販売、専属の職人を雇って職人道具の販売。講習会(参加費必要)を開いたりしている。
他のお婆さんと繋がりのある職人さんへ挨拶にも向かった。
「お前さんがナナさんの孫に!ナナさんをよろしくな!」
「おう。これから頼む」
「よろしくね~。これお土産に」
「ナナさんにはお世話になりましたから」
等々、一人だったのが心配されていたのかナナさんをよろしくという言葉が多くかけられた。
元弟子だと言う人から進化した人まで。
進化した人は"細鋼"。そのまま細かな金属加工の名工で、薬師等の道具を作る人だ。
進化した人は意外と身近、というか上手に付き合う人を選んで居るようで、実は大きな都市には2、30人は居るものらしい。名前より称号の方が有名、分かりやすいから。そして、300年生きると活躍したのが数十年前とかで、一般人には忘れられるとか。
買い物にも行った。
「お婆さん。これ何?」
「これは、スープの元だね。ここら辺の瓶の中身はそう。いろいろと種類があるが、私が使うのはこれが多いね。料理師が様々な食材から作るから、料理師の名前も覚えておくと選ぶ基準になるよ。今度クラウが選んだ物でスープを作ってみようねぇ」
地球で言うインスタント食品みたいな物らしい。具は別に入れる。スープとステーキが大体の食事なので、よく売れるそう。ステーキの味付けも各種ある。
ちなみに、栄養バランスとかの概念は無い。生活習慣病とかもないから。
そして肉屋が大量にある。獣系、翼系、鱗系、ランク1、ランク2等々。
「これは?」
「これは、ランク4の砕獣の肉。角が生えていて、身体も大きく強いのよ。素早く高レベルの〈槍〉で角を操り、なにより耐久がとても高い厄介な魔物なの。今日は珍しく誰かが狩って来たのね。また革師と薬師が騒がしくなるわ」
「何で?」
「この皮膚がとても硬いから、良い防具とかに加工できること、角が全状態解除薬の原料になること。だから取り合いが始まるのよ」
「肉は?」
「肉も勿論美味しいわよ。だけど、角や皮に比べると単価は低くなってしまうの。1体から沢山取れるしね。だから肉屋に端切れを安く売って、こういうものが狩られました、近々他の素材が売りに出されますよ、と宣伝しているのよ」
〈解析〉とかについても勉強した。
「〈解析〉などの情報を探るスキルは相手の事前情報が有るとその情報が正しい場合はすぐに開示される。例えばだね、これを〈解析〉して視てごらん」
◯◯◯◯◯ Lv◯
耐久 ◯/◯
分類 ◯◯◯ ◯◯◯◯
品質 ◯
効果 (見えない)
↓十分かけて〈解析〉
◯◯◯◯薬 Lv◯
耐久 ◯/◯
分類 魔法薬 ◯◯◯◯
品質 ◯
効果 (見えない)
「魔法薬としか分からない」
「それは、〈解析〉のレベルが足りないからだね。〈解析〉は今は……」
「10」
「おお、10かそれは凄いねぇ。で、この魔法薬のLvは53。もう一度視てごらん」
◯◯◯◯薬 Lv53
耐久 ◯/53
分類 魔法薬 ◯◯◯◯
品質 ◯
効果 (見えない)
「Lvの所見える。耐久の最大値も。あと時間かけなくてもさっき見えたとこまで見える」
「そう。自分の知っている情報は〈解析〉レベルが足りなくても見えるんだよ。じゃあ、この魔法薬は高等麻痺薬だよ」
◯◯◯◯薬 Lv53
耐久 ◯/53
分類 魔法薬 ◯◯◯◯
品質 ◯
効果 (見えない)
「?高等麻痺薬って出ない」
「そうね。知っている情報が間違っていた場合は見えないままだから、実物を〈解析〉することで違うという情報が分かる。但し、当てずっぽうではなく本当にそうだと信じた時だけきちんと見えるんだよ」
「さっきはLvの情報をすぐに信じてくれて嬉しいねぇ。だけど本当にそうなのかきちんと確かめる事も重要だよ」
お婆さんはそう喜ぶけれど、自分はそんなに簡単に他人の言葉を信じていたと思い知ってしまった。
〈解析〉の性質を利用して、Lvの高過ぎる物の情報を知る方法がある。
要は、その情報が正しいと信じていれば良いわけだ。
〈解析〉を使える重犯罪者に[幻覚]等で信じ込ませて〈解析〉結果がどうかを調べるのだ。
重犯罪者は契約の隷属効果で嘘を付けないし、使い捨てにされるから。
[幻覚]で無理矢理信じたり嘘だったりを繰り返すとどれが真実でどれが嘘か判別がつかなくなり精神的に壊れてしまうから。
滅多に使われない方法では有る。




