番外編メリカ あなたは私の王子様ですか?
メリカ編続きです。次から本編戻ります。
1話から6話まで話をわかりやすく文章を足したり誤字直ししながら修正しました。
内容に変更はないので報告のみです。
カーンカーンカーンと鐘の音が響き渡る。
朝が来たようだ。
目覚めたメリカは朝食を取り、足早に冒険者ギルドへ向かう。
早く行かないと良い依頼はなくなってしまうと聞いていたからだ。
ギルドのドアを開け中に入ると既に人がたくさん掲示板の前に群がっていた。
掲示板の依頼が見えず、後ろでオドオドとしているメリカ。
「おう、依頼いいのあったか?」
「あ、クマさん」
「いやいや、グーマだが、まあいいか、それよりどうだ?」
「ううん、人がいっぱいでまだなのです・・・」
悲しそうな顔をするメリカ
「よし、どんなのがいい!俺がとって来てやろう」
「ありがとうです。お手伝いの依頼をやりたいのです」
メリカは笑顔で答える
「お、おう、今持ってくる。待ってろ」
そう、メリカは可愛いのだ。本人は森で暮らしていたので気づいていないが。
とても可愛らしい女の子である。
グーマはただのお人好しなため、打算があって近づいた訳ではないが、そういった人が寄って来てもおかしくないくらいの可愛いさがあった。
グーマが戻って来た。
「これでどうだ?」
手には3枚の依頼書が握られていた。
一つ目は 町のゴミ拾いと清掃 報酬銅貨6枚
2つ目は 5歳の子供の面倒を見る 報酬銅貨8枚
3つ目は 織物工房でのお手伝い 報酬銀貨1枚
報酬を見て、愕然とする。
1つの依頼をこなすだけの稼ぎでは宿代が精一杯なのだ。食事なども考えると、1日に最低2つこなす必要があった。
Fランク冒険者の収入は本当に低いのだ。まだお手伝いの依頼があるだけマシである。時にはない日もあるので、その時は採取に出かけるしかないのだ。
ちなみに採取は常時依頼となっており、5束で6銅貨だ。
悩んでいると、
「オススメは、2つ目と3つ目だな。ここをよく見てみろ」
そこには12の鐘がなるまでと書かれている。
朝から昼までの仕事だ。
そしてもう1枚には、13時からのお仕事と書かれている。
午前の仕事を終えてからそのまま向かえばちょうどいいのだ。
「あ、これがいいのです」
「おう頑張れよ」
受付に持っていき、依頼を受理してもらう。
早速、依頼主の元へ向かう。
今日はお店が忙しいらしく、旦那と共に、お店へ出なければいけないらしい。
面倒を見る子は可愛らしい女の子だ。
名前はミーアちゃん。
犬耳の少女だ。
それから色々と遊んだ。
おままごとをしたり、絵本を読んであげたりした。
絵本を読んでる途中で眠ってしまったので、そこからはただ時間が過ぎるのを待ちながら、ミーアちゃんの犬耳をなでなでする。
凄く気持ちがいい。ハマってしまいそうだ。
依頼主が戻って来た。
無事に面倒を見れたので依頼書にサインを貰う。無事達成だ。
休んでる暇もないため、
次の依頼へ向かう。
途中でお腹が空いていたので、兎肉の串焼きを買い食べる。
とても美味しい。
織物工房に到着した。
中ではおばちゃんが5人ほど、依頼主はここの工房主のアルダさん
織物工房での仕事は、納品する織物の仕分けと、
糸を丸く、ボールのようなものに巻きつけていくのが主だった。
工房のおばちゃん達は優しく、お母さんといるみたいでとても安らいだ。
「メリカちゃん、しばらく内で働かないかい?」
工房主である、アルダおばちゃんがそんな事をいう
「泊り込みでご飯も一緒に食べればいいし。報酬は今日と同じでどうだい?」
メリカは考える、凄くいい条件だ。
正直このまま、冒険者として働いていても、その日暮らしがやっとである。
宿代を考えれば、その分少しは貯金ができる。
