村に着いたとたんに、小さい者に囲まれたな。
イルシーヌの森を抜けて、村に着いた遠夜は違和感に気付き、眉をひそめる。
「(ゲーム時代とあまり変わらねぇ感じがするが・・・。)」
不安は拭えないが、まずは身体を休める所に向かおう。遠夜は前に進もうと足を動かしていると、
「あー!!しらないやつがいるー!!」
「ほんとだ!この村にあそびに来たの?」
「皆いきなり失礼でしょっ!」
遠夜の回りに一瞬で、小さい人だかりが出来ていた。小学低学年から中学年までの年齢の子供達が、交互に話しかけてくる。その中にはエルフや獣人といった種族もいた。
「おー。後で聞いてやるから村を案内してくんねぇ?宿屋探してんだけど。」
「やどやー?シーラおばさんのとこ?」
「あんないしてやる!!にーちゃん行こうぜ!」
「お客さまごあんな~い♪」
子供達に手を引かれ、遠夜はその場から移動した。
「シーラおばさん、お客さまー!」
「黒いにーちゃんつれてきたぜ!」
こじんまりした建物に入り、子供達が声をかけると、奥から恰幅のいい女性が現れた。
「おや、珍しいねぇ。こんな何もない所に来るなんてさ。」
目の前で立ち止まり、彼女は遠夜を見て何かに納得したように頷く。
「その服装からして、あんたもしかして冒険者かい?」
そう言われ遠夜は、改めて自分の身体を見た。
銀の装飾が施された黒い長衣に、腰帯に幾つもついた麻袋や、ポーチがついていて、耳や指には、魔宝石のピアスと指輪がはまっている。ゲームで遠夜が使用していた装備だ。
「まぁ、そんな所です。急で悪いんですが、泊まらせて頂いても?」
「もちろん。部屋は有り余ってるからね、自由に使ってくれて構わないよ。」
そう言いながら、彼女は部屋の鍵を渡してくる。
「部屋は、階段登ってすぐの所にあるよ。」
そんな言葉を耳にしながら、二階に続く階段をのぼった。