その10
「超音波と障害物によって通常の発声の位相を遷移させて指向性音声にして秘匿性をあげた井戸端会議か。これをやってる奴はメロン体でも持っているのか?」
その第一声に結界内に動揺が走る。それは公輔も同じだった。
「ご明察、ガーディアン20。まだ誰も発言していないのに、まさか見抜かれるとは思わなかったわ。あなたテレパシーでも持っているの?」
ショートヘアの言葉には隠しきれない揶揄が込められ、いかに彼女が悔しがっているかが手に取るように分かった。彼女にとっても、その技術が初見で看破されたのは初めての経験であった。
「殺傷能力のある音響兵器と戦う羽目になったこともある。俺達は音にも気を配っている」
本来は殺傷せずに無力化するのが長距離音響装置の利点のはずなのだが、より危険な物と彼は対峙したことがあるらしい。殺傷能力のある音とは、いかなものか公輔には想像も付かなかった。
「さすがだな。それだけ優秀な楯ということだな、ガーディアン20」
相変わらず上から目線の物言いはキティだ。
それに反発したわけではないのだろうが、続く海司の言葉にはかすかな苛立ちが含まれていた。
「楯は壊滅した。俺の名前は磯垣海司だ。貴様らは一体何者だ」
「お前にはコードが無い。ならば、ガーディアン20だ。それがここのルールだ」
「俺が貴様らのルールに従う義務があると思うのか?」
不敵な笑みでも含んでいればまだよかったのだが、海司のそれはあまりにも平坦な声音だった。
――邪魔するなら叩き潰す。
言外にそんな圧力を感じさせる。そして、先の戦いで五対一でも圧倒されたことを知っている野良猫達は、一様に緊張を抱いた。
公輔の意識を一瞬で奪った海司に向けて、大口径狙撃の第二撃が撃ち込まれたが回避され、着弾の余波も収まらないうちに三人の野良猫が次々と撃破された。
狙撃手を務めていたプロフェッサーが速やかに位置を変え、ライフルを構え直したときには、公輔を含め四人が地に伏していたという。
スコープ越しに戦場を視野に入れた彼が見たのは、予備の拳銃の銃口を真っ直ぐ自分へと向けている地上最強の生命体の姿だった。
圧倒的なまでの力の差。悔しくともそれが事実だった。
ゆえに、もし彼が翻意すれば野良猫の全滅もあり得る。
「私の名は吉岡順平」
驚いたことに最初に名乗ったのは、プロフェッサーだった。野良猫のナンバー2たる彼が自ら素性を明かしたことに、公輔も驚きを隠せなかった。
「吉岡?」
磯垣海司が気にしたのは、その名前だった。
「その吉岡だ。名付け親は、かの元帥殿だ。フィーラインナンバー二十五。民間人として新葉大学病院の外科局長をしている」
完全に身元が割れる発言。
しかし、海司の返答は無かった。
「井田准教授のことか?」
意外にもプロフェッサーは助け船を出した。淡々とした語り口の彼には珍しいことだった。
「安心しろ。彼女は我々とは関係ない。彼女は好奇心と親切心から君を診ている。その姿勢に嘘偽りは無い」
「それでも井田先生のスタッフが噛んでないとも限らないのだろう?」
「その通りだ。ただし、そのスタッフは教授としての私の駒となっているが」
「教授として?」
「そうだ。本人は私と井田君との学内での主導権争いに参加していると勘違いしている」
