第一子
お世話をしているのは自分のはずなのに母親は私だと言わんばかりのルーレシア様はこの度本当に母になる。
ちなみに、この度父親になったはずのあれはこの一年愚かにも自分にまで"母"を強要しようとしたが、恐れ多くもキッパリ断った。無いな。
別に嫡子は産まれるのは神様に保証されているし、腐らせても良かったかなとおもう。
「無痛薬」
「ダメさね」
「麻痺薬」
「ダメさね」
「睡眠薬」
「ダメさね」
「……後で治すので一度欠損させるとか」
「何を言ってるのかい!?そんな高Lvの部位欠損解除薬が!……じゃなくてだね、出産とはこういうものだから落ち着きなさいな」
「しかし、あまりにも声が……」
「ううむ。狭いのだねえ。……!無痛薬と部位欠損解除薬が有るって言ったね?高LvのHP回復薬は?」
「有ります」
「……視れないねえ。Lvは?」
「無痛薬が80、部位欠損解除薬が93、HP回復薬は78ですが、〈回復属性〉〈時属性〉の強化により長時間高回復です」
「……」絶句
あれ?HP回復薬はともかく、他二つは称号持ちレベルで作れるはずだが。まさか……!
「Lvが足りない?」
出産をなめてたか。
くっ。こうなったら、ごり押しでも何でも理由つけてもっと高Lvの"魔女製"の薬を出すか。
これらは突貫で作ったから誤魔化し用に名無し製にはなって居るがLvが低い。
「いやいやいや。十分さね。そんな物どこで……。特にHPのが薬都でも滅多に……侍女が手に入れられる様な物では……」
「(森に)隠居した(もう出てきた)人(魔女)から譲っていただきました。詮索は無しで。それより、ルーレシア様は?」
「ああ。少々時間も経ったし、すんなり産まれないので帝王切開を行う。赤子を傷つけないように、切らないといけないが、誰か高Lvの〈剣術〉持ちは?」
「騎士を呼んできます」
「ああ。こっちも準備しとくさ」
もうすぐでLvが100になるルーレシア様の旦那様は現キャンサー家当主様に付いて補佐しつつ仕事を学んで居る為、ルーレシア様もちょうど首都にいた。
で、重要な会議が有ったので帰ってこれなかった旦那様達がちょうど帰って来た。
「お帰りなさいませっ!ルーレシア様がっ、これより帝王切開をいたします」
「お、おお。ただいま。それはめでたい」
「帝王切開だとっ!?無事かっ」
「旦那様は〈剣術〉いくつでしたでしょうか?昔騎士団にいらしたのに〈剣術〉すら出来ないなどとおっしゃられませんよね?」
「ヤウ嬢。……慌てているのか?アルタルフも落ち着きなさい」
「〈剣術〉は30だ。これでもそこそこ才能が有ったからこそ騎士団長につけたんだぞ。そんな事よりシアは?」
「ちょうど良いです。切ってください」
「帝王切開か。わかった行くぞ!父上失礼する」
「当主様、申し訳ございません」
「……気にするな。お前も行ってやるといい」
「失礼します」
地球とは違い、帝王切開いっても剣で豪快に切って治す方法だ。しかし、むしろ普通よりも高Lvの薬のおかげで危なげなく赤子を取り出す事が出来て良かった。
オギャアオギャア……と泣きわめく赤子。
確かもう中身は入っているんだよなあ?
転生前は中2のはず。……目の前で母親が血まみれで、そこから取り出されたと知ったら日本の中学生なら泣いても仕方ないか。
ルーレシア様は気絶したし。
「シア、良くやった。元気な男の子だ!この子の名前は翔太だ!」
転生前の名前も翔太。周囲がカタカナの名前だらけの中違和感は有るが、自分がこの子の専属になったのと同様に名前が翔太なのも神様により決まり切った事だ。
「ショータ、豊かにのびのびと育ってくれよ……」
「良いお名前です。ルーレシア様もお休みですし、旦那様はそろそろ退出願います」
「いや。もう少し」
「ルーレシア様は大仕事を終えた直後ですし、……では、ルーレシア様のほうだけでも先に失礼いたします」
「そうだな……。いや、ヤウは決めた通りショータに付け。シアの方は新しく専属になった侍女に任せる」
「……畏まりました」
仕方ない。まあ、何するか分からない転生者を一から見張れると割りきろう。




