PHASE-1 宇宙(そら)
こんばんは
雛仲 まひるです。
さて、主人公シェラ=カギザキの回想が主な物語です。
いろいろやらかしていて、時系列混乱するかもですが……。
まぁいいか(笑)
はいどうぞ><
草木は揺らめき音を奏で、鳥達は囀り歌を唄う。森の木々がざわめき、鳥達の歌声が囀りから地鳴きの歌を唄う時、それは異変の前兆を教えてくれる警告の歌。
そらに奏でる愛のうた。
そらまで届けと――。
夜空に無数の星が輝き、そして流れ虫達の合唱が響く熱帯の密林に大きな町にある小さな病院にわたしはいる。
これから語る彼、ソラと出会ったのは上空約六万五千フィートの宇宙で地球の引力に引かれ、降下中の民間大型貨物船の中だった。
当時軍に在籍していたわたしは船のクルー達と協力し、民間人の救命艇への非難誘導を終えて、船内に残されている民間人が居ないか船内を回り、その足で救命艇に向かう途中、わたしは大切な物を船内に忘れている事に気づいた。
何時も胸に抱えている物がないことに気付いたが、それは手荷物とは別に軍のコンテナに入れられ貨物室にあるはずだ。
わたしは救命艇に搭乗し終えた後のクルーもいなくなった船内の貨物室へ続く通路を流れていた。
救命艇に全員が乗り込んで誰もいないはずの船内で突然、わたしは声を掛けられた。
「なにをもたもたしている。早くこっちに」
最後の艦内見回りに来たこの貨物船のクルーだろうか。
「忘れ物を取りに、……母様の形見なの」
わたしはそう言って彼の制止を振り切り、バイオリンケースを取りに無重力の通路を流れた。
「ちっ。あんた死にたいのかよ。そんなもん探してないで早く救命艇に向かえ」
「いやっ母の形見のバイオリンなの。大切な母との想い出が詰まってるバイオリンなの」
彼は通路の壁を蹴り私の隣に並んだ。
「何処だ」
「えっ」
「荷物の場所に決まってる」
「軍の楽隊が使用する楽器と一緒に積み込みましたから」
「軍? こいつ敵かよ」
彼の口元がそう動いた様な気がした。
「貨物室だな」
わたしの疑念が膨らむ前に彼の言葉が返って来て戸惑っていた。
「はい。でも――」
「一人より二人で探した方が早いだろ?」
彼は無重力の通路を流れるわたしの手を不意に掴み壁を蹴った。
その反動で勢いを増す二人の身体。
彼は一体?
わたしの手を引いた彼は、手足で通路の壁を巧みに使い方向を変え貨物室へと向かう。
船内通路には当たり前だが案内板など見当たらない。
なのに彼は船内を熟知しているかのように貨物室へと流れた。この船のクルーなのだろうか。
その当たり前のような疑問ともいえない疑問は数時間後に明らかになる事を、この時のわたしはまだ知らない。
開戦
フロンティア軍。スペ-スフロンティア軍、宇宙戦略、戦術総合軍事司令ステ-ション、アトラスの管制官。シェラ=カギザキ。
わたしの名前。
開戦間もない時期に防衛体制の薄みを突かれ、敵軍がフロンティアイレブン群のコロニ-が崩壊させられた。
――その数六。
その事件で多くの命が星となった。
その頃のわたしはフロンティア本国にいる父の下で医療に携るカレッジで学生生活を送っていた。
母は帰郷して祖父らを迎えにフロンティアイレブン群に戻っていた際、事件に巻き込まれ亡くなった。
火の様に広がる戦火の中、母が亡くしたわたしは軍のカレッジに編入する事を決めた。
それが今しなければならない事だとその時は思ったから……。
軍機関のカレッジでも医師は目指せる。
わたしのような者でも軍に入隊すれば、戦禍に巻き込まれた人達を少しでも減せると、そう本気で思っていた。
当時フロンティア国民に戦火と悲しみ、憎しみが広がっていた。当時のわたしも例外ではなく、それが甘い事だと露程にも思わなかった。
あの惨状を目の当たりにし、異常というべき状況下は的確な判断力を奪っていた。
わたしから……、いや多くの人々から。