「先生はそういうことには興味無いだろう」
「その通りだ。私もそんなことに興味は無い。ただ、我々の任務にはそういうカムフラージュも必要なのだ。私が井田君の敵、という構図は何かと役に立つ」
「概ね理解した。それで貴様らの目的はなんだ?」
「お前ほどの存在が想像も付かんのか?」
話をこじれさせかねないキティの割り込み。だが馬鹿正直に問う海司の姿勢に、疑問を抱かないわけではない野良猫達。
「貴様らは俺のことを俺以上に知っているらしい。だが、俺は貴様らのことを知らない。ただ、それだけだ」
「なんて短絡的な……」
「だが、それもまた真理だな」
まただ。またプロフェッサーこと吉岡順平は、海司に対して同意を示した。やけに磯垣海司の肩を持っている。
キティや何人かの野良猫が呆気に取られている気配を、公輔は感じ取っていた。何事も達観し、淡白な性格の彼にしては本当に珍しいのだ。
「どうした、プロフ?気に入ったのか?」
思わず問いかけていた公輔。
「なるほど。傍から見るとそう見えるのか……」
淡々と、しかしどこか戸惑ったような気配。それもまた珍しい反応だった。
「磯垣。君は我々の目的はなんだと思っている?」
「ある目的のために国全体を誘導することか。その目的に関しては、予想する材料が足りない」
「我々の公的な身分には、連邦政府、防衛省、第一複合連隊、弁護士、軍需産業の取締役などがある」
「意外だな。湾岸軍にはいないのか」
「そうだ。湾岸軍に我々の存在は必要ではない。他の州軍も同じだ」
「なら、連邦政府に対抗し誘導する機能を持っているのだろう。――やはりそうか。貴様らの目的は、プログラムの遂行か」
「そうだ。元々楯はプログラム遂行の切り札として作られた。しかし、切り札は切り札だ。使わないことも必要だ」
「そうだな。主力戦闘機も超電導護衛艦も、使わないに越したことは無い。存在することに意義があるというのは、冷戦時代から必要な考え方だ。――俺達もそうだった。貴様らは違うのか?」
「連邦政府を誘導できれば、楯を使う必要は無く“プログラム”も遂行できるだろう。そのために我々は動いている」
「ならば問おう。――武力行使は必要か?」
「現状では必要だ。残念ながら、我々の力不足は明白だ」
プロフェッサーの断定には、さすがの公輔もムッとせざるをえない。
「プロフェッサー。そいつは俺達が役に立たないって言ってるのか?」
「そういう問題ではない。我々には時間が無いのだ」
――時間が無い?
それは予想外の返答。現状では政府の誘導や、“プログラム”に反対する勢力に対する工作は進んでいる。武力行使を避けても、二十年以内にプログラムは完遂されると、公輔は考えていた。
時間は充分にあるはずだ。
「“プログラム”に反する輩の最大の障害は楯。そうだろ、ペルシア」
唐突なキティの問いかけ。
「ああ、そうだ。だから楯管理法が成立したんだ」
楯に対するあらゆる勢力の妥協点として。
「ならば、その楯に問題があったらお前はどうする?」
問題?現状の政治的不安定を突いて来る勢力は常に存在している。
「その、問題とやらを突くだろうな」
「その問題――はっきり言えば、欠陥は秘匿されなければいけない」
――欠陥……?
