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異世界で生きていく  作者: ゆう
人と関わる怖さと知らない恐さ
110/156

ショータ

他者視点。今後、ちょくちょく入る予定。

俺は高木翔太。中学2年生だった。


両親は幼い頃に死んだ。

一人っ子だった両親はそのまた両親も老人ホームか死んだらしいし、保護者が居ない俺は児童養護施設で暮らした。


児童養護施設には他にも子供が居たが、虐待や育児放棄等、俺みたいに本当の意味で両親が居ない子供は居なかった。そういう些細な違いからか、俺は同年代の中で浮いていた。


幼い頃からあまり人と関わらなかったのは社会において致命的で、小学生ではいじめにあった。

「仮面野郎!」表情が変わらなくとも何も思わない訳では無い。

「親無し!」俺が望んだ訳じゃない。

「オカマ!」小学生に性差などほとんど無い。髪が長いのは……。

「バーカ」「あーほ」「うんこ」


話が合わないのも仕方ない。

テレビもゲームもオモチャも。

そんな贅沢を親も居ない俺が望んでも良いのか分からなかった。少しでも話しについていけるように、本なら沢山読んだ。図書室の読書数ランキングで一番になったのは嬉しかった。

足の速い男の子が皆に囲まれて居るのを見て、俺も練習した。持久走大会で一番になった。嬉しかった。


テストも国語も算数も……。



どうして俺には誉めてくれる人が居ないんだろう……。




中学2年生のある日、俺は覚えている限りで初めて、子供が親に我儘を言うように大声で泣いた。周囲が俺を遠巻きに見て慌てているのを感じ……むなしくなった。







不思議な夢を見た。








痛っ!いだだだだだだだっ!


何!目の前が真っ赤だ。


痛すぎて赤い訳じゃない。血、血が……!

眠る前以上に泣きわめいた。


何故か真っ赤な人が俺の母親で、俺がその中から産まれた事を理解してしまった。夢の続きなのか、俺は二度も母親を亡くすのか!嫌だ!ぉかぁさんっ……お母さん!









寝て起きて、少し冷静になって理解した。

夢は夢ではなく、本当に転生したのだと。でなくてはこの状況はあり得ない。恐らく赤ちゃんに俺はなって居た。


恐らくというか確定で。


お母さん……。大丈夫かな。


「ショータ様、お目覚めですか。ではお食事の時間ですね」


ビクッ。

「……お、……だー!」

この感じ、喋ろうと思えば喋れる。多少呂律は回らないけど。本当に異世界。赤ちゃんってこんなのじゃないだろ。でも急に話し出したら不気味だろうし。

というか、メイドさん?居たの気付かなかった。


……うお!めっちゃ綺麗。……奴隷とか、居るのかな?首輪してる。メイドって事は貴族?貴族の家に産まれたのか。さすが貴族、奴隷の首輪も豪華だなあ。綺麗だし。黒髪に大きな金の目が猫みたいだ。


「はい。Lv67の乳牛の()ですよ」


血!?

「だぁうぅ~!」


「嫌ですか。困りました。……仕方ありません。ショータ様申し訳ありません」


うぐっ。このメイド見た目はお人形みたいなのに、力業かよ!

「んくっんくっ……」


って、牛乳?まったりしたちょっと甘い牛乳だ。しかもめっちゃ美味しい。


「気に入りましたか、それは宜しゅうございました。乳牛、ランク4の魔物で全身の血が白く優しい味わいの通称"牛乳"ですよ。産地はここから魔車で3週間程かかるはずですが、さすがはキャンサー公爵家です」


都合良く、メイドさんが説明してくれた。本当に異世界。体に牛乳が流れる生物……魔物!?が居るんだ。魔車は馬車の魔物バージョンだな、きっと。

そして、家はキャンサー公爵家。あれ?侯爵?まあ、どっちにしろ偉い家、と。


「……はい。お腹一杯ですね。〈観察〉……ステータスに異常はありませんね」


「……けふっ。あー!」

お腹いっぱい。ありがとう。


そして気になるステータス。俺だって異世界物の小説もデスゲーム物の小説も知っている。


「はい。お休みなさいませ」


さっき起きたばかり……と言いたい所だが、異世界のくせにこんな所ばっかり同じ……もう……ねむ……。

「すぅーすぅー」







「ルーレシア様!まだ休まれないと」

「ヤウ、もう大丈夫よ。それより私の子、ショータにあわせて」

「今は就寝中です」

「赤子は寝るのが仕事だろう?」

「そうよ、さあ。起こさない内に黙って会わせなさい」

「はい」


うるさい。

「……だあー!」


あれ?なんか、ちょっとの不満に声が出た。前は仮面野郎って言われる位には感情を出すのが苦手だったのに。


「ほら。起こしてしまったわ?ごめんなさいねえ。うるさかったわよね。ショータちゃん」


「申し訳ございません」


「……あー!ぶぅぅぅ」

お母さんとお父さん!?


「ショータは元気だなあ。パパですよぉ~」

うおっ。美青年がだらしなく顔を崩してる。


「ショータ様が目が覚めてしまったようなのでお食事が必要なのですが」


「私がやりたいわ!ママだもの」


「畏まりました」


「あー!だあー!」

ママ!お母さんが居る!血は?大丈夫なの?


「はいはい。ママですよぉ~?可愛い子。ショータちゃん。そんなに暴れなくてもご飯はもうすぐですよ~」


「あー!」

良かった。大丈夫そう。俺のお母さん。俺の……。

当然、ヤウは理解できると知っていて説明している。

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