第5話 神様は切れる、そして増えていく
「だってぇ! あたしは芸能の女神だよ? 戦闘タイプの神じゃないんだよ! キミを守るなんて無理!」
「俺にキレるなよ! いや、でも神様だろ? なんかできるだろ? 特技とかは?」
「特技は歌と踊り、あとは演劇とか小話とかかな? まぁゲームに例えると回復役か、ハッスルダンス★みたいなスキルで味方の全パラメータアップ的な?」
つ、使えねぇ…!
そりゃ強力な前衛キャラがいてこその特技だろ!
「異議あり! 異議ありだ!」
「え? タイチくん!?」
俺はたまらず叫んだ。
ウズメも周囲の神々も怪訝そうにこちらを見る。
「高天原の戦士、タイチよ。何事だ? 神に向かって異議ありとはどういう事か」
偉そうな神、エンリル様が問いかけてきた。
うおぅ、他の神様はデカかったり迫力があったりで怖いけど、半裸や鳥マスクでどこか笑える所があるが…このエンリル様にはそういう所が全く無いな。
低い声に鋭い眼光、とにかくめっちゃ怖いぜ…!
異議あり、なんて言った俺だったが、実はこのままバトル開始となるのを避けたかったのでとりあえず声をあげただけだった。
な、何か考えなくては…!
「あ、えっとその…パワーバランスがおかしくないですかね?」
「ほう?」
「他のチームは俺でも知っている超スゴい神様&戦いのプロみたいな人達なのに、うちのチームは芸能の神様に日本の高校生ですよ? 僕は走っただけで息があがるし転んだら骨が折れる現代っ子の見本みたいな男だし、こっちの神様はムネがデカくて無駄にセクシーだけど、そんなの戦いでは何の役にも立ちませんぜ! 戦いになったら一瞬で負け、皆さんの暇つぶしにもなりませんよ。面白くないですよ!」
とにかく何とかしたくて思いつく事を喋り続けた俺だった。
「キミね、神様に向かって無駄にセクシーだとか役に立たないとか…まぁその通りだけどさ」
すると…。
「確かにな」
おお!
俺の意見に賛同の声をあげてくれたのはゼウスのオッサンだった。
「ふむ、暇つぶしの戯事とは言え、やるからにはワシも楽しみたいぞ」
オーディンのオッサンも!
よしよし、このまま高天原は参加しないとか戦士をもう一回選ぶとか、そんな流れになってくれれば…!
「どうでしょうエンリル? 今回に限りチーム高天原には有利になる何かを与えては?」
鳥マスクさんんんんんん!
えっと、ラー・アメン様だっけ?
違うんだよ!
有利になるとかそういうのじゃなくて、高天原は参加しないとか! 戦士の変更とかを!
「参加表明した以上、辞退は認めん。戦士の変更もな」
げっ、インドラのオッサン!?
アンタは俺の心が読めるのかよ!?
「だが、このままでは面白味に欠けるのは確かだ。ラー・アメンの意見にも賛成しよう」
お、おう?
「…アヌ様、いかが致しましょうか?」
「あ~任せる任せる! エンリルに任せるよ~」
「承知しました。…皆の意見、考慮するとしよう」
考慮!?
なんでもいい、良い方向に行ってくれ!
「エンキ、オモイカネ、ミネルヴァ、ここへ」