そんな物があると、プロフェッサーは言っている。この場で仮定の話は意味が無い。ならば、それは事実なのだ。
「やはり知ってたか……」
笑いを含んだ声音。そして、諦観にも等しい虚しい笑い声だった。二十歳になったばかりの青年の発する声ではない。
「当然だ。井田君は隠し続けているが、ライオンの耳に入っている以上、私も把握している。――だが、これが敵の耳に入るのも時間の問題だ」
「後藤善彦に小野澤和輝が接触したという情報がある。そうなれば敵は気付くだろう。楯は決して無敵ではないと」
当たり前だ。無敵の存在なんてあり得ない。そう理性で否定する公輔だったが、プロフェッサーも海司もそれとは違う感覚だった。
胸の裡に沸き上がる不快感を払うために、公輔は問う。
「何が言いたいんだ?」
「ペルシアは疑問に思わなかったのか?磯垣の異常な戦闘力を」
「異常な?」
確かに、海司は四人の野良猫を瞬く間に撃破した。しかも一人の死者も出していない。高い神経速度を誇る野良猫だったが、実戦経験の差で負けたと彼は感じていた。
いくら速くとも、生命である以上隙はある。呼吸や心拍ゆえに生まれる間隙。それを突かれれば、たとえ高い能力を持っていてもより巧みな技術に倒されるのは当たり前だ。
それは高度であるが、しかし異常と呼ぶほどではないと公輔は思っている。
だが、それは充分に信頼できる男の手で否定された。
「異常だ。何故なら、あの瞬間、彼は私の視界からもロストしたのだから」
ざわつく結界。場の維持管理を行なうショートヘアまでも動揺してフィールドが不安定になったのか、急に大きくなる今まで隠されていた高速道路の喧騒。
やっと場が落ち着いて来た時、問いかけたのは実際に海司と戦ったミケ――クリス加古崎だった。
「どういうこと?狙撃手であるあなたが、彼を見失うはずがないでしょ」
戦場全体を俯瞰する必要があったプロフェッサーは、スコープの視野を広くとっていたはずだ。その中で動く海司が、どれほど速くとも見失うはずがないと彼女は言っているのだ。
「それでもロストした。――私の推定だが、磯垣海司の戦闘速度は瞬間的に秒速七〇メートルを記録したと思われる」
「んなバカな。そいつはリニアかなんかだってのか」
そんな速度で急に動けば、人間なら潰れてしまう。いくら楯でも……。
「当然だ。しかし、我々はS-GENE4だ。すぐさま回復可能だ。おそらく二、三日で復帰するだろう」
そうだ。プロフェッサーの言う通りだ。S-GENE4には圧倒的な快復力がある。骨折しても一晩も休めば、活動に支障はないというほどの驚異的な恒常性と快復力だ。
たとえ自らの力で傷付いても、S-GENE4の優位は変わらない。
「しかし、本当にそれは我々の優位足りうるのかな?」
その吉岡順平の独白は、結界内を驚くほど静謐な沈黙に塗り替えた。
「我々はあまりにも我々のことを知らない。何故なら、我々は誕生して三十年足らずだ。そして、個体数も現存するのは五十体そこそこだ。我々の本当の寿命も、限界も知っている者はこの世界に存在しない。――君のことを知ったとき、私は初めてそのことに恐怖を感じた」
――恐怖。最強の生命体であるはずのS-GENE4にあるまじき言葉。
それで公輔はようやく理解出来た。
「……そういうことなのか?」
「ああ。その通りだ、ペルシア。資料は後日提供しよう。――全野良猫に告げる。本事項は絶対機密事項だ」
「現在この情報を有するの者は、新葉大学医学部井田美里准教授。湾岸軍第三二普通科連隊、連隊長榊原功征。同隊大佐山村陣。ベイランドシティ警察本部長、吉岡竜太。そしてベイランドシティ特別区行政長官、サエグサ・フォックス・リー――湾岸軍浜本充大将ですら知らん。そして、これ以上の拡大も赦すことはない」
「以後、野良猫は本情報の漏えいを完全に防がなければならない。その際の手段は一切制限しない。さらに排除行動に事前の通告は必要無い。プログラムを成功に導くための
必須行動だからだ。各自の判断が優先される」