しかし、稼ぎを増やさなければ、お母さんを呼ぶこともできない。
メリカの夢を叶えるには、冒険者を頑張って稼ぐしかないのだ。
「ありがとうなの、でも・・・・」
俯いて、悩んでいるメリカを見てアルダおばちゃんは言う
「何か、悩みがあるのかい?私でよければ聞くよ」
そんな温かい言葉に涙が込み上げる
気づけばアルダおばちゃんに抱きついて泣き続けていた。
泣いたことでスッキリしたメリカは、
村から追放された事。
お母さんを呼んで暮らしたいという夢がある事を話した。
「冒険者の仕事をやる時はいってくれたらいい。だからうちで働いておくれ」
こんないい条件のまま、冒険者もやってもいいといってくれた。
メリカはアルダおばちゃんの提案をありがたく受ける事にした。
「わかったのです。宿に後3日いるのです。それからくるのです」
「わかったよ。これからよろしく頼むね」
メリカに新しい居場所ができた瞬間だった。
宿に帰る前に仮身分証を返しに来た。
そして銀貨2枚を返金して貰い宿屋に戻った。
それから、3日はあっという間だった・・・
お手伝いの依頼を順調にこなして、町の人にも知り合いが増えた。
そして、宿を引き払い、アルダおばちゃんの所に引越しをした。
特に荷物はないので、荷物はいつも使っているカバンくらいだ。
アルダおばちゃんは優しく、周囲の働きに来ているおばちゃん達もメリカを可愛がってくれる。
しかし・・・充実の日々は長くは続かなかった。
今日はお休みだ。
何をやろうかな?っと考えていて思った。
久しぶりに冒険者の仕事をやろう。採取もやった事ないし、チャレンジだ。
冒険者ギルドに行くと、依頼に行く前の準備などをしている冒険者がいっぱいだ。
今回メリカが採取するのはメルルカ草だ。
ポーションの材料になる草で、常時依頼が出されている。
初めてなので、受付で案内してもらおうと
いつも通りマリアさんの受付に並ぶ。
「あ、メリカさんこんにちは!いつもちゃんと仕事してくれるって評判いいですよ!工房で働く事になって、うちが雇っておけば良かった!と悔しがってる方もいるくらいです」
頑張って来た結果が認められとても嬉しい
「ありがとなの。これからも頑張るのです」
「はい、今日もお手伝いでいいですか?」
「ううん、今日は採取をするの」
「採取ですね。初めてでわからないことも多いと思うので、質問あれば聞いてくださいね」
「うん、ヒルルカ草がわからないのです。ヒルルカ草の見本がみたいの」
「こちらに載ってるのがヒルルカ草ですね」
マリアさんが図鑑を取り出して教えてくれる。
「あ!これ見たことあるのです!ありがとなの」
村に居た時に見たことがある草だった。
マリアさんにお礼を言ってギルドを出る。
今回行くのは常闇の森と呼ばれる森の浅い所だ。
ギルドを出て歩いていると突然声をかけられた。
「あのー。今から採取ですか?」
男の人二人組だ。
「はい、採取に行くのです」
「俺達、二人で森で狩りをしに行くんだけど、荷物を持ってくれる人探していたんだ。狩りは問題ないんだけど、二人で狩するからどうしても素材が持ってこれないんだよなー」
どうやら荷物持ちを探しているらしい。
だが、華奢なメリカにはそんなたくさんの素材をもてる力はない。
断ろうと思った時、
「勿論、その途中途中で採取もしてもいいし、俺達で狩りした分も山分けだ」
今はお金に困ってる訳ではないが、少しでも稼ぎを増やしたいメリカにとってとても魅力的な提案だった。
「本当にいいのです?そんなに持てないのです」
確認をする。
「大丈夫だよ!少しでも持ってくれるだけで助かるからさ、俺はルード、こっちはドグル二人とも剣使いだ。よろしくな」
いい人達なのかな?
