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囚われた王女

続きです。

王女様とはどうなるのでしょうか。


楽しみにしてください




朝のアラームがなる。どうやら魔物などは来なかったようだ。

やはり野営でよく使われている所となると近づきにくくなるのだろうか。

6時に部屋全体に鳴るようにアラームをかけていた十華は目覚める。


朝食を食べる前に、シャワーを浴びポンデさんに挨拶をするために、テントの外へ出る。

既にポンデさんは起きていたようで、軽く体を動かしているようだ。

日本で言うストレッチみたいなものだろうか。


「おはようございますポンデさん、お早いのですね」



「これはこれは、トーカさんおはようございます。歳を取ると目覚めも早くなるのですよ」


「メリカももう少ししたら起きると思いますので、そしたら朝食にしましょうか」



「おお、後で食事代は払わせてもらいますのでご同伴してもよろしいですかな?」



「はい、勿論ですよ」


今日は何を作ろうか・・・

余りアレンジできるような食材はないためどうするか考える。


アプリの実を炒めてパンに挟んだらどうだろうか。

フレンチトーストが食べたいが卵はないし、アップルパイ擬きを作れば美味しいだろう。

幸いパンは買い込んであるし、無限庫に入れてあるので柔らかいままだ。


昨日の土で作ったコンロを取り出す。まだ火はついたままだ。

アプリの実を4つ取り出し、一口サイズに風魔法で切っていく。

フライパンに一口サイズに切ったアプリの実を入れたら飴色になるまで炒めていく。


飴色になったアプリの実を白パンの上に開けた穴に詰め込んで行く。

ホットドックのような感じだ。たっぷりと詰め込んだら簡単だが調理終了だ。


ローテーブルを出し、机の上にアプリパンを置いていく。一人2つずつだ。

匂いはテントの中まで届かないはずなのだが、いい匂いがするのと言いながらメリカが外へ出てきた。


「では、みんな揃いましたし食べましょうか」


みんな一斉にパンにかぶりつく。


パクパクパクパク


終始無言だ。飴色になったアプリの実はとても甘く美味しい。

白パン自体が日本のパンのようにしっかりした小麦の美味しさがわかるようなものではないので、アプリの実が入るだけでとても美味しく感じる。


「旅の途中に美味しいものが食べれるとは幸せですな、アプリの実を煮詰めたものを挟んで食べたことはありますが、ここまで美味しいものではなかったです」


「美味しいのです、どれだけでも食べれそうなのです」


どうやら好評なようで良かった。

町とかでは簡単に作れそうだが、旅の途中にそもそも美味しいパンが食べられない。

調理スキルがlv10になったのも味が美味しい秘密だ!



「喜んで貰えると作り甲斐があります」


次の野営地を目指して今日も進まないといけないのでテントをしまい準備をする。

今日の野営ポイントまで行く間には魔物の多いとこもあるとの事なのでしっかりと警戒して行く。


3時間ほど馬車を走らせただろうか。その間も魔物は出たが十華の敵ではなく、近づく前に既に絶命していた。


「マスター、これを見てください」


突然ネルが話しかけてきた。どうやら2kmほど先に盗賊のアジトがあるらしく、もう少し進むと盗賊の斥候に目撃されるとの事だった。しかも、厄介な事にアジトにお姫様がいるらしい。



異世界初盗賊だが。これは気合を入れて行かなければならない。

勿論盗賊も人だから殺せないとか言ったりはしない。精神耐性もあるので恐らくなんの躊躇もなく殺してしまうのだろう。


日本に居た身としてはそれでいいのかとも考えてしまうが、

今いるのはこちらの世界だ。この現実を受け止めるしかないのである。



「ポンデさん。もう少し進むと盗賊がいます。数は30人」



「わかりました、どうしたらいいでしょう?」



「撃退します。なので盗賊がいるのは知らなかったフリをしてください。ついでにアジトの方に何人か捕まってる人がいるようなのでそちらも壊滅させたいと思っています。勿論危なくないよう倒した後メリカが護衛します」