驚きと、しかし納得の気配が随所に感じられる。ここまで情報が開示されれば、野良猫は全てを理解できる。
「我々はお前の情報を完全に秘匿する用意がある。――磯垣海司。お前は、我々に何をもたらすんだ?」
キティの問いかけに、全ての野良猫が海司の気配に注意を向けた。
「“たった一発の銃弾で国家と国民を守れる楯たれ”」
おもむろに放たれたのは、特殊潜行暗殺部隊楯のモットーともいえる言葉。
「だが、俺は柴崎も吉岡さんも沢岸さんもフレッドも守れなかった。おそらく俺はこれからも失っていくんだと思う。それでも、あんた達は俺を信用するのか?」
その言葉に公輔が感じたのは、彼の抱く恐怖。戦わされ、そして失い続けた少年の哀しいまでの諦念。
「それは君には何も無いということか?」
「今の俺は、あんた達がさっき口にした人達の操り人形だ。俺は彼らに逆らえない。生き永らえてるのも、ある程度の自由が保障されてるのも、彼らのおかげだ」
的確な自己分析だろう。湾岸軍と湾岸州の政治家達が、自らの理想を実現するために奔走した結果が、今の彼の立場なのだから。
野良猫はその言葉に反論できなかった。
だが、公輔は無性に苛立っていた。そして何故か幾度となく頭の片隅をちらつく理知的な眼差しの少女の姿。自分では彼女に何も与えられないと諦めていた女の子。それどころか、彼女が自分を追い抜いて年老いて行くのを黙ってみているしかないと思っていた。
「俺の命は、吉岡さんの遺志を遂行するために存在するはずだ」
――死だ。死がこの少年を縛っている。
そして、今同じ死という現実を目の当たりにした野良猫達も縛られようとしている。抗いようのない、そして予想外に近かった恐怖に。
キティもプロフェッサーも、ミケやショートヘアに他の猛者達や肚に一物持った連中も自分達の性能に油断していたのだ。自分達は最高の存在であると。
そこに突き付けられた現実は痛みを伴ない、誰もが沈黙してしまう。
だが、公輔は違った。
「おい。ふざけんな、クソガキ海司」
今までと違う意味で結界を静寂で包んだ、口を突いて飛び出た言葉。
あまりにも場違いなダジャレを口にしてしまったことに気付いた公輔だったが、彼の苛立ちはそんなことを意に介さなかった。
「人間生きてれば誰でも何かの操り人形にされちまうんだよ。社会ってのはそうできてんだ。違うか?」
学校、会社、家庭――その者が生きて行くのに必要なもの――構造によって人は行動を規定されることがある。それは社会的動物たる人にとって当然のことだ。いや、一定の社会性を持つならば、昆虫や動物ですら同じだ。
「だけどな、そんな中でも自分の正義を信じた連中がこの歴史を作って来たんだ。それはなんでだ?」
「それは今の話と関係あるのか?」
「今は黙ってろ、ワガハイ。俺はそこのクソガキに訊いてるんだ」
仲間の問いかけをばっさり切り捨てる公輔。
背後に感じる気配。背にした木立の中から現れた磯垣海司。
――まったく規格外の奴だ。
ショートヘアの結界を逆算して公輔の位置を割り出したのだろう。もう今更驚く気にもなれない。
「人はなんで正義を貫けるんだ?」
「お前は、なんで上官を斬った?」
問いかけを切り返された海司の目が、僅かに見開かれる。
「お前は、自分がそうすべきだと信じた?違うのか?」
「あれはフレッドが撃たれて、小百合も危険で……。それで……。翔平さんを止めないと、もっと人が……」
――本当に子供だ。
兄のように慕い、その言葉を信じた元上官。楯という兄弟達の長兄。その暴走を止めるために、彼はその力を揮った。
しかし、そのことがやはり彼を傷つけていた。目の前で目に見えて動揺する彼を見て、公輔は確信した。
「それが悪いことだったのか?」
「だって、だって翔平さんを傷付けたんだ。色んなことを教えてくれて、いっぱい助けてくれたただ一人の兄さんを」
「彼はお前に感謝しているんじゃないのか?」
「でも、もっといい方法だって。何も両手を斬るなんて……」
「もし彼の腕が残ってたら、今頃彼は殺処分されてたと思うぞ」