フロンティアを守る為に傷ついた人達を支えたい、医療以外でもフロンティアの人達を守る為に戦禍に巻き込まれ、命を落とすことになった母の為にもわたしの出来ることで戦いたいと思ったから軍医を目指した。
戦争の激化し軍のカレッジを卒業後、わたしは正規軍へと編入したのだ。
こうした経緯を経てわたしは今、スペースフロンティア(スペースコロニー)本国から近日行われる最新鋭艦の推進式の式典に第二楽隊として工廠に向う為、地球から打ち上げられたシャトルが各フロンティアに向う為の一時中継点の役割と地球降下を行なう前の大型シャトルや民間船、両軍の軍港を持つ中継ステーションに向う民間の大型貨物船に乗船する為の待機室にいる。
貨物船と言っても地上に降下予定のシャトルを衛星軌道付近まで運ぶ言わば、フェリ-の役割を持つ船であるが為、それなりの客室を持っている。
吹奏楽隊は軍内の有志が集まり軍内行事での演奏、平時の民間でのボランティア活動、それらにも軍の楽隊の仕事の一部であった。
何時も腕に抱えているのバイオリンのハ-ドケ-スは戦禍に巻き込まれ死んだ母の形見。
わたしの隣の座席には民間企業の民間船、シャトルに用いる推進機関関連、技術開発部門の研究者であり、部内では博士と呼ばれている父が座っている。
父が向かう先は同じ中継ステ-ションだそうで、仕事に関するなんらかを運んでいるわたしと同じ大型貨物船に乗船するらしい。
博士たる父が同行しているのだから重要なものに違いないのだろうが、父が研究の事を家で話す事はない。
企業秘密でもあるだろうから当然といえば当然だ。軍務の事は守秘義務が伴うわたしも話さないそれと同じ。
研究室に篭る事が多い父が家に帰る事は少なく、今回たまたま着替えを取りに帰った後、わたしは年内に隊員が交代で取る大型連休で家に帰っていた。
オフ明けからの勤務で父と行き先が同じと言う事を知り、一緒にこの貨物便で向う事にした。
他の仲間達とは中継ステ-ションで合流し軍のシャトルに乗り換え、そこから工廠に向うところだった。
その時の両軍は終戦でもはない不安定な時期でもあった。一時の停戦は、特に和平に向けた条約を結んだ分けでもない休戦だ。
開戦に至る事の発端は両軍が新開拓地である火星の資源を巡る争い。二年に渡り続いた激戦で疲弊した両軍が戦力の建て直しを測る為に行なった停戦協定など、ただの時間稼ぎだ。
地球軍は地球圏と月の周辺の宙域を自軍の絶対制宙圏とし、月を起点にフロンティア軍と宙域戦を行なっていた。
本司令部こそ地球に置くものの、物量に勝る地球軍の防衛戦力はかなりのものであった。フロンティア軍はよく善戦したと言えるだろう。
地球軍が地球圏内と静止衛星軌道と周辺軌道の全て統べているわけではない。フロンティア軍の制宙圏は静止衛星軌道の宙域や地球上には地域もあり、軌道上全土で戦闘が行なわれていたのではなく空白域も存在する。
地球軌道全域の守備は不可能であったのだ。それは両軍共に同じだった。
地球軍にとって宙戦を行なう為にも、また火星に向う為の艦船がスイングバイを行なう為には、月周辺の宙域は決して落とされてはならない宙域で、先の戦争でも一番の激戦区となった宙域である。
しかしまだ休戦状態とはいえ戦時に違いないのだ。
窓の外を見ていると嫌でも戦争の事を、母の事を思い出し考えてしまう。思いに耽っていた間に時は過ぎ、中継ステーション内にわたし達が乗る大型貨物船への搭乗のアナウンスが流れた。
大型貨物船には近くの各隊から楽隊が集まり、その後わたしは楽隊の仲間と行動を共にする事になっていた。
PHASE-2 限界高度へつづく。
御拝読ありがとうございます。
次回もお楽しみにっ!
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本作品同様他作品も読んで見てくださいねf^^
ではでは。




