都会発田舎行列車【400文字小説】
始まりがあれば終わりがあるように線路にもいつか終点がある。
たとえ、環状線をぐるぐると周っている列車でも一日中走り続けているわけではない。
大都市にある始発駅を出発して、徐々に家が少なくなっていく。
途中でいくつかの大きな町の駅を通り、都市は町になり、町は村になっていく。
平地を快走していた列車は速度を落とし、曲線と勾配が続き、時々トンネルがあるような山岳地帯へと入っていく。
そのころになると、最初はたくさん乗っていた乗客も数えるほどになってしまった。
ガタンゴトンと独特のリズムを刻む列車の車内に残っているのは自分を含めて三人。
最初は八両編成で出発した列車も、ローカル線に入る前の駅で六両を切り離し二両編成になっている。
車掌もいなくなり、自動で開いていた扉も横のボタンを押さなければ開かない。
『まくなく終点の……』
自動放送で案内が入り、列車が速度を落としていく。
ここまでくれば、田舎町の終着駅はすぐそこだ。