今は稼ぐことだけ考えよう。
「メリカなのです。よろしくなの」
門を出て森に向かう。
最初はとても順調だった。
二人がゴブリンを倒し、私は採取をする。
ゴブリン程度なら全然余裕そうな二人を見てとても安心した。
「おい、ドグル、向こうになんかいる」
「ちょっと見てくる!」
斥候役はドグルの仕事だ。
しばらくして戻って来たドグル。
「オークが5体いた。だが、全員食事中みたいだ」
「お、それはラッキーだな、それなら俺達でもスキをつけばいけそうだ」
「だな、今日は大量だ、ついてるぜ」
オークを狩りに行くらしい。
森の奥に入って行こうとする二人に少し不安を感じたが、
自信たっぷりな二人に何も言えなかった。
オークの元へ近づいて行く。
木の隙間から覗いてみると、オークが一角兎やゴブリンを食している所だった。
見ているだけで気持ち悪くなりそうな光景だ。
「よし、まだご飯の最中だ・・・」
「まず、俺が斬りかかるからドグルは撹乱してくれ!、メリカは、木の陰に一人で残っていると危ないから、俺の後ろに付いていれば大丈夫だ」
なんかあればこいつを囮にすればいいか。
ルードは考えていた。
ドグルもルードの性格を知っている。
囮がいるからこそ、大胆に狩りが出来る。
まさかそんな事を考えてるとは知らないメリカは言われた通り行動する。
「行くぞ・・・ドグル!」
「おう!」
ルードが後ろからオークの首に斬りかかった。
ズシャッ まだ甘い
少し血は出ているが、致命傷にはなっていない。
他のオークが気づく。
ルードに向かって、オークが拳を振り上げた。
その隙をついてドグルが、オークの足に斬りかかる。
ギャゥゥ
オークが悲鳴をあげる。
足を傷つけて、動きが鈍くなったオークの遅くなった拳など、敵じゃない。
ルードは、ナナメに思いっきり斬りつけた。
ズシャッ
ボコッ・・・
オークを斬った音と同時に変な音が響く。
ドグルは他のオークを撹乱しながら、その音を探る。
その音の正体はルードだった。
オークを斬りふせると同時に他のオークが横から接近していた。
その一撃を腕にくらいルードは剣を離してしまった。
後ろにいるメリカは、恐怖で足がすくみ、しゃがみこんでいる。
それを見たドグルは、これは撤退するしかないと判断し、撹乱を始めるが、
ルードの元へオークが迫る。
なんとかドグルが追いつき、足を斬りつけるが、もはや戦える状況ではなかった。
ルードはすぐに正体を現した。
「おい、立て!」
メリカを無理やり立たせる。
そしてメリカの持っていた短剣を取り上げ。
そして、 背中を・・・ドンッ
「えっ」
メリカは何がなんだかわからなかった。
そのまま二人はどこかへ逃げて行ってしまった。
私はここで死ぬの?
何も出来ないまま・・・死んでしまうの?
もうお母さんとは会えないの?
そんなの嫌だ。。。。。
メリカは精一杯逃げようとする・・・が、
ゴブリンすら倒せないメリカでは、時間稼ぎも出来てわずかだ。
武器すら持っていない。
もう、終わりだ・・・
オークが拳を振り上げる
誰か助けてよ。。。。もうできることは何も無い。
最後にメリカに出来るのは叫ぶ事だけだった。
怖くて震えている、唇を噛み締めて叫んだ。
「きゃあアアああぁぁ 誰か助けなの・・・」
何秒過ぎただろうか。
一向に拳が来る気配がない。
目を開けて、周りを見てみる。
何が起きたのだろうか・・・
オークが首を斬られて全滅している。
私助かったの?
「大丈夫ですか?」
突然銀髪、蒼目の美少年に声をかけられる。
この人が・・・助けてくれたの?
私の王子様・・・?
私は震える中、精一杯返事をする。
「ひゃい、 だいひょうぶなの」
噛んでしまった。助けて貰ったのにまともに話すことも出来ないなんて。
「大丈夫ならいいけど、何があったの?」
私はさっきの出来事を思い出し、恐怖がまた湧いて来るが、
精一杯振り絞って話した。
「一緒にパーティーを組んだ人が・・・・私を囮にしたのです・・・」
今泣いたら涙が止まらない。
「大体わかった。ギルドに戻ってその事話せる?町まで一緒に戻ろう。
それと・・・名前聞いてもいいかな?俺はトーカだ」
トーカさん?
頭をナデナデしてくれる。
とても温かくて落ち着く手。
もう我慢できないよぅ。
「グスン メリカです。ありがとうございます ううぅぅ 怖かったのです」
私は我慢出来ず王子様に抱きついて、大声で泣いてしまった。
それから王子様は私の頭をナデナデしながら、何も言わずに、
抱きしめてくれた。
私は安心したのか眠くなる。
これは夢?起きたらまた会えるといいな。