「わかりました、ではそのように」



「頑張るのです」



「メリカは人を殺すのに抵抗はないの?」



「何を言っているのです。私は十華さんと歩むと決めたのです。足手纏いにはならないのです」



嬉しいが・・・それだけで解決する問題なのだろうか。

自分が全て倒してしまえば今は済むので問題ないが、後々自分の身を守れるようにはなってもらわないと困る。人を殺せというのだから、複雑である。



「おい、止まれ!」


馬車が止まる。


「中のやつ出てこい」



「はい、どうなさいましたか?」



「俺達が有効利用してやるから、積荷を置いて言ってもらおうか」


出たー!本物の盗賊。このセリフを少し生で聞いてみたかった。


「わかりました、では他に冒険者が2人ほどいるので、降りてもらいますね。」



「中々素直じゃないか」


十華達は馬車から降りる。



「積荷を置いたら僕達を見逃しては貰えるんですか?」


我ながら迫真の演技だ。

今にも震えそうな声で話してみる。


「男は皆殺しに決まっているだろう。そっちの女は生かしておいてやろう」



「そうですか、それでは戦わないと僕達の未来は・・・」


演技するのが楽しくなってきた十華。


「メリカ、君は僕が守る」


剣を構えた。


「俺らにあったのが運の尽きだったな、女を守ろうとしたのは気に入った、苦しませずに人斬りで楽にしてやる」



盗賊Aが斬りかかってきた。


「おりゃぁ」


めんどくさいので風魔法で首を飛ばす。


ズシャッ


「お、お前今何をした。みんな一斉にかかれー」


ズシャ


ズシャ


ズシャッ


次々と首だけが飛んで行く。

リーダと思われる男以外を全て葬る。

逃げようとしたリーダと思われる男をバインドし風魔法で浮かして馬車の前まで連れてきた。


「お前何もんだ・・・。俺はこれでも元Aランク冒険者だぞ。この化け物がまさかSランクか?」



「化け物とはひどいです。襲ってきたから返り討ちにしただけなのに。俺は新人のDランクですよ」



「そんな化け物の新人がいてたまるか。早く殺せ!」



「いえ、その前にちょっとお聞きしたいのですが、アジトの中にいる人は誰に頼まれて攫ったのですか?」



「なぜ、お前が知っている。まさか・・・それを知ってここにきたのか。それとも裏切りか?」



「えっと・・・勘違いしてそうなので最初に言っときますが、俺がここに来たのは偶然です。商人の護衛依頼で来ているだけなので」



「ではなぜ、アジトの中にいる第一王女の事を知っている」



「第一王女がいるのですか。それは物騒な話ですね」



「なっ 騙したのか!」



「盗賊だから、人攫いくらいやってるだろうと聞いただけですよ。死ぬのですから全て話したらどうでしょう?」



「依頼人の情報は漏らせない。これが盗賊として最後の誇りだ」



「そうですか、ならさようなら」


首を斬る。

これで盗賊はほぼ全滅した。

アジトの中に見張りが二人ほどいるようだが、もはや何も出来ないだろう。



「トーカさん、王女様とは一体・・・どういう事でしょう」



「状況は分からないですが、どうやらこの国の第一王女が攫われて囚われているようですね」


「それは大変助けに行かなければ!!」


厄介事の予感しかしないが、見殺しにするのも気がひける。

それに異世界で王女との出会いは逃してはいけないイベントな気もする。



「アジトへ行ってくるので、待っててください。まだ盗賊もいるかもしれないので。メリカはポンデさんよろしくね」



「はい、よろしくお願いします」



「わかったのです」



十華は盗賊のアジトへ向かう。

500mほど先にある洞窟のようだ。


到着すると入り口に残った盗賊二人がいた。


「お頭達遅いな、今日はあの王女をみんなで遊ぶ予定だしさっさと終わらせてくると言っていたのにな。割と強い冒険者がいたのか?」



「荷物が大量なんじゃねーのか?お頭達が遅れをとる相手なんてこんなとこにいるわけないしな」



「ちげーねえ」


見張りの盗賊が物騒な話をしている。

今夜遊ぶってそういう事だよな?本当にこんなゲスな奴らがいるとは・・・

異世界物騒すぎる。



見張りを無視してそのまま洞窟に入ろうとする十華。


「おい、てめえどこから現れた!ここが盗賊団深淵の鎖のアジトと知ってて来てるのか?」


「ん?深淵の鎖?何その出さいの。とりあえず死にたくないならそこで大人しくしてて、抵抗するなら他の盗賊同様殺すよ?」



「何を言ってやがる。お頭達が死んだなんて事あるわけないだろ!」



「死ねえ!!!!」


剣を振り被って来たので、風魔法でそのまま首を飛ばす。


ブシャっ


「ひいいぃぃっ」


もう一人はそれを見てどうやら気絶したようだ。

抵抗しない者を殺すのもあれなので、とりあえずお宝探しだ。

王女様はいいのかって?お宝のが先に決まっている。



結果的に言うと、お宝はたくさんあった。元Aランク冒険者が頭だった事もあり、かなりの商体を襲ったのだろう。普通の護衛依頼でつく冒険者では歯が立つはずもない。


全て無限庫に入れる。

隠し金庫などもあったのでそちらも頂戴する。

泥棒じゃないよ?盗賊を倒したら倒した者に所有権が移るから正当な権利である。


・武具

・魔道具

・美術品

・黒金貨2枚白金貨30枚大金貨8枚金貨200枚


よくこれほど集めたものだ。今後の異世界生活に役立たせて貰おう。

では、王女でも見に行くかな?



