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第三話 俺の能力

また滅茶苦茶に……。

 今は朝。さすがに今回ばかりは寝坊もできない。

迎えが来るまであと少し。


「もうこの日常とはさよならか……」


いけね、何か急に感傷に浸ってきた。


嗚呼、脳裏にある思い出……


女と間違えられて相手を潰した日。


女と間違われて不良バカに追いかけられた日。


そのせいで皆から怖がられた日々。


………………ろくな思い出がねえ……。

あれ? 目から何かが出てくるよ。

いや、忘れろ! 明日からの新たな日々を目指して!


「ファイトーオォーーー!」


「……お取り込み中失礼…………」


「うぉっ、いつの間に!」


叫んでいて気付かなかったが、いつの間にか正面に

紫さんがいた。


「あの~いつから?」


「もうこの日常とは、のとこから」


「最初っからじゃないすか!

……それでもう行けるんですか?」


恥ずかしかったから話を逸らしとこ。


「ええ。これから『HEAVEN』の日本支部に向かいます」


「支部? ああそうか、本部はアメリカだっけ…」


そう、『HEAVEN』の始まりはアメリカだ。そこから派生して

全世界の『HEAVEN』があるというわけだ。ちなみに、本部はアメリカなのに

初めて発見された人類に協力する能力者が日本人らしい。

だから、世界のどこに行っても部隊名は"UnInstall"だ。


「じゃあ行きましょうか」


「はい」


俺と紫さんが家を出ると、一台のリムジンが止まっていた。


「……あの、これで行くんですか?」


すると紫さんがさも当然のように、


「当たり前じゃない。『保護対象セイバーを本部に送る時は

あくまで丁重に』が隊長の指示だもの」


「は……はぁ………………」


俺は黙ってリムジンに乗る。内装すげえ!

そう思っていると車が出発した。


「あの、隊長って言いましたよね?」


「ええ、そうよ、私の隊長、つまり総隊長のことね」


そこで俺は疑問を持った。


「あの、総隊長ってどんな人なんですか?」


「「……………………………………」」


直後、沈黙が流れた。


(やばっ! 俺なんか悪いこと言ったか?)


「……クスッ」


「え?」


(何で? 何で笑われてるの?)


「総隊長を知らない人なんて始めて知ったわ。

……いいわ、説明してあげる。

総隊長は、かの有名な能力者。

彼が初の人類に協力した能力者。全世界の"UnInstall"部隊を束ねる存在……」


(まさかまさか! この流れはまさか!)


「そう、あの伝説の能力者。『無骸 零ムガイゼロ』よ。

その能力、『完全削除アンインストール』から部隊名が取られているわ」


「なにーーーーーーー!」


「わっ、やっぱ驚いた?」


「そりゃ驚きますよ……やっぱ強いんですか?」


「まあ、私の能力は攻撃に向いてないとは言え、勝負にならないわね」


「? 紫さんの能力って?」


「それは後のお楽しみ。あと、"さん"はつけなくていいわよ。

同い年だし」


「はぁーーーーーー!?」


それで、話が終わって、俺は驚き疲れたから寝た。










「……きて。……て」


うん? 誰だ? この声は確か…


「起きて!」


「うわぁ! 紫! そんな大きな声出さなくても!」


「だってあなたが起きなかったから……

まあ、それはともかく着いたわよ!」


俺は車を降りた。

そこに広がっていたのは、まさしく天国だった。


俺がもと居た街とは比べ物にならないほど

清潔感のある町並み。綺麗の整備されてヒビ一つ入っていない道路。

そして楽しそうに歩く制服を着た生徒達。


「すっげぇ……」


「そう? まあ外と比べたら良いところだけどね。

それより、早く行きましょ。まずはあなたがどんな能力か調べなきゃいけないし」


「ああ……分かった」


俺は町並みに目を奪われながらも歩き出した。


10分ほど歩くと、部隊の本部らしき場所に着いた。


「ここが"UnInstall"部隊日本支部よ!

早速だけど、この街で暮らすには、まず能力を測るわ。

ランク付けがあって、上から

S>A>B>C>D>E>F

となるわ」


「ランクが高いと何かあるのか?」


「高ランク保持者ほど、生活支援金が沢山貰えるわ。

支援金は、最低のFランク保持者でも最低限生活できる額よ。

つまり、暮らしを楽しみたかったら、ランク上げをがんばるのね」


「よし、俺も頑張るぞ!」


「ふふ、その息よ」


話しながら歩いていると、新住民登録係という札が目に止まった。


「ここでまずは能力を調べさせてもらうわ」


「ああ」


「さあ、こっちよ」


部屋に入ると、受け付けと、奥にまた扉があった。


「ちょっと登録したいんだけど」


紫が受け付けのお姉さんに言う。


「はい。後ろの方が御神 哀様ですね。

それでは、奥の部屋へどうぞ」


俺と紫は奥の部屋に入った。

そこは、100m×100mぐらいあるだだっ広い空間だった。


すると放送が聞こえる。


『では、目の前にある岩に触れて能力を使ってみてください』


「ん? いつの間にか岩が!」


「ああ、これは転送システムね。空間干渉系の能力者のメカニズム

を利用したものよ。

そんなことは良いから、能力使ってみて。

岩にふれて、こう、なんと言うか心の中の第二の目を開くような感じで?」


「ああ、分かった。やってみる」


俺は紫のアドバイス通りに、岩に触れて集中してみる。

すると蒼い光が岩全体を覆う。


その瞬間、岩は、その、なんと言うか………………


















岩が粉々になり、砂になった……。


その時、紫と俺は呟いた。


「「嘘……」」









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