「今だって同じじゃないか。義手の中にテルミット仕込まれてるんだぞ。いつでも殺せるように、連邦は……!」
右手で顔を覆い俯く海司。
「そんな連邦政府が憎いか?」
頭を振る少年。
「そんなこと思えるはずがない。人間はそうやって守るしかないんだ。俺達がしたことを考えれば当然なんだ。俺達は兵器なんだから」
「お前は人間だ」
「こんなの、こんな力人間じゃない。こんなに周りを傷付ける奴は人間じゃない」
溢れ出す苦悩。忘却することも出来ず、昇華されもせず溜め込まれたもの。
そんな若者の姿に公輔はあっさり言い放った。
「そうだな。人間じゃない」
ピクリと肩を震わせる海司。
「お前はただのクソガキだ。うじうじと昔のことを思い悩んで愚図ってる、くだらないクソガキだ」
辺りに漂う失笑の気配。
伺い見るように顔を上げた海司の前で、公輔は仁王立ちしていた。
「安心しろお前は半人前だ。そして、人間になる必要も無い。――大人になれ」
「すげえ。なんつう屁理屈」
「報道官ってすげえ」
「笑うな。あれでもマジなんだぜ」
「マジ才能半端ねえぜ、ペルシア」
口ぐちに言う仲間達の言葉に、彼はいよいよ口角を吊り上げた。
「俺達はお前ら楯と違って人間として生きて来て、大人になった。組織に流され、社会に揉まれ、それでもプログラム遂行に命を懸けている。――お前ら右も左も楯どもとは年季が違うんだよ」
「なんで、そんなことが出来るんだよ?」
憮然とした態度の楯。やっと素が出て来たようだ。
そんな彼の前で、志賀公輔は堂々と宣言した。
「それが俺達の家族、友人、俺達に手を貸してくれる多くの人、そしてそこらへんを明るく転がり廻ってる子供達の未来のためだからだ」
――そうだ。何も与えられないと諦めるな。
「お前にはいないのか?そんな人達が」
小さく頭を振る海司。それは否定ではない。今まで自分を縛っていた何かを払うような動作だった。
「そうだな。お前に使命を与えるとしよう」
唐突なキティの物言いに、結界に動揺が走る。
「おいおい。キティ。アホなこと言うなよ。せっかくこいつが……」
「アホ言うな。金食い虫のペルシア。――磯垣海司。お前の第一の任務は簡単だ」
「本当に簡単なんだろうな?」
公輔に続いて方々からも突っ込みが入るが、キティはもはや意に介さない。
「人の友達を作れ。それも可能な限り多く」
――おお。なるほど。
一斉に納得する野良猫達。
一方、呆気に取られてぽかんとするパンサーこと磯垣海司。
「実に素晴らしい提案だな。その任務が完遂することを私も期待している」
プロフェッサーまでも苦笑交じりに賛同してしまう。
「は?いや?……はい?」
激しく狼狽する海司を見て、公輔は小さく咳払いをして居住まいを正した。
「なあ、海司」
「はい」
動揺のせいかすんなり返事してしまった海司が、まるで施設にいた頃の弟たちとかぶらせてしまう公輔。自然と頬が緩む。
「俺達に力を与えてくれた親父殿は昔言ったんだ」
――君達は自分の命を大切にしなさい。その果てに私の夢があるからね。
「これは、おそらく人生を楽しめってことだと俺は思っている」
「楽しんでたら、プログラムなんて……」
プログラムは確かに遠大な計画だ。日々鍛錬し、努力しなければ達成することなんて困難だ。
だが、
「それは間違いだぞ、海司。楽しむということは一人じゃできない。仲間がいてこそだ。お前がもし最高の仲間達を見付けることが出来たら、お前の人生は最高のものになるはずだ。それが出来てようやくプログラムを続ける意志を持てる」
「意味が分からない」
「簡単なことだ。そして、お前なら半分出来てるはずだ」
いよいよ困惑顔の海司。
ふと気づくと公輔と海司の周囲には多くの人影が集まっていた。その数十五。二人を含めて十七名。中には車椅子に座った者さえいる。
そんな少年に向けて、そして自分達に向けて後に野良猫の実質的リーダーとなる男は言い放った。
「人と世界をもっと好きになれ」
前回と合わせて1回分となるはずが、3分の1を改稿したら分量が倍増しました。
不思議??