トンビが鷹を産み、しかし鷹は太陽を産む
私には4歳の長女と2歳の長男がいる。
娘のかわいさ、可憐さと言ったら
それは割れ物に触るかのようにデリケートに扱わなければならない。
息子のそれはまた、別物だ。
自らの分身のように見える彼にはあらゆる期待をしてしまう。
カエルの子はカエルなのか・・・トンビが鷹を産んだのか・・・
よくそんな事を考える。
もちろん、彼には鷹になって欲しい・・・・。
そんな息子とのある出来事。
彼は物事を覚える順番が独特だ。
いや、子供らしいと言った方が適当かもしれない。
例えば、紙に機関車の絵を描いてみる。
それを見せて、これは何?と聞いて見る。
普通の回答であれば、
そのまま機関車 とか トーマス
といったような答えが返ってくる所だ。
彼は自信をもってそれをパーシーと言い切る。
(注:機関車トーマスに出てくるサブキャラ)
実際のところ、素人の私にトーマスとパーシーを書き分ける技術などないのに、だ。
おそらく最初に覚えたのがパーシーだったのだろう。
これはもう揺ぎ無い名称になってしまう。
彼にとって機関車=パーシー。
日曜日の朝はアニメが続けざまに多く放映されている。
中でもドラゴンボールは私も少年時代から愛したマンガであり、
子供たちと興奮を共有できる数少ないものだ。
彼はゴクウが理解できる。
ゴクウの息子にあたる、ゴハンは別だ。
「これはだぁれ?」
「ゴクウっていうんだよ」
「これはだぁれ?」
「ゴハンっていうんだよ」
「ちがうよーーーww」と言って、
(親父、冗談はよせよー)ってな顔で笑う。
そしてそのゴクウの息子の名前を何度もしつこく聞いてくる。
2回目、3回目はほぼ同じリアクションを見せてくれるが、
4回目程になると「ちがう!!!」と怒りすら込められる。
その度ゴハンとしか答えられない私は、彼にとってどうしようもない親父になってしまう。
そうだ、彼にとってゴハンは白米のアレ以外存在しない・・・。
他の話も挙げてみよう。
彼は色の区別も別格だ。
オレンジ色を指して、
「これは何色?」
と、どうしようもない親父が聞くと。
「みかん」と自信たっぷりに答える。
黒を指して、
「これは何色?」
と聞くと、
わざわざ「ゴセイジャーブラック」と答える。
(注:ゴセイジャーは戦隊物ヒーロー)
彼の色彩感覚の基礎はアニメか、食べ物か。
日曜朝8時半からやっていた「ハートキャッチプリキュア」というアニメは、
彼に多大なる影響を与えた。
登場人物は以下の通りだ。
キュアブロッサム(ピンク色)
キュアマリン(水色)
キュアサンシャイン(黄色)
キュアムーンライト(紫色)
先程のやりとりのように、これらの色を指して彼に問えば、
すべてキャラ名称で返ってくる。
ピンク色をみれば、
「ブロッサム、キュアブロッサム。」
と自慢げに答えるのだ。
そんな彼がオムツ外しに挑み、
自力でトイレに向かうようになった。
しかし、途中で不安になるのか、
便座から降りられなくなる事もあるのか、
事ある度に私を呼び寄せる。
「おとーーーさーーーん」
「おとーーーさーーーん!!」
「なんだ、なんだ?!」
「ちゃんと出たのか_」
私の顔を見てホッとした表情を浮かべ、
彼は本来の目的である便意解消に集中する。
そして私もそれを助けるべく
「シーーーー・・・シーーーー・・・・」
と、煽る。
そしてその瞬間。
自らの尿に向かって彼は叫んだ。
「サンシャイン!! キュアサンシャイン!!!」(訳:黄色!!黄色いよ!!!)
確かに太陽のような黄色だったが・・・。
だから私は思いたい。
トンビが鷹を産み、鷹は太陽を産んだ。
ただの親ばかですいません;;