妻の想い出
想い出 1
第1章 あの桜の見える病室
私はごく平凡な生活を送っていた。
仕事はゲーム会社のプログラム作り、いつもパソコンとにらめっこする38にもなるおっさんだ、ゲーム作りながら「いつかこんなゲームじみた冒険をしたいな」と思うオタクじみたおっさんだ。
そんな感じで日にちは過ぎていった。
会社で仕事をこなしているとスマホに病院から着信が入った。
「奥さんの病状が悪化したから直ぐに来てくれますか?」
掛かり付けの病院からだったでも何でか声が・・・?違う・?
病室に行くと・・居ない。
妻がいなかった。
まさか・・・。
妻はガンでもう長くないのは分かっていた。
会社の同僚が来てくれて案内してくれた。
「外にいる」と言いながら・・・。
妻が車椅子に乗って手を降っている。
「病室から見るサクラがあまりにも綺麗だったから外に出たいと先生にお願いしたの」
見上げると満開の桜だった。
私は言った「あっ・・病院から妻が病状が悪化したから直ぐに来てくれますか?って言われたけど?」
「あれは同僚の佐伯さんが病院の電話借りてかけたのよ。
妻はそう言った。
花見したいと言ってたもんな・・・・。
佐伯の気遣いもあって二人は病院でノンアルコールで乾杯した。
花見をしながら、、、、。
また来年しような、、、。