姉弟
今度は1時間おきじゃなくて1日おきにやってみた。予約。予定では25日まで。
お姉ちゃんが倒れた!
心配してたら周りがおめでとうなんて言っててびっくりした。人間も進化するんだ。Lv100を超えると必ず進化して寿命が300歳位になるなんて!異世界。とってもファンタジー。俺も公爵家の当主になるためには進化しなきゃいけないのか。楽しみ。
それで、お姉ちゃんは猫耳メイド……じゃなくて猫耳侍女さんになっちゃった。お姉ちゃんは真っ黒な髪は艶々で、大きな金目が綺麗で確かに黒猫みたいだったからぴったり。
次の日には普通に侍女の仕事してたけど。
「昨日はお見苦しい所をお見せしました。申し訳ございません」
「しんぱいした。げんきになって良かったね」
本当に。心配し過ぎて……変な事、口走ったような……。
「ありがとうございます。……しかし、その、お姉さま、というのは少々問題が有るかと」
聞かれてた~!何で!?気絶してたよね!
「うっ」
「ルーレシア様にお聞きました。しかし、私はお仕えする立場。……難しいかもしれませんが貴族社会では些細な所でも弱みになる事は、」
わかってる!いや、貴族の事はよく分からないけど身分が違うから、それに困るのは多分立場の弱いヤウさんの方だし。よくないのは分かってるから否定しないで。本当は家族みたいって思ってる事まで、……否定しないで……。
「……」
「……私の事はヤウ、とお呼びください。……ただ。……この部屋は高Lvの防音効果も有ります」
「……ぇ」
「公私はきちんと分けられるようにしましょう。……ショータ様には残念ですが、基本的に親の前でも公の方です。親しい場合でも上の身分の方の許可が有るまでは私は出せないと思ってください。また、使用人の存在は忘れないよう。どこにでも目や耳は有ります」
「……じゃあ、今はお姉さまって呼んでも良いの?」
「この場で最も身分が高いのはショータ様でございます」
「……お願い。この部屋でだけ、二人だけの時は俺のお姉さまになって……っ」
「……はい。私の弟」
認められた……!認められた。嬉しい、嬉しい。お姉さま。俺のお姉さま。俺を愛してくれる家族。
最近、お母さん、さまが俺を見てない事は分かってた。やっぱり俺は転生しても愛してくれる人は居ないのかなって……。前だったら母が、両親が生きててくれるだけ幸せだろって思ってたのに。俺が欲張りだから、どうしてもこっちを向いて欲しくて。
お母さまじゃないけど、お姉さまって、俺はお姉さまの弟になっても良いって。誰よりも俺を見てくれたヤウさんが言ってくれて。
「……うっ。お、ねぇ、さ、まぁ……。おねぇさまぁ。……」
ああ。情けない。声も出せずポロポロと涙だけが落ちていく。もっと声に出して甘えたい。俺が思ってる事を伝えたい。
今も、いつもは少し離れた場所で待機していたけど、お姉さまになってくれて。側でギュッてしてくれて。
「……」
声も無く、涙で前も見えないけど、暖かさだけが俺に向いているのが分かって。
唐突に感謝したくなるような、
お腹が一杯な時感じるような、
静かに本を読んで居るような、
疲れたあとの目覚めのような、
なんだかふと、日常で感じるような、嬉しくて、幸せで、安心して、心が軽い。たった二人の空間。独りとは全く違う。
第四都市
「……素材確保に軍が動くらしい」
「はぁ?」
「冒険者や農民をなんだと思って……!」
「確かに最近素材の値が上がってはきたが」
「ああ。おかげで食材の方まで上がって来ている。飯が不味くてしかたねえ」
「にしても、ガラクタばかり増やして何がしてぇんだ?」
「確かに書とかの娯楽の方は手に入れ易くはなったが」
「知らねぇよ。お貴族様の都合だろ。どうせ」
「だが、"農園"を荒らすと農民が怒り狂うぞ?」
「ダンジョンは軍、大きい集団には向かねえし。ノウハウがねえとなあ」
「ガラクタを増やして来て今度は死人を量産ってか?」
「ちげぇねえ」
ショータ
「ねえ。お姉さま。農民も魔物を狩るんだよね。冒険者と違うの?」
ヤウ
「農民は"農園"と呼ばれる場を持ちます。これは、多くは国によって大まかに分配され、その範囲において特定の魔物のみ刈ります。特定とは、Lv、種族を指します」
ショータ
「どうして?魔物だったら全部狩ればいいじゃん」
ヤウ
「まず、特定の魔物を狩る事によって対策が取りやすくなり死者が減ります。
また、魔物が限定される事で供給が安定します。
最後に、場を決める事で効率良く見逃す事も無くまんべんなく魔物を駆除できます」
ショータ
「おお……。あれ?じゃあ冒険者っていらないよね」
ヤウ
「確かに軍が農民が対処しきれない魔物を狩る事で冒険者が居ない国も有ります。しかし、冒険者ギルドは歴史が有り国とは違い世界各地の魔物の資料が損なわれる事無く保管されます。また、強い冒険者ほど珍しい、または高Lvな素材を手に入れる事も有ります。そして何事にも想定外と言うものは有り、強力な魔物が現れた時頼りになるのは冒険者です」
ショータ
「軍人を育成すれば」
ヤウ
「死なない環境で人に訓練された軍人と、魔物相手に常に命懸けの冒険者では、本当の危機において実力が発揮できるのはどちらでしょうか」
ショータ
「冒険者か」
ヤウ
「まあ、冒険者は自由なのでいざと言うときにいなかったりなんて事も有りますが」
ショータ
「でも、保険なんだよね。観光客みたいに居るだけで素材かお金を落としてくれるし。国からは何もしなくて良いし」
ヤウ
「そういう面も有ります」




