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なんとなく温かい気持ちの今日

 あれから数日たつ。

2度ほど達也から連絡はあったものの

電話を取る気にはならなかった。


今、正直に言えば、相手が出来るほどの余裕がない。

それはいろんな意味で。

思ったよりも自分の体調がおかしいことが

最大の理由ではあったが。


倒れて以来連日めまいがおさまらない。

身体がどことなく痛むのは、以前もよくあった

症状だからあまり気にしてはいなかったが

あの日曜日以来ずっと続くめまいには

さすがのわたしも閉口した。


もし何かの病にかかっていたとしたら

それはそれで仕方ないとどこか覚悟する。

それは、ずっと以前から思っていたこと。

こう聞くと自暴自棄になっていると思われて

しまうかも知れないが、決して自暴自棄になって

いるわけではない。

―ただ、覚悟しているだけだ。


 今日の寒さもまた、わたしの体調を狂わせて

しまっているように思える。暖房を全開にして

布団に包まっていた。



 そこにかかってくる電話。

ため息をつきながら出る。

「もしもし」

「あ、真琴。どうだ?まだ体調はおかしいか?」

「うん」

「そうか・・今度、真理と俺の友達で飲み会を

 しようと思うんだけど、どうかなと思って・・」

「・・今の体調じゃ無理だと思う」

「そうか・・まだ先の話だから、そのときまた

 誘うかもだけど。そのときにまた返事をくれ」

「うん」

「えとさ・・前のときは済まなかった」

「ん?」

「い、いや、ほら。2次会のとき」

「・・・ああ。別にいいよ」

「あれからなんだかギクシャクしてしまってる気が

 するから・・謝っておこうと思って・・」


わたしの怒りはそこにではないのだが・・

まぁしばらくは関わりたくないから、そのまま

生返事をしておくことにする。


「・・それで、今って彼氏いないって言ってたよな?」

「うん」

「・・好きな男もいないのか?」


一瞬止まってしまう。


「・・いや、いない」


無言になる達也。何かを察したのだろうか。


「・・そうか。また連絡するよ」


そう言って電話を切った。


 時間は11時を過ぎたところ。

明日から3日は少し頑張らなくてはならない。


 お気に入りの音楽をかける。

だいぶ昔の曲だが、今でも大好きな曲。


昨夜よりはだいぶ落ちついているのだろう。

なんとなく温かい気持ちになって

言葉を作ろうと思っていた。


「星のかけらを探しにいこう・・・」

呟きながら、この曲を好きだったあの人を思い出す。


「今日はつらくないよ・・」

扉の列車の向こうでこちらを見ているあの人が

なんとなく笑顔になっている光景を思い浮かべて

そんな夢が見られるといいな、と思っていた。


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