12何処に行く
学園の錬金科10、11、12学年を終えた。年々厳しくはなったが、寝なくても休まなくても大丈夫だから、付いていけた。
(『状態』にならないと寝落ちしない程度に眠い、息が切れない程度に疲れる。ずっとは普通大丈夫じゃない)
本当はこの後、調薬科に入りたかったが、感じる視線に危ない物が含まれてきた事と、召喚から6年。そろそろ、進路を決めた神子が、学園の高等に入る。その人達と一緒にはなりたくない。
だから、逃げる。
何かに便利そうなので、卒業課題は受けて。
卒業課題は、何と、筆記試験でした。
内容は、学園で習わなかった事。
卒業課題を受ける際、契約書(魔法で拘束力ある)を書かされる。
─卒業課題の内容を漏らさないこと─
で、どうして習わなかった事なのかと言うと、自ら学ぶ事が大切なんだと。
最後の最後でそんな事。だからこそ、卒業した人に価値があるのだろうが。
実際は、授業中も先生が基礎を教えて、興味が有ればこれを調べてみましょう。何て言っていた事が多く出ている。
その中の6割。点数を取れて卒業出来るのは、錬金科では1、2人らしい。
今年は自分ともう一人。
卒業出来て良かった。
後、2ヶ月の間に片付けしないと。
荷物は少ない方だけど、とくに紙が多いので、このままだとインベントリに入らない。
60種近くは入るし、紙も纏めて木箱に入れるが、限界がある。本気で〈アイテムボックス〉考えるかな。それとも〈ストレージ〉?違いは広さか個数かだけど、んー?どっちも?
今は、置いておこう。紙は一通り纏めたのを残して燃やs……さない。これに【等価交換】してみよう。
ん。紙だけだとダメだったが、自分の字が書いてあるからちゃんと自作品扱いになる。ストレージで紙はまとめて入れられたのに、字を書くと別の種類扱いになってたしやっぱり。
以外と高価。薬草沢山になった。
……あれ?違いは、ああ紙に書いてある内容か。そうだよね、自分の字だけでこんなに高価にはならない。
出来た薬草も錬金を失敗したり、魔法薬にしたり。綺麗に無くして。その他処分するものは処分して。ぎりぎり、12月。
よし。
寮を出た瞬間、ルーカスに捕まった。最近逃げにくくなって、無駄話が多い。
出ていく瞬間なだけに、最初のトラウマが思い出される。
「ど、どうされましたか。ルーカスサマ」
「……。ドコヘ行く?」追撃。
「ひぃっ」がくがく。
「別に取って食いやしねえよ。そこの店に入るか。旨いもん食わせてやる」優しく微笑。
「 」気絶
「は?」
「うっ。どうすれば。普通はあそこで警戒が弛む所だぞ!」
「ギルドマスター?」
「とりあえず、どっかに……」
「おい!そこの女の子抱えた不審者」
「ふ、フェルディ?ちょうど良かった、こ……」
「何がちょうど良かった、ですか。マスターがゆきにご執心なのは知っていましたが、まさか気絶させて連れていこうなんて」
「違っ、気絶は予想外で……」
「気絶は?連れていこうとしたのは事実ですよねぇ!」
「ギルドに行きます。ゆきは俺が運びますので」
目を開けると、知らない場所にいた。
「起きたか?」
ビクッ。
「マスター、声出さないで下さい」
「ゆき、大丈夫だ。この部屋には、ギルドマスターだけじゃないから落ち着け。すまん。どうしてもギルドマスターが聞きたい事があると駄々を捏ねてな」
「フェルディさん?」
「ああ」
見回すと執務室?っぽい所で、ルーカスとフェルディさんと何人かの女の人が仕事をしていた。
女の人は、心配そうにこちらを見ている。
「?……!紙!」
「紙?」
「……すみません。寝惚けていたようです。いや、寝る前に紙を処分していたような。……あれ?自分はどうしてここに?」
「……」
「お、おう。大丈夫じゃ無さそうだな。あーっと、気絶したんだよ。その前の事は覚えていないみたいだな」
ボソボソ
(〈記憶〉持ってるから忘れるはずがないぞ)
(はっ。覚えられて無いだけでしょう)
(俺だぞ。これだけの高Lvに欠片も惹かれないのか?)
(それは不思議ですよねぇ。神子だから?)
「気絶?」
何か有ったっけ?
「……で聞きたいことは、だ。お前何処行く?」ルーカス
「え……」ゆき
「そんな事?」フェルディ
「そんな事とは何だ。こいつ前期受けて無いし、荷物片付けてたんだぞ」
「……何で知ってるんですか?」
「え?教えた訳じゃないのか?」
「……」
「"天眼"が能力そんな事に使ってるんじゃねぇ!」
ちなみに世界に覗きを罰する法は無い。スキルが有るから、対策前提。怪我をさせても裁かれない。治るから。但しバレて、相手の身内等にボコられても助けて貰えない。
「もう行きます」
「待てよ。何処行く?」
ビクッ「?見ていたなら知っているかもしれませんが、本格的に呪われるが現実味を帯びてきました。しばらく、学園都市は離れようと思います」
「しばらくってどれだけだ?」
「さあ」
「何処に行くつもりだ?」
「答える必要は有りません」
「……」
「では。お世話になりました、フェルディさん」
「お、おう。気を付けてな。また何処かで会おうぜ」
「はい」
う~。やだなあ。
さっさと【キャラクター】で別人になりたい。
ルーカス
「ギルマス辞める!」
「ダメです。そんな事したら、次俺がギルマスじゃないですか」
「次、フェルディお前ギルマスな」
「ああもう。そんなに粘着質だと嫌われますよ。もう手遅r……ドガァアアアア
称号持ちに喧嘩を売ってはいけない。だからこそ、フェルディもルーカスがギルマス辞める事には強く反発してない。が、一言が余計だった。
被害 フェルディ残HP4割、机(小金貨1)、執務室(修理大銀貨4)
ゆきは気付いて無いが、『睡眠』や『気絶』は付かないはず。
『睡眠』は本来、HP、MP等の回復が上昇する。が、状態が付かないゆきは効果は無い。眠ると言う行為は出来る。
『気絶』は意識を落とす行動阻害の一種だが、今回のゆきは他者から気絶させられたと言うより、自分で意識を落としたのでなった。




