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異世界で生きていく  作者: ゆう
人と関わる怖さと知らない恐さ
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実験

二人のスキル合成実験は、そのまま他人のスキルを合成して使おうという実験だ。


まずは、簡単な[ウォーターボール]から。


一人が魔力を形成し、もう一人が水属性を付与して飛ばす。だけなのだが。


行っているのは〈魔力操作〉に長けた二人。……のくたびれた男が向き合って一点を見つめて唸って居るのは目に毒だと思う。一応国の最高レベルの研究所に居るので相応にLvは高く、見目は良いのに。


〈魔力視〉で視てみるが、魔力は綺麗な球を維持して居るのに一向に水属性が付かない。……何故か。






そのまま実験は進む。当然、出来ない事の確かめも実験には大切なのだ。

上手くいかなかった原因を魔力の個人差に絞って確かめる。


魔力が個人毎に違っているのは事実だ。ただし、どこが違っているのかは分からない。だから同じ魔力であろう二人で実験だ。

奴隷の双子。兄妹、親子。


双子では上手くいった。兄妹の場合は何パターンか有ったが、年、性別関係なく相性というものが存在するようだった。また、夫婦でも稀に成功した組が有った。魔力の質が似ていると惹かれやすいとか有るのだろうか。


ただし、これでは相性の良い者同士でしか使えない。そしてここは魔導国。他人とのスキル合成を出来るように魔道具を作った。それこそが本命だった。


他人とのスキル合成。これが何を意味するかというと、魔法に関してこれまで必死に組み合わせだなんだとやって来たものの半分が意味がなくなる。スキルレベルを上げるのに時間がかかったのでより効率の良いスキル達を育てる必要が有ったのだが、育てるスキル数が減る。もう他人が居れば自分と他人のスキルで魔法が使える。しかも、人を変えるだけで自由に組み合わせを変えられる。


魔道具は、対となる杖。

〈魔力譲渡〉の多分自分の魔力を相手の魔力に変換する機構と、〈魔力操作〉〈並列思考〉〈強向(ベクトル)属性〉〈錬金〉等々。


で、その稼働実験だが、


「おお!」

「あれは……」

「……使える」

「ぶつぶつぶつぶつぶつぶつ」

「……!」


「人体と魔道具の融合か……」


失敗した。

対となる杖を持つ人の魔力や発動させたスキルを融合する予定が、多分〈錬金〉の[合成]かな?杖とそれを持った奴隷が融合している。


遠目には片手に杖を持っただけにも見えるが、手の部分は無く、手首から杖が生えている。

この世界のありとあらゆる物質は最小まで細かくすれば素粒子でもクォークでもなく魔力になるから杖という魔力と人体という魔力の融合ではあるな。


どっちにしても接続部の一部しか融合に成功していないから失敗に違いないが。

う~ん?

「……完全に融合したらどうなるのでしょう?」


「多分」


「……」


「おや、気付いてたのかね?残念。……多分、杖は持ち主のスキル発動に反応して動くから杖の方が従で持ち主が主。融合後の基本が持ち主の姿で杖の要素が体のどこかにみえる事になるんじゃないかな。ほら、闘人種のように」


研究者の一人に闘人種、翼人がいる。髪にカラスの羽のようなものが交ざっている。


「では、魔道具は人体にいくつ融合できると思いますか?」


「自分で考えるのも大事だと思うがね」


「私は研究者では無いので」


「それはもったいない。着眼点は素晴らしいのに。……融合数は3パターン。

1つだけ、個人差、いくらでも。

私は闘人種に似ていると思った。類似する、とは重要な事も多いからね。闘人種は一つの種の魔物の姿をとれる。だから、私は1つだけ、という説を推そうかね」


そういってこちらに視線を向けてくる。

「私は、……個人差かと」


「ほう……?」


この世界は基本的にLvが全てだ。

「個人のLvに応じて融合できる質、数が決まると考えます」


「成る程……成る程!良い考えだ。本気でここの研究者にならないかい?」


「お断りいたします」


「残念。お嬢さんの仮説だと先程私が言った仮説も怪しい。完全に融合するとどうなるか、主従に関係なく魔道具と持ち主のLv差で混ざり具合も変わるのかもしれないな」








なんだかんだ、時間が飛ぶように過ぎて行きいったん帰る事に。


「今日はありがとうございました。また来ます」

ちょうど帰る時にまた出会ったので挨拶をする。また明日。


「今日はもう遅い。良ければ泊まって行くかい?」


「それは……良いのですか?」

ぜひ泊まりたい。


「良いとも。歓迎だ。……私はラサルハ・オフィウクス・アリーズ。ここの所長で、第十三都市の長だよ」


「ありがとうございます。私はヤウ。メシエ子爵の次女で、ルーレシア・キャンサー様の侍女をしております」


「……。はっはっは。お嬢さん。ヤウ嬢の驚いた顔が見てみたいものだ。侍女、明日は大丈夫なのかね?」


「十分驚いております。あなた様が研究者でもない一令嬢にここまで気を配られるとは。先日より1ヶ月のお休みをいただいております」


「では、好きなだけ泊まって行くといい。ここには研究者ばかりだし、あまり人の出入りも無い。ヤウ嬢が珍しいだけさ。貴女なら気付いているだろうが、1日監視して貴女のその着眼点が気に入ったのだよ」

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