第2話 神様のお願い
「アマテラス様~!」
それからも何度か呼びかけたが、全く反応がない。
「アマノウズメ、本当にここにアマテラスがいるのかドン?」
ポセイドンが俺と同じ疑問を口にする。
「はい、ここはアマテラス様のお気に入りの引きこもりスポットですから。引きこもるのなら絶対ここのはず…」
とか言っていたら、祠の扉下から紙が出てきた。
なんだこれ?
「えーと、『何かマンガを持ってこい』だって」
「どういうことだドン?」
「アマテラス様…はぁ…」
これはあれか?
引きこもりがお母さんに欲しいモノを依頼する的なやつか?
「なんだよこれ、どうすんだ?」
「仕方ないわね…あたしはそこのコンビニで今週発売のマンガ雑誌を何冊か買って来るから、タイチくんはクシナダから何か借りて来てくれる?」
「お、おう。分かった。」
「吾輩は小僧についていくドン」
げっ、こっち来るのかよ。
つーか高天原ってコンビニあるのか…。
とりあえずアマテラス宅に行こう。
「…というわけで、何かマンガ本を貸してもらえませんか?」
「まぁ、アマテラス様ったら。分かりました。ではこちらをお持ちください」
「ありがとうございます。…『漫画で読む古事記』…?」
「こんな本でいいのかドン?」
「さぁ…」
しかしアマテラスの趣味が分からない以上、渡された漫画を持っていくしかない。
急いで岩戸まで戻ると、ちょうどウズメもコンビニ袋を持ってやって来た。
俺の借りたマンガ本、ウズメの買ってきたマンガ雑誌を祠の扉の前に置く。
「アマテラス様! ご所望の漫画です!」
ウズメが言うと、扉前の本がフッと消えた。
「うおっ! なんだ!?」
「アマテラス様のお力よ。献上品をお納めになったの」
「すげぇな、扉を開ける必要なしかよ。引きこもりが加速するな…」
…あれ。
扉下からまた紙が出てきたぞ?
『今週号はもう読んだ』
知るかよォォォォ!
だったらタイトル指定しろや!
だいたい引きこもりの癖になんで今週号読み終わってんだよ!
『漫画で読む古事記』は借りてきた意味あったのか?
んん?
もう一枚出てきた。
『肉が食べたい』
こいつ…。
「なぁ、これじゃただ引きこもりの相手してるだけじゃんか!」
「しっ! とにかくアマテラス様の言う事を聞くしかないわ」
仕方ないので牛丼屋で大盛りを買って差し入れた。
すると。
『これやだ。焼肉屋「牛なわれた世界」の焼肉弁当がいい』
うがあああああ!
指定すんなら先に言えぇぇぇぇ!!
その後も言葉足らずの要求に対応しては、あっちが良いだのこっちが良いだのと突き返す。
紙が出てきた時に詳細を聞いても答えないくせに。
なんて面倒な神様なんだ…。
ていうかただの構ってちゃんだろ!
「アマテラスってこんな面倒くさい神だったドンね…」
ポセイドンにも言われちゃったよ。
心なしかアマノウズメを見る目が優しい。
いや、あれは憐憫のまなざしって奴か?