王女は奥の牢に入れられていた。

傷だらけである。食もロクに与えられてなかったのか、痩せ細っており、

トイレも行っていなかったようで、臭いも酷い。


まずは、臭いを消すためにクリーンをかけた。

これでなんとか息が出来る。


「大丈夫ですか?」


意識が朦朧としているからか、声が出ないのか、返事がない。

ただ、死にそうな目でこちらを見ている。


「んーっと、一様助けに来ました、わかりますか?わかるなら頷いてください」


王女が頷く。


「では、ちょっと檻を壊すので、待ってくださいね」


十華は檻に手をあてそのまま広げる。


「ヒィッ」


驚かせてしまったようだ。


「すみません、驚かせてしまったようで。こちらに来れますか?」


首を振っている。動けないようだ。


「では持ち上げさせて貰いますね」


お姫様抱っこだ。

本物にする事になるとは現実わからないものである。


少し広い場所に連れていく。

一度降ろし怪我の治療をする。


「ヒール」


みるみるうちに全ての怪我が治っていく。

王女様が目を見開いて驚いている。


「あなたは、何者なのでしょうか?」



「自己紹介が遅れました。Dランクパーティエトワールのリーダトーカと申します」



「冒険者の方でしたか。この度はありがとうございます。私、アルミナ王国第一王女、アルミナ・ルナ・アミナと申します」


アルミナ・ルナ・アミナか、とても言いずらい早口言葉見たいな名前だ。

王国の名前と王都の名前に挟まれたルナというのが名前なのだろう。


「とりあえず、服もボロボロですし、僕の仲間の元へ行来ましょうか。ルナ様と呼べばいいですか?」


「いいえ、ルナで結構です。敬語も不要です。お言葉に甘えさせて貰います」



「じゃあ、またお姫様抱っこで行来ましょうかルナ」


顔を赤らめて何かブツブツと言っている。

それを無視して持ち上げる。


「きゃっ」


「今更恥ずかしがらないでくださいよ。服もぼろぼろですし、隠すなら寧ろ」


「きゃぁぁっ」


あれ、気づいてなかったようだ。

服はボロボロで所々白い肌が見えている。6割ほどは布がなんとか残っているといった感じだろうか?


十華の胸に顔を埋めながら、ブツブツ・・・と言っている。

この王女はブツブツ言うのが好きなようだ。もう少し聞こえる声で言って欲しいものだ。


洞窟を出て、馬車のある所まで少し急ぎめで走る。


「えっ ま、まっ、待ってく、ださい」



「どうしました?もう着きましたよ」



「戻りました。ポンデさん。依頼中に離れてすみません」



「いえいえ、とんでもないです。お初にお目にかかります。ルナ姫様、私はミスドナツ商会の長ポンデと申します、大変な目に遭われたようで無事で何よりでございます」



「ミスドナツと言うと王都にある商会ね。依頼の途中との事だったけど、私も王都へ連れてって頂いてもいいかしら?勿論お礼はさせて頂きます」



「私共の商会をご存知とはありがたき幸せでございます。お礼なんてとんでもない、ちょうど王都に行く所なので、大した振る舞いは出来ませんが、是非乗って言ってください。それにこの馬車ほど安全で快適な所はないでしょう」



「王都に店を構える大商会を王女である私が知らない訳がありません。それより、この馬車ほど安全とはどういう事でしょう確かに、大商会の馬車となれば、安全だとは思いますが、護衛はお二人だけでしょうか?」



「はい、二人だけでございます。しかし、先程の盗賊を一人で倒されたトーカさんがいるのですから、よっぽどの事がない限り大丈夫だと思われます」



「あの人数を一人で・・・」



「それは置いといて、メリカ王女様に服貸してあげて欲しい。目のやり場に困るからね」


なぜか不貞腐れているメリカだがどうしたのだろうか。


「また女の子が増えそうなのです。ブツブツブツ・・・」



「おーい、メリカ、王女様に服」



「あ、はいなのです。こちらに来るのです」



「はい、すみません、お願いします」


地味に敬語になっていない、メリカだが、いい人そうだし無礼とかいう事はないだろう。


「あ、トーカさん、服テントの中に全部置いたままなのです。出して欲しいのです」



「あ、はいはい、ちょっと待ってね」


十華はテントを無限庫から出す。

王女様は驚いて固まっている。



「行くのです」


メリカが引っ張って連れて行く。


「って、メリカ待って。中は!」


遅かった。王女様を連れてテントの中へ入って行くメリカ。

いくらメリカでもそのまま連れて行く事はないだろうと思っていたが甘かった。

ポンデさんが凄い興味深げに見ている。

さてどうしたものか?




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