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第三十一話 互いの思い

……とりあえず、読んでください。

琴雪SIDE


「私が行きましょう」


今、瓦礫の上にいるハイト君はそう言った。

そしてハイト君は今、能力を使おうとしている。

……ハイト君の能力がどんな物かは知らないけど、きっとできるよね?


「……ハイトの奴、大丈夫だよな……」


聊爾君が呟く。


「大丈夫だよ、きっと」


「……では、これから瓦礫の破壊作業に入ります!」


その瞬間、ハイト君の両脇の瓦礫が一瞬にして真っ二つになって、

どんどん目で追いきれない速さで瓦礫を斬っていく。

そして、遂には唯の砂になってしまう。


その、何か分からないものの速さに私達は、呆然とした。


ハイト君は私達が驚いていても冷静で、周りの瓦礫をどんどん細かく砂にしていく。

はっきり言うと凄い。

瓦礫を斬っている・・・・・のに、凄い速さで砂になっている。

私達にはできなかった事。


考え事をしている内に、もうほとんどの瓦礫は片付いていた。

音もほとんどしなかった。一体どんな能力何だろう?


「終わりましたよ。大きい隙間が出来ましたから、そこから救出作業に入ってください」


そう言うとこちらに来た。

全然疲れてなさそう。あんなに能力使ったのに。


「あの、ハイト君。ありがとう。哀君達を助けてくれて」


「いえいえ、私のできる事はこれぐらいなので。では私は向こうで休んでいますので」


やっぱり疲れているんだ、と思いながらも救出作業を見守る。


「見つかったぞーー!」


瓦礫の中から声が上がる。

そしてその中から運び上げられる二つの影。


1人は、紫ちゃん。右腕の肩の部分の服が破れて、血がついているが大丈夫だろうか?


そしてもう1人、哀君。しかし、嬉しかった私の目の前には、残酷な事実しか無かった……。

そう、右腕が無かった。それも、傷口は自分で塞いだのか、普通の肌が張っている。


「哀君……」


もう少し私がちゃんと訓練して、二人についていけば良かったのだろうか?

……そんなもの傲慢だとしか言えないて事は分かってるけど、そう思ってしまう。


2人がこちらに運ばれてくる。

紫ちゃんは、特に以上はないそうだが、哀君は、致死量以上の血を失っていて、意識があるのは

一重に彼の精神力のお陰らしい。


2人は、私達の前を、担架で運ばれて素通りして行った……。




琴雪SIDE END




御神SIDE



「う…………」


重いまぶたを開く。


「……知らない天井だ……」


冗談を言ってる場合じゃない。多分ここは部隊の救護棟だろう。

周りを寝ながら見ると、包帯やら何やら色々あるのが分かる。


ベッドから起き上がるが、左腕に違和感を感じる。

訝しげに思い、左腕を見ると、そこには太い点滴が打ってあった。

それを口で咥えて抜く。中身は血だった。多分、重度の失血だったのだろう。


ベッドから降りて、裸足で部屋を出る。今着てるのは、病人の着るような服だ。

やけに頭がはっきりするが、原因は分からない。


ここ救護棟は病院と同じようなものだ。

勿論病室も多数ある。

俺がいた部屋は誰もいなかったので、紫は別の部屋だろう。


意識ははっきりしているが体はダルイという、何か変な感触を覚えながら、病室を見ていく。

ほとんどの部屋が空室だ。

ここは大規模戦闘や、災害などがあった際に使われるものなので、今はほとんど患者はいないのだろう。


適当に歩いていくと、一つの病室があった。

病札には、『佐屋紫』と書かれている。


ドアを静かに開けて入る。

中は、俺のいた部屋と同じで、普通の病院の個室の様なものだった。


ベッドの上には、こちらを見ている紫がいた。

どうやら俺が来るより前に起きていたらしい。


ベッドにゆっくりと近づく。


「紫……」


「……哀、先に言っとくわ。ごめんね」


「?」


いきなり紫が謝ってきて、何だ?と首を傾げていると、次の瞬間、


「ぶごハッ!」


思い切り、顔面を殴られた。しかもグーで。

間違えるなよ。頭じゃない、顔面に。しかも鼻に思い切り当たった。


「痛あああ! 何するんだよ、紫!」


「こんなのもう何度か無かったっけ? 言ったよね?

私達を信じなさいって」


「…………」


「この腕。ちゃんと自由に動くけど、私の目は誤魔化せないわよ。

これ、アイの腕でしょ? しかも私の記憶によると右腕を無くしたのは私。

……けど、あの約束を思い出してくれたんだね。それは嬉しいよ、アイ」


「……紫、俺はお前を守る。例えどんなものがいたって、お前は守りきる。

だから、その腕は純粋にお前を助けたかっただけだし、一つの覚悟でもある。

そんな腕でもいいなら使ってくれ」


すると紫は目を見開いて驚いたあと、少し頬を赤くしながら言った。


「……そんな事、言われなくても分かってるよ、アイ。

この腕は、アイの腕。私なんかの為に使ってくれたもの。

だから、そんな私はこれからは、いいえ、これからもアイの側に立ち続け、そして助けても、いい?」


「そんなの、当たり前だろ……」


嬉しい。素直にそう感じられた。


紫が俺の、無い右腕の痕を撫でる。

そして、何か目から零れ落ちてくるものを耐えて、言う。

今まで言えなかったことを。


「紫…………」


「アイ…………」





「「愛しています」」


……遂に来ました。

実は真のヒロインは紫でした。

……実は、でもないかもしれませんが。

これから色々あります。